変わり始める戦場
「ガル!このまま正門前にいるあのデカぶつ目掛けて突っ走れ!俺が道を開ける!」
「ガルルル」
ガルは速度を上げ、ガロードはガルの背中に立ちスキルを使う。
「雷神の型奥義!雷神の化身」
「レイナ!しっかり捕まってろ!振り落とされるなよ!」
「う、うん」
レイナはしっかりガロードの右足に捕まっている。今までに無いくらいの強い力で。
「あ、あの・・・レイナさん?捕まるならガルに捕まってくれるとありがたいんだが・・・・・。」
「はっ!し、失礼しました・・・・・・。」
捕まるところを間違えたレイナは顔を真っ赤にしている。
「よし、じゃ気を取り直して・・・・・・・」
「雷神の型 雷神破」
ガロードは右手に魔力を溜め正拳突きの構えで衝撃波を放つ。すると、直線状の魔物が一瞬でチリとなる。そして、ガルもさらに速度を上げ、アバドンの元へ走る。その間レイナもスキルを駆使して、周りの魔物を倒していく。
「おやおや?何やら正門の方が慌ただしいですね。ラハブ、少し見て来てください。私の計画に害する者なら殺してしまってもよいですよ!」
「よっしゃー!やっと俺の出番か!待ちわびたぜ!」
「えー、何で僕じゃなくラハブなんですか!?僕も早く人間を殺したいです!」
「ベリアル、あなたの出番はまだ先です。いずれあなたにも戦う機会が訪れるので、それまでは私達と共にここに居てください。」
「ちぇ、わかったよ!ラハブ、速攻で倒されてきなよ!そうすれば僕の出番が早まるんだから!」
「言ってろクソガキ!」
ラハブは地上に降り立ち、ゆっくりと正門の方へと向かっていく。そして、
「レイナ、ガル!ここからは手はず通りに!行くぞ!」
ガロードは、飛脚してアバドンの頭の上からスキルを放つ
「雷の踵落とし(サンダーヒールドロップ)」
【ドゴンッッッッッッッッッッ】
雷神の化身で強化された踵落としがアバドンの頭にクリーンヒットして、アバドンは地面にひれ伏す。衝撃波が来たと思ったら次の瞬間アバドンが地面にひれ伏せている現状を間近でみたエドワードは混乱していた。そして、エドワードの前に着地したガロードは、
「エドワード様!ご無事ですか?遅くなりましたが助けに参りました。」
「ガ、ガロード殿なのか・・・・・・」
「はい、シーレも一緒です。わけあって今は眠っていますが。あ!それと、姉さんの妹のレイナも一緒です!」
「な!なんとアリスの妹が見つかったのか!」
「はい!俺が旅の途中で保護しました。今は、ガルと一緒にエリーの所に向かわせています。いずれこっちに来て西門と東門に援護に向かわせます。」
「な、なんとありがたい。両方の門では人の知性を持った魔物が居て手に負えないところだった。感謝する」
「感謝してもらうのはまず、こいつらをどうにかしてからです。それに人の知能を持った魔物か。ますますシーレが居ないと厄介だな。こりゃ、悠長にしてられないな。どうにかシーレが目覚めてくれればいいんだが。」
その頃、エリーの元へと向かっているガル達は、
「ガル、このまま突き進んで!周りの魔物はあたしが仕留める!」
「ガルルルルル」
順調にエリーの元へと向かうガルとレイナ。魔物達もそれなりの数が場内には進入していた。ガルもレイナも、周りの敵を攻撃しながら進んで行く。ガルを見た冒険者達は、
「な、な、何だ!?新手の魔物か!?」
「おいおい、嘘だろ・・・。やっとのことでここまで倒したのにあんな化け物みたいのが来るなんて。」
「ん!?ちょっと待て、何かあの魔物、仲間を攻撃してないか?」
「本当だ!それに誰かが魔物に跨っているぞ?」
「え!?もしかして味方の増援!?」
「間違いない!増援が来てくれたんだ!これならいけるぞ!」
ガルとレイナの登場により、場内で魔物を倒していた冒険者達が歓喜の叫び声をあげる!
そして、無事にエリーの元へとたどり着いたレイナ達は、
「あなたがエリー様ですか!?」
「あなたは・・・・。それに、そこに居るのはシーちゃんのフェンリル!?」
「ガルルルルル」
「私は、レイナ。アリスの妹です。そして、この子はシーレちゃんの眷属ガルです。」
「アリスの妹!?どうしてあなたがここに!?」
「私は、姉を探して旅をしていたのですが途中、危ないところをガロードに助けられたの。ガロードも今、正門の所で魔物を討伐しています。」
「ガロードも来てるの!?そう、間に合ってくれたのね。よかった。本当に良かった。」
エリーは、喜びのあまり泣き出してしまう。もう、アグリアスはダメかと諦めかけていた時に頼もしい味方が来てくれた嬉しさのあまり。
「エリー様、私達も時間がありません。直ぐに東門と西門の援護に向かってくれとガロードに言われていますので。そこで、このシーレちゃんをお願いしたいのですが。」
「え!?シーちゃん?って、どうして彼女は寝ているの!?」
「シーレちゃんは、とある戦闘の時に魔力が暴走してそれから何日も目を覚まさないのです。なので、ここに到着したらエリー様にシーレちゃんをお願いしろとガロードに言われています。」
「そ、そう。死んではないのね。わかったわ!シーちゃんの事は私達に任せて!何が何でも守って見せるから。」
「はい、お願い致します。では、私とガルも戦場に行ってきます。」
「わかりました。くれぐれも気を付けてください。」
そう言って、レイナとガルはそれぞれガロードに言われた通り東門と西門に向けて進んで行く。




