いざ、決戦の地へ
ライオネルとの戦いから2週間がたった。ガロード達はフィーレ王国の危機に立ち向かうため大急ぎで向かっている。王都アグリアスにまでもう少しの所まで来ていた。エリー達には、行商人からもらった伝書バトですでに知らせてある。
だが、ライオネルの1撃をガードしたにもかかわらず、シーレは未だに起きない。最初は気絶しているだけだと思ったが、何か別の原因があるのではないかとレイナは言っている。MPの使い過ぎでも前回はすぐに起きたが、今回は違うとガロードもレイナの言う事に納得している。
「しっかし、何でこんなにも長く起きないんだ?いつものシーレなら直ぐに起きると思うんだけどな。」
「確か、聞いた話しだと前回の魔力が暴走しかけた時は、そのまま寝てしまってすぐに起きたんですよね?だとしたら別の原因があると考えるのが妥当でしょう。」
「別の原因か・・・・・。やはり親父に会ったからかな?親父に会ってシーレの中で何か変化が起きたとか?」
「そうですね。おそらく、シーレちゃんはガロード君のことは覚えていたんでしょう。だからガロード君には懐いて他の人には懐かない。そう考えてもいいかもしれません。それでお父様と会って何かを思い出したのかと。」
「親父に会ったことで、何かがフラッシュバックして目を覚まさないと?」
「多分ですがそうだと思います。ただ、どうすれば目が覚めるかはわかりませんが。」
「しばらく様子見だな。しっかし、シーレが居ないと俺達だけじゃアグリアスを守るなど到底無理ゲーなのだが。堕天使が何体も来るって言ってたからな。せめて、兄さんたちが居てくれていたら。」
「そうですね。ガロード君はともかく私なんか確実に足手まといだと思います。それに姉さん達はこの事を知っているのかどうか・・・・。」
「問題はそこだ。兄さん達が知っていてくれたらありがたいんだが。」
「今は、少しでも戦力が欲しいですよね。私なんか足手まといにしかならないのに。」
「あんまり考えすぎんなよ!戦いの場じゃ命取りになるからな。リラックスしろよ。」
「そうですね。まずは自分に何が出来るかを考えてみます。ところで、王都アグリアスにはあとどれくらいで到着予定なのですか?」
「そうだな、地図を見る限りこのままのペースで行けばあと1日あれば着くと思うんだが・・・。それがどうかしたか?」
「そうですか。いえ、ただ魔物が居ない気がして。普通、こんな大きな森なら魔物が居てもおかしくないんですが、気配すらないし、イーグルアイを使って見ているんですが何処にも魔物が居ません。」
「こりゃ、嫌な予感がするぜ。まだ戦闘が始まっててくれなきゃいいんだが。」
「そうですね。次の街か村で聞き込みをしてみましょう。少しでも情報があればいいのですが。」
「そうだな。準備もしたいし少し寄ってみるか。」
こうして、ガロード達は王都アグリアスに近い村までやって来たのだが、村の中は酷い惨劇となっており、人や魔物の死体があちらこちらに転がっていた。
「おいおいこれマジか。こりゃ、急がねーとやばいな。戦闘が始まってるぞ。」
「そうですね。近くのこの村がこれではもう堕天使たちは王都アグリアスに攻め込んでいるでしょう。ガロード君、急ぎましょう。」
「ああ。そうしよう。ガル!全速力で向かってくれ!」
「ガルルルルルルル!」
すぐさま、村で補給を終えたガロード達はついに王都アグリアスが見えるところまで来たのだが、すでに各場所で煙が上がっているのが見える。
「チッ!遅かったか!もう、始まってやがる!レイナ、イーグルアイで街の様子を教えてくれ!」
「はい。えっと、はっきりとは見えませんがやはり正門であろう場所に一番多くの魔物が見えます。そして次に多いのが西門ですね。最も少ないのが東門です。堕天使が居るかどうかまでは見えません。」
「了解!それさえわかれば問題なしだ。それと、王城は見えるか?」
「はい、見えます。そこでも少し戦闘が起きてはいますが他と比べればとても魔物は少ないです。」
「なるほど。じゃ、まずはレイナはこのままガルに乗って王城を目指してくれ。そこにおそらく王女様のエリーが居るはずだ。エリーに、シーレを預けたらレイナは東門に行って敵を殲滅してくれ!ガルは西門だ。俺はこのまま正門に向かう。俺が何としても王城への道はつくる!かまわずそのままレイナ達は王城へ。いいな!」
「はい、わかりました。ガロード君くれぐれも無理はしないでください。」
「ああ、わかってる。」
「よし、作戦開始」
こうしてガロード達は王都アグリアスを救うために魔物の群れの中へと消えていった。
第4章 決戦!王都アグリアス編へ続く




