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聖女の妹の呪いを解く為今日も兄妹は旅をする  作者: 雨のち晴れ
ガロードの家族編【ガロード シーレ編】

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54/85

決意を胸に。

時はガロードがまだ7歳、カレン17歳。この日、2人にとって運命とも呼べる出来事がことが起こる。


「気を付けていくのよ!夕飯前には帰ってきなさいよね!」


「はーい!わかったよ、カレン姉ちゃん!」


「まったく、本当に分かってるのかしら。」


姉のカレンは、冒険者の両親に代わってガロードの面倒をいつも見ている。ヤンチャなガロードはいつも喧嘩ばかり。それでもカレンはガロードの事を怒らず、いつも優しく接している。ガロードは、そんな姉の事を慕っていた。


そして、


「さ、今日も夕飯の材料を見つけに行かないと。」


カレンは、たまに帰ってくる両親からある程度の生活費を預かっており、うまく生計を立てている。隣村とは距離があるため、週に1回だけ行商人が食材や生活用品を売りに来る。それだけで事足りるのだが、カレンは出来るだけ節約しようと、山の中で山菜を摘んだり、食べられるキノコをとったりしている。


山には豊富な食材や、薬草もあり生活には何一つ困らない。食材を取りに行くときは、村の男達やその妻なども一緒に行き、助け合っている。今日も、数人の村人と山に食材を取りに行く予定だ。


「すみません、遅くなりました。」


「いいのよ、私達も今着た所だから。ささ、行きましょうかね。」


1人の女性がそう言うと、男性陣は武器を手に取り、女性陣は背中に籠をしょる。山は村から少し離れた所にあり片道30分はかかる。あいにく今日は曇っており、山の中は少し不気味だ。


「俺達は見張りをしているから、さっさと食材を集めて戻ろうぜ。なんか今日は嫌な予感がする。」


「そうね。わかったわ、みんな急ぎましょう。」


「「「はい」」」


女性陣は、手際よく山菜やキノコをとる。取り始めて1時間後、ようやく籠がいっぱいになり村へと引き返そうとしたのだが、


「おやおや、これは人間の皆様こんにちは。」


そこには、背中に黒い羽の生えた人型の何かが立っていた。


「な、何者だ貴様!」


男性の1人が武器を構え、立っている男に話しかける。


「これは、失礼しました。私は魔王軍直属部隊拾弐堕天使の参(3)番アザゼルと言います。お初にお目にかかります。」


「堕天使だと?何をふざけたことを・・・お前たちの目的はなんだ!?」


「目的は簡単です。とある人物を探しているんです。ライオネルという男と、ケイトって女です。どなたかご存じないですか?」


「知らないな。あいにく俺達の村ではそんな2人は居ない。だからこの辺を探しても無駄だぞ。」


当然、村人達は知っている。アザゼルが探している人物はガロードとカレンの両親だ。あの2人には村人達も世話になっており、恩があるのでそう簡単には口を割らない。


「そうですか。それは残念です。では、この近くの村を襲い聞いてみるとしましょう。」


「なっ!何を言っている!誰がそんな事させるか!」


男達は、一斉にアザゼルに飛び掛かり攻撃を仕掛けるがアザゼルには冒険者でもない男達の攻撃など当たることもなく、逆に男達を殺していく。


「な、何だこいつ。攻撃が当たらないだと。」


「ぐはっ。み、みんな・・・に、逃げるんだ。」


次々に殺されていく住民。ついには女性陣達にも攻撃の手が向けられる。


「カレンちゃん、あなただけでも逃げなさい。そしてこの事を村に残っている人達に教えて!」


「で、でも・・・・。」


アザゼルの虐殺は止まらない。そうこうしてるうちにカレン1人だけになってしまう。恐怖で足が震えるが、村にはガロード達が居る。ここでアザゼルを村まで行かせてしまったら間違いなく皆殺される。そこの事をわかってか、カレンはアザゼルに交渉を持ち掛ける。


「ど、どうしてその人たちを探しているのですか?」


「どうして?それは実験のためですよ。英雄の血を引いた2人には、堕天使になってもらいます。ま、大人だと成功する確率は低いのでその子供でもいいのですが。子供なら、成功する確率がだいぶ増えるので申し分ないのですが、子供が居るという情報は効いていないので、時間がかかるかもしれないけど、あの2人には子供を産んでもらい、本人とその子供を実験台にしようかと。」


「その2人の子供が私って言ったら?」


「おや、あなたはあの2人の子供なのですか?」


「そうよ、私の名前はカレン。正真正銘ライオネルとケイトの子供よ。だから、私を連れて行きなさい。それでいいでしょ!これ以上、村の人たちを殺さないで!」


「あなたが、あの2人の子供という証拠がないのですが。」


「その実験に失敗したら、村を襲うなりあの2人を探すといいわ。あの2人を探すより、まずは私を実験体にした方が早いわよ?」


「ま、いいでしょ。もし失敗したら、各地の村を襲い探し出すだけの事。では、ついてきなさい。」


「ええ、わかったわ!でも、1回家によっても良いかしら。最後に父さんと母さんに手紙を残したいの・・・・すぐに終わるわ」


「ま、いいでしょうそのくらい。手短にお願いしますよ。」


「わかったわ」


こうして、カレンはガロードの存在を隠し自分1人だけが犠牲になって、アザゼルの実験は成功するのであった。

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