それぞれの戦い 【ガロード編 其の1】
「さてと・・・。おい、立てよデカぶつ!それぐらいじゃ死なない事ぐらい分かってんだよ」
「ガロード殿、お気を付けてください。そいつはおそらく堕天使ですぞ。」
「えぇ。どうやらそうみたいですね。嫌な感じがします、なんつうか堕天使特有の禍々しいオーラつうかなんつうか。」
アバドンは、まるで何事もなかったかのように立ち上がる。そして新たに現れたガロードの方をみる。
「マジか。雷神の化身を使っての攻撃でも何ともないってか。こりゃ、少々厄介だな。」
「ガロード殿、どうやら奴は傷を再生する能力があるみたいですぞ。先ほど、私のスキルで攻撃をしたのですが傷口が回復しています。」
「おいおい、冗談じゃないぜ。勘弁してくれよ、無敵かよ!」
「ガァァァァァァァァァァァァァ。」
アバドンが斧を振り下ろしガロードに向けて攻撃をする。ガロードも高ランク冒険者、アバドンの攻撃をものともせず避ける。避けた後、上段蹴りからの回し蹴りの2連撃を当てる。
「おせぇ!」
【ドンッ】【ドカンッ】【トンッ】
ガロードの2連撃は足に当たり、アバドンは大きく体勢を崩し、片膝をつく。さらにガロードは体制の崩れたアバドンの顔面へと攻撃を続ける。
「雷神の型、雷拳」
アバドンは顔面に雷拳を食らい、空中で2転3転して地面に落ちる。
(私はガロード殿の実力をを見誤っていたのかもしれない。まさかこれほどとは・・・・・。)
ガロードの戦いを始めて見たエドワードは呆然とする。1年前は、年相応の実力だと思っていたのだがまさかここまで強いとは思いもよらなかった。
「ガァァァァァァ」
左足と顔面にダメージを食らったアバドンがゆっくり立ち上がる。少しずつではあるが回復していく。それを黙って見ているわけにはいかないガロードとエドワード。ここぞとばかりに畳みかける。
「ゴッドブロー(神の一撃)」
「雷神破」
【ゴゴゴゴゴゴゴーン】【ドドドドドドドドドドーン】
2人もアバドンの顔面に向けてスキルを放つ。2人のスキルを食らったアバドンの顔面は消滅する。顔を失ったアバドンは沈黙する。だが、それでも斧を両手持ちにして構え薙ぎ払いの攻撃をする。
「マジかよ!顔がねーのに見えてんかよ!」
「クッ。アブソリュートシールド(絶対の盾)」
エドワードがスキルでアバドンの薙ぎ払いを受け止める。受け止められたアバドンの攻撃はエドワードの盾にあたり、弾き返された衝撃で両手を上げ、2歩3歩後退する。
「よし!今だ!エドワードさん、あいつに総攻撃を仕掛けるので援護を頼みます。」
「お任せください」
今だ体勢を立て直せていないアバドンに対して2人はスキルを繰り出す。
「風神の奥義 風神の化身」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」
ガロードは風神の化身の力で、これまで以上にスピードが増し、アバドンの上半身目掛け攻撃をする。アバドンは両手をクロスさせ防御態勢をとる。
【ドガッ】【ドガッ】【ドガッ】【ドガッ】【ドガッ】
【ドガッ】【ドガッ】【ドガッ】【ドガッ】【ドガッ】
【ドガッ】【ドガッ】【ドガッ】【ドガッ】【ドガッ】
「風神の型 旋風脚」
【ドーーーーーーーーーーーッン】
アバドンはさらに後退し、ふらついた所でエドワードのスキルが炸裂する。
「食らえ!うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「ゴッドランス」
先程のゴッドランスとは違い全力のゴッドランスはエドワードの槍が数メートルも伸び、オーラの塊になり下半身に向けて薙ぎ払う。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
【ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ】
【ザーーーーーーーーーンッ】
エドワードのゴッドランスはアバドンの下半身を消し飛ばす。上半身だけとなったアバドンはそのままガロード1撃を受ける。
「雷神の型 雷神の化身」
ガロードは空中に大きく飛脚していて、アバドンの真上から渾身のスキルを浴びせる。
【キィィィィィィィィィィィィィィィィィィン】
ガロードの右腕にとんでもない量の魔力が溜まり光り輝く。
「食らえ!!!!!雷・神・破」
凄まじい音が鳴り響き、辺り一面は砂埃が上がる。
【ドガーーーーーーーーーーーーーーーッン】
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、どうだ。」
やがて砂埃が無くなり、地面がえぐられアバドンの姿は何処にもない。
「よっしゃーーーーーーーーーーーー!」
「やりましたな、ガロード殿!お疲れ様です。」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「やったあああああああああああああああ!」
他の冒険者達も脅威だったアバドンが死に喜ぶ。こうして、ガロード達は、堕天使アバドンを討伐したのであった。




