決戦!王都アグリアス 其の4
3馬鹿のリーダーである暗殺者のローグはエリーとの距離を詰める。エリーは、MP切れの影響で立てず座り込んでいる。その隙をついてローグは短刀を手に持ち背中に隠してエリーに近づく。
「エリー女王、平気でやんすか?どうなされました?」
「あ、あなたは・・・・・・。」
「あっしらは、城壁が破壊された時エリー女王の安否が気になり戻って参りやした。もはや、ここも危ないでしょ。あっしらが手伝うから逃げましょう。女王様だけでも。」
「それは出来ません。私はこの国を任された身。たとえ最後の1人となっても戦い続けます。あなた達こそお逃げなさい。もうこの国はダメです。今から、撤退の命令を出すから残っている者たちと、地下の隠し通路からお逃げなさい。」
「そ、それは・・・・・・。」
「あなたはまともに生きていくと決めたのでしょう?だったらこんな所で死んでる場合じゃないわ。残りの人生を大切にしなさい。ガロード達がこちらに向かって来ているけど、どうにも間に合いそうにもないしね。さ、早く行きなさい!そして、いつか必ず直人やガロード達と共にアグリアスを取り戻してちょうだい・・・・・お願い。」
「な、ならいっそうここで・・・・・」
「あ、危ない!」
魔物の攻撃が、ローグに向けて放たれた事確認したエリーは、ローグを庇って突き飛ばしエリーは、左肩に魔物の攻撃をうける。左肩から、とてつもない量の血が溢れ出る。
「くっ」
「エリー女王!何で、何であっし何かを庇うんですか?」
「な、何を言っているの!?あなたもこの国の民でしょ!?なら、女王の私が守るのは当然よ。もう、この国の民は誰一人死なせないは!さ、ぼさっとしないで早く行きなさい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ローグは黙ってエリーを見つめる。
(この人は何処まで民の事を考えているんだ。殺そうとした俺をも庇って自分が死ぬかもしれなかったのに。俺達が逃げればこの国は陥落して、女王も殺される・・・・・・・。
このまま、この人を殺していいのか?冒険者として復帰した俺達を『頑張れ』と応援してくれた女王を見殺しにしても良いのか?答えは否だ!この人はここで死んだらダメな人だ。)
「おい!野郎ども!神官様をここに連れてこい!エリー女王を何としても助けろ!早くしろ!」
「ですがお頭それでは・・・・」
「うるさい!黙れ!気が変わった!ここは、俺達で何としてでも死守する。これ以上エリー女王を傷つけさせるわけにはいかない!わかったらさっさと神官様を呼んで来い!」
「は、はひ」
「な、なんで逃げないのですか?ここはもう・・・・」
「何でって、そりゃ女王様を見殺しには出来ないでやんすよ!それに、ガロードの旦那も向かって来てるのでしょう?だったら、まだ勝機があるかもしれないでやんすしね!」
「あなたって人は・・・・・。」
「さて、じゃあっしも他の冒険者と手を取り魔物を倒してきます。女王様、そこを動かないでくださいでやんすよ。」
ローグは、手に隠していた短刀をしまい魔物の群れへと駆け出した。
「おらぁ!魔物どもあっしが相手でやんすよ!思う存分かかってくるでやんす」
その頃、城壁の外では傷ついたエドワードが何とか戦線に復帰してアバドンと戦っている。傷を負って下がっていた冒険者達も治療のかいもあってか、戦線に復帰してなんとかアバドンを城壁の外で押しとどめている。
「はあ、はあ、はあ。クソっ、あとどれくらいMPが持つのか・・・・・。だいぶ消耗してしまったな。」
エドワードは周りを見渡す。東門の方はなんとか持ちこたえている。西門も、シェリーのおかげで突破されずに済んでいることを確認すると、こいつさえどうにか出来れば勝機はあると考えるのであった。しかし、自身の残りMPを確認してもとてもじゃないがアバドンには勝てないと分かっている。
せめて、腕の立つ冒険者があと1人で居ればと。その時だった。遠くで一瞬、何かが光るのが見えた。
【ドッゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン】
すると、一瞬にしてアバドンの横に居た魔物達の姿が無くなり城壁に穴が開く。その後すぐに凄まじい風が遅れて到着する。




