決戦!王都アグリアス 其の2
「場内に魔物を入れてはならん!皆の者踏ん張るのじゃ!ここが破られれば王都の未来はないと思え!」
人も魔物もお互いの目的の為に奮闘している。どちらも一歩も譲らず戦いを繰り広げている。それでも、人は魔物と違って傷つけば回復することが出来る。傷ついたものは一度下がり、手当てをうけてからまた戦線へと舞い戻る。
「手当の必要な者は下がれ!決して深追いだけはするでない!後方には、神官もおる!皆で協力しここを死守するぞ!」
「「うおおおおおおおお」」
人々の士気は落ちるどころかさらに上がる。それほどエドワードの影響力は強いのだ。
「何だか向こうは盛り上がってるね!あの爺に任せて正解だったかもな。っと、あぶね、あぶね・・・。」
シェリーはSランク冒険者であり、危なげなく魔物達を倒していく。エドワードは鬼神、対するシェリーは剣聖と言われている。大剣をまるで棒でも振るかのように巧みに操る姿を他の冒険者は手を止めてみていた。
「ほらほらそこっ!ボケっとしてないで魔物を倒しな!出ないと、あたしがあんた達を斬るよ!」
「ひいいいいいいいいいいいい。」
手を止めていた冒険者達は、直ちに魔物討伐を再開する。それでも、今のところは両者攻め切れていない。人間側は魔物の数に圧倒され、魔物側はエリーの張っている結界により王都の中に入れないでいた。そんな時ついに均衡が破られる。
「ははははは!やっぱりこの程度の魔物じゃ無理があるんじゃねーか?」
「そうね。いまいち押しきれてないわね。人間たちもなかなかやるわね。」
「ねえナアマ、そろそろ僕も戦っていい?見てるだけはつまんない!早く人間たちを殺させてよ!」
「ダメよ!まだアザゼル様が到着してないでしょ?」
「ちぇ。つまんなーい。」
「お子様のベリアル君はそこで指をくわえて待ってな!この俺様が全ての人間をブッ殺してきてやるからよ!」
「あんたもよ、ラハブ!さっき言ったでしょ!何度言えばわかるの!」
「いや、こんなの見てても時間の無駄だろ!?アザゼル様が来る前に終いにしちまえばよくね?」
「よくない!アザゼル様にも計画があるのよ!そのこと知っているでしょ?」
「知ってるけどよ・・・・・。」
「だったら待ちなさい!いいわね!」
「ういー」
堕天使達は、遥か上空から今回の戦いを見ていた。アザゼルの計画が行われるまで待機してろと言われているからだ。そしてその場所に、ようやくアザゼル一行が到着する。
「皆さま、お待たせいたしました。準備が整いましたので、少し下まで降りましょう。」
「よっしゃー!待ってました!って、メフィストフェレスとサマエルお前達も来ていたのか」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ああ。」
「やったー!これでやっと人間を殺せる!」
「こらこらあなた達、まずはアザゼル様の眷属たちが戦うのが先です。私達はその後です。」
「くっそー!またおあずけかよ!そりゃないぜ。」
「えええええ。僕もう飽きちゃったよ!」
「こらこら、いけませんねそんなこと言っては!死にたいのですか?」
アザゼルは、普段の装いと変わらずいたのだが、ラハブ達が駄々をこねた瞬間辺り一帯に殺気が広がる。
「わ、わ、わかったよ。すまん。」
「ご、ごめんなさい。」
「わかればいいのですよ。では行きますか。」
こうして、アザゼルを含む堕天使6体は地上へと降りて行った。降りる間、殺気を散らしながら人間たちをけん制していく。
「くっ。こ、何じゃこの殺気は・・・・・!」
「うっ!嫌な殺気を放ちやがる!何処のどいつだ!」
エドワードとシェリーは、アザゼル達が放つ殺気には耐えられるが、一般の市民と低ランクの冒険者は耐えられずその場で片膝をついてしまうものや、腰を抜かすものも居る。
「人間の皆様ごきげんよう。私は堕天使アザゼル。あなた達を狩りに来たものです。と言っても、私自ら戦うことは無いでしょうけど。まずは皆様にプレゼントがあります。どうぞ受け取ってください。」
すると地上に数百の魔法陣が現れ、アザゼルが王都イザークや、王都セシルで眷属にしてきた者たちが現れる。その中には、デモンズウォーリアのタクトの姿もある。
「さあ、ここからが本番ですよ!どこまで耐えられますか?」




