それぞれの戦い 【ガロード編 其の2】
見事アバドンを倒したガロードとエドワード。喜ぶ暇もなくガロードは次の行動に移る。
「エドワードさん、東門と西門は誰が戦っているんですか?」
「西門はSランク冒険者シェリーという剣聖が戦っております。東門はSランクまでとは言いませんが、それなりに高い冒険者ランクの方々が戦っています。それがどうかしましたか?」
「となると、西門はそのシェリーさんとガルか。東門は高ランク冒険者とレイナ。すみません、ここの残りをエドワードにお任せしても良いでしょうか?西門には、ガルが居るのでまず平気だと思います。ただ、東門にはアリスの妹レイナが居るんですが、まだランクが低いのでそちらの援護に行きたいのですが。」
「そうですか。確かに西門は平気でしょう。シーレ様のフェンリルとシェリーが居れば。どうぞ東門に行ってあげてください。ここは私が引き受けます。」
「ありがとうございます。では、行ってきます。」
そう言って、ガロードは東門に行こうとしたのだが、
【ゾクッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ】
「おいおい、何処に行こうってんだよ!?向こうの門か?なら行っても無駄だぜ。あそこにはナアマが居るからな。もうみんな死んでるさ!それより俺と遊ぼうぜ、ライオネルの息子さんよ!」
そこには、ライオネルとの戦闘の時に居た堕天使ラハブが浮いていた。やっとの出番という事もあり禍々しいオーラが滲み出ている。
「お前はあの時の堕天使!」
「お!?覚えていたか小僧!俺の名前はラハブ。暴力を意味する名を持つ堕天使。」
「いちいち名乗るなんて、律儀な奴だ。」
「いやよ、お前の親父ライオネルを殺しちまったからな。親父を殺した奴の名前ぐらい死ぬ前に聞いておきたいだろ?感謝しろよ!?」
「なっ!てめー、親父を殺したのか!?」
「ああ、殺したぞ!なんせ、裏切り者だからな。」
(どうしてバレた?親父がヘマしたか?いや、それは考えにくい。何事にも慎重な親父がヘマするはずがない。ならどうしてだ・・・。」
「ん!?どうして殺された!?って顔してんな!そんなの簡単さ、ナアマのスキルで裏切り者だと分かったからだよ。まあ、詳しい事を言うと俺もナアマに殺されちまうからこれ以上は言わねーが。」
「クソが!」
「クソはテメーの親父だ。ライオネルがお前等にチクってなければ今頃とっくにこの城は落ちてるはずなんだがな。どうやら、向こうのベリアルもヘマしたみてーだしよ。だから俺様直々に残りの奴ら全員殺してやろうと出てきたのさ。最初はお前だ、ライオネルの息子!」
「上等じゃねーか、行くぞ!吠えずらかくなよクソ堕天使!」
「いいね、いいね、その顔!ちっとは楽しめそうだ!」
両者共に殴り合いの戦闘と開始する。ガロードは雷神の化身まま戦い、もの凄い連撃を繰り出す。負けじとラハブも連撃を繰り出す。拳と拳がぶつかり合う。
【ダンッ】【ダンッ】【ダンッ】【ダンッ】【ダンッ】
【バンッ】【バンッ】【バンッ】【バンッ】【バンッ】
【ダンッ】【ダンッ】【ダンッ】【ダンッ】【ダンッ】
【バンッ】【バンッ】【バンッ】【バンッ】【バンッ】
「いいパンチだ!さすがはライオネルの息子の事だけはある。」
「そりゃどうも。だが、まだこれが俺の本気じゃねーぞ!」
ガロードは一度距離を取り、スキルを掛けなおす。
(ダメだ、早さが足りない。ならここは風神の化身にして手数を増やすか。当たらなきゃ殺せないしな)
「風神の型 風神の化身」
ガロードは、攻撃力を捨て速さ重視にした。
【ダッ】【ダッ】【ダッ】【ダッ】【ダッ】【ダッ】
【ダッ】【ダッ】【ダッ】【ダッ】【ダッ】【ダッ】
【ダッ】【ダッ】【ダッ】【ダッ】【ダッ】【ダッ】
「風神の型 旋風脚」
【バーーーーーーーーーーーーーーーーーッン】
何発かパンチと蹴りが当たり、最後の旋風脚は両手でガードするラハブ。地面に足をつけたまま後退していく。
【ズザザザザザザザザザザザザザザザザッ】
「やるね。実に良い攻撃だ。特に最後の蹴りは良かったぞ!手が痺れちまったぜ。」
「そのわりには大してダメージが無いように見えるけどな。」
「まあ、これくらいじゃまだ攻撃が軽いな。」
(やはり大してダメージはねーか。分かっちゃいたけどここまでとは。)
「さてと、俺も防御だけじゃつまらんからそろそろ攻撃するか。行くぞ!」
そう言うと、ガロードの前からラハブが突然消える。あまりの速さにガロードはラハブを見失う。
「な、消えただと。」
「チッ!そこか!」
ガロードは自分の右側に気配を感じて回し蹴りをするがそこに居たのはラハブの残像だった。
「おせぇ!!!!!」
ラハブはガロードの左側に回り込んでおりガロードの顔面を殴る。そして、ガロードは吹き飛ばされ城壁にぶつかる。
【ドガーーーーーッン】
【ガハッ】
【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】
口から血を吐き、ガロードの呼吸が荒くなる。
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ。」
「チッ!」
【ペツッ】
「効かねーな!」
「強がりは良くねーぞ!?相当、ダメージはあるはずだ。立ってるだけでもやっとだろ!?」
「冗談抜かせ!俺はまだピンピンしてらー」
「ほほう。じゃこれはどうかな。」
ラハブは右こぶしを脇に構えオーラを凝縮していく。そして、ガロードも雷神の化身になり雷神破の構えに入る。そして、お互いが衝撃波を放つ。
【ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ】
【バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ】
【ガイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン】
ガロードとラハブの衝撃波ぶつかり合い、お互いの衝撃波が押し合う。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「はああああああああああああああああああああ!」
だが次第に、ガロードの衝撃波が飲み込まれ始める。
【ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン」
「しまっ・・・・・・・」
完全にガロードの衝撃波は飲み込まれてしまう。
「じゃあな、ライオネルの息子よ」
【ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーン】




