それぞれの戦い 【ガル編 其の2】
「クソっ!どこまで僕を侮辱すれば気が済むんだクソ犬が!」
ベリアルは両手を剣に変えてガルに襲い掛かる。シーレの眷属でもあるガルは今までシーレを守る為に戦ってきた。そんなガルは、ベリアルの攻撃を簡単に躱して、カウンターを仕掛ける。
【ドドドドドドドドドドドドドドっ】
ベリアルをまるで寄せ付けないガル。氷の氷柱を剣に変えた手でいくつか捌くベリアル。だが、ガルの放つ氷の氷柱は数が多く、いくつかは体に刺さる。
「クソがーーーーーーーーーーーッ」
自分の攻撃は当たらず、ガルの攻撃は当たってしまうベリアル
。頭に血が上り周りが見えていないベリアル。ガルに特攻をかけるがガルの氷の氷柱がベリアルの背後から現れベリアルの腹に刺さり、地面を転がるベリアル。
【ボタッ、ボタッ、ボタッ、ボタッ】
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
腹から出血し、息が荒くなるベリアル。ベリアルは体の再生を図る。だが、中々再生しない。なぜ、回復が遅いと戸惑い始めるベリアル。普通の攻撃ならナアマのように数秒で再生するのだが、いくら待ってもほんの少しづつしか回復しない。これは、シーレの力でもある。
ガルはシーレ眷属。シーレの力は少し特殊でそれをガルは受け継いでいる。シーレの攻撃は対堕天使に特化していた。シーレの力がベリアルの体を蝕み回復を遅らせる。シーレ自身が堕天使に対して攻撃すれば再生は不可能。
「なぜだ!なぜ回復しない!クソッ!クソッ!クソッ!ふざけるなーーーーー!」
「ガルルルルルルル」
「この僕がこんなクソ犬に負けるはずがない!僕は強いんだ!誰にだって負けない!負けてたまるかーーーーーー!」
ベリアルの魔力が増幅する。完全に意識を飛ばしたベリアルが立ち上がる。と、ここへ最大の敵アザゼルが来る。
「おやおや、駄目ですよベリアル。完全に我を失っているではありませんか!?それでは、あのフェンリルには勝てませんよ!?」
「ガガガガガガガガガガッ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
黙って様子を見るガル。ガルは、アザゼルの強さを知っている。禍々しいオーラを放っているアザゼルに決して攻撃はしないガル。
「さすがはシーレの眷属、今回はあなたの勝ちです。私どももまだこの子を失うわけにはいきません。今回は引かせてもらいます。ですが、次はこうはいきませんよ!?覚悟して待ってなさい。」
そう言って、アザゼルはベリアルを回収して消えていった。
それと同時に、ガロードの方で凄まじい音がする。
【ドガーーーーーーーーーーーーーーーッン】
そして少し時間は戻り、ガルとベリアルが戦闘を開始した頃シェリー達は、
「邪魔が入ったが戦闘再開と行こうか、元冒険者さんよ!あたし達も楽しもうじゃないか。」
ガルのおかげで、気が楽になったシェリーは冷静さを取り戻していた。再び戦闘がはじまる。
【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】
両者、一歩も譲らない。お互い斬っては斬られを繰り返す。シェリーは傷口が増えていく一方、タクトはアザゼルの強化のおかげで傷口は回復していく。
【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】
【キンッ】【キンッ】【キンッ】【キンッ】
「はあああああああああああああ!」
【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】
「チッ。これじゃ、キリがないね。このままだとジリ貧だ。ここいらで決めるか。」
シェリーはタクトの剣を弾き、間合いを取る。そしてスキルを発動する。
「剣聖奥義 剣聖の理」
「剣聖の破壊者」
剣聖の理で、シェリーの大剣は金色のオーラ纏い、そのまま振りかぶって振り下ろす。振り下ろした剣から 剣聖の破壊者のスキルで不死鳥の形をしたオーラがタクトに向けて飛んでいく。直撃を受けたタクトは粉々になり辺り一面に散らばる。
「ふぅ。やっと終わったか。疲れたぜ」
深呼吸をして、息を整えるシェリー。そして、ガロードの方で爆発音がする。
【ドガーーーーーーーーーーーーーーーッン】
そちらを見ると、土煙が上がりフェンリルが何処か不安気に見ている。
「おーい!フェンリル!そっちも終わったなら向こうの助っ人に行ってこい!行きたいんだろ?こっちは平気だ!たった今終わった!」
ガルが一度シェリーの方を向き、ガロードの方に向き直ってそのまま走り去る。
「ご主人様が向こうに居るのか。だったらこっちに来なくても良かったのに。でもおかげで助かったよ、ありがとなフェンリル。」
そして、残りの魔物を倒しにかかるシェリー。他の冒険者も2人が戦っている間、他の魔物と戦っていた。
「よし、野郎ども!もう少しだ!残りを殲滅するぞ!」
【ズ・・・・ズズ・・・・・ズズズ・・・ズ・・・・ズズ】




