それぞれの戦い 【レイナ編 其の1】
レイナはガルと別れ東門へと到着した。レイナが到着したときには、そこは予想以上に人間側が戦いを有利に進めていた。ランクの高い冒険者が集まり、その者たちが魔物達を次々と倒していた。
「助太刀に参りました!」
「おお!これは助かる!よし、このままここを死守するぞ!」
「「おおおおおおおおお!」」
東門はの士気は高かった。高ランクの冒険者達は、見事な連携で魔物達を次々と倒していく。レイナは後衛の為少し後ろに陣取り、それぞれの冒険者達を援護していく。味方が攻撃されそうになれば、アイスアロー(氷の矢)で敵の動きを止め、魔物が押し寄せるところにはレインアロー(雨の矢)で敵を一掃していく。
「何だあの子!?相当強くないか?ドンピシャで援護の矢が飛んでくるぞ!」
「あんな冒険者、この王都に居たか?」
「いや、見たことない子だな!是非ともうちのパーティーに欲しい!」
「あ、お前抜け駆けは良くないぞ!あの子は俺達が先に目を付けたんだから!」
「お前達こそ何言ってやがる!初めに声を掛けるのは俺達だ!」
高ランク冒険者達は、レイナを自分達のパーティーに入れたいと必死になっている。そんな中レイナはスキル【モースイアー(蛾の耳)で聴覚を最大限まで引き上げ冒険者達の声を聴いていたため、そんな事より魔物を討伐してもらいたいと思っていた。
「はあ、どうしてこうなるの・・・。もっと真剣に戦ってほしいんだけど。早くケリをつけてガロードの所に行きたいのに。」
そうは言うものの、冒険者達は攻撃を続け周りの視界が良くなってくる。魔物の数もだいぶ減り、あと一歩でレイナは自分が居なくてもここは死守できると判断した時だった!
「みなさん、左右に散ってください!遠距離からの攻撃が来ます!」
「えっ!?」
レイナはスキルイーグルアイも使っており、遠くからの攻撃を感知できた。すると、超遠距離からの攻撃は冒険者達が多数いる場所へと放たれた。
【ドーーーーーーーーーーーーーーーーンッ】
辺り一面地面はえぐられ、何人もの冒険者達が命を落とす。
凄まじい威力の超遠距離攻撃。冒険者達は反応することも出来ず散っていった。
「ふふふっ。半分ぐらい死んだかしら!?でも、もう少し殺せるかと思ったけど私の攻撃を感知できる冒険者が居るみたいね。どの子かしら!?」
そこに現れたのは、遠距離攻撃を得意とするナアマだった。イーグルアイを使っていなかったら自分も死んでいただろうと思うレイナ。額には冷や汗が滲み出る。
「な、何て威力。ガロードの雷神破と同じぐらい!?いえ、それ以上の威力・・・・・。」
ナアマは不敵な笑みを浮かべゆっくりと東門の冒険者達へと近づいてくる。冒険者達は唾を飲みナアマを見つめている。
一瞬の油断が命取りになることを確信したため、ナアマから目を離せないでいた。
「これはこれは、みなさんごきげんよう。先ほどの攻撃を感知できた子は誰かしら?お姉さんとても知りたいの・・・」
冒険者達は誰も答えない。答えないというより答えられないと言った方がいいのだろうか。初めてみる堕天使に皆声が出ないのであった。圧倒的な魔力量、圧倒的な強さ、何を考えているかわからない不敵な笑み。実力の差を見せつけられ、ただ立ちすくむしかなかったのだ。
「あら?誰も答えてくれないの?じゃ、手あたり次第殺しちゃえばいいか!?うーん。誰からにしようかしら・・・?」
すると、1人の冒険者がナアマえと斬りかかる!
「うおおおおおおおおおっ!」
「ダメッ!」
「あら?答えてくれない代わりに斬りかかってくるの?貴方は勇敢ね、恐れず立ち向かうなんて。でもダメね、あなた遅すぎるわ。」
「えっ!?」
【ヒュッ】
【ボトッ】
斬りかかった冒険者の首が地面に落ちる。ナアマの早すぎる攻撃に、周りの冒険者は何が起きたのか理解できない。唯一攻撃が見えたのは、イーグルアイによって視覚が強化されているレイナ、ただ1人だった。瞬く間に、場は混乱していく。
「うわああああああああああああああああああ」
「逃げろーーーーーーーー。」
冒険者達は、その光景を目にした途端逃げ回る。逃げていく冒険者達をナアマはまるで子供と遊んでいるかのように殺して回る。
「ねえ?!?誰が逃げていいって言ったの?ダメよ逃げちゃ、冒険者ならちゃんと目の前の敵と戦いなさい!」
【ザンッ、ザンッ】 【ブシューーーーーーーーーーーッ】
冒険者の首が転がり、腕が落ち、足が切断されていく。
「キャーーーーーーーーーー。」
「こんなの無理だ・・・・。」
冒険者は次々とその命を終える。我先に逃げようと、冒険者達はますます混乱していく。誰もが必死だった、ただ1人を除いては。あっという間に冒険者は編成当時の半数にまで減り、先程までの優位な状況から一転する。
「ファイアーアロー×3」
レイナはスキル放ちナアマはそのままレイナの攻撃をうける。瞬く間にナアマの体は炎に包まれる。だが、これで死ぬような敵ではないことをレイナ本人が1番わかっていた。
「あら?あなた中々やるわね。少し痛かったわよ。」
(ファイアーアロー×3で少しか。もう少しダメージがあると思ったんだけどな。)
「じゃ、今度は私の番。あなたに避けられるかしら?」
ナアマは、右腕を前に出し魔法を唱える。するとレイナの背後からナアマの魔法が現れる。イーグルアイの能力でレイナは攻撃が見えておりナアマの魔法を躱す。
「そんな攻撃当たるものですか!!」
「ええ!?あれを避けるの?普通の人間なら避けられないのに。そう、あなただったのね。最初の攻撃を感知出来た人間は。」
「だったらなんだって言うのよ!はいそうですとでも言えば帰ってくれるのかしら?」
「面白いこと言うのね貴方。だけど残念、帰るつもりはないわ。」
「でしょうね。だったらあたしがあなたを殺してあげる!」
「うふふ。あなたごときが出来るかしら!?」
「そんなのやってみなきゃわからないじゃない!」
レイナは矢を作る右手に魔力を集中させる。凄まじ程のMPを消費して、この1撃にかけるつもりでいた。
「これでも食らいなさい!」
【ペネトレイトアロー(貫く矢)】
レイナの放った矢はもの凄い速さと、威力でナアマへと飛んでいく。途中に居る魔物も一瞬で消滅し、矢はナアマに直撃する。辺り1面砂埃が巻き上がる。




