運命の再会
「な、なぜだ・・・・・。なぜこんなことに。」
盗賊のリーダーはその光景を見て絶望する。先ほどまで、優勢だったのに対し1人の幼女の出現で一瞬で立場が逆転したのだから。
「こんなのどうしたら・・・・・・」
まるで勝てる気がしなくなった盗賊のリーダーは、逃げることを考えるがそれをシーレが許すわけもなく、ジリジリと盗賊のリーダーに近づくシーレ。後ずさりする盗賊のリーダーだが、シーレの気迫によりうまく体が動かない。
「ひぃ、た、た、助けてくれ・・・・・・。頼む。」
「んー。」
シーレは、盗賊のリーダーの声に耳もかさずさらに距離を詰める。1歩1歩ただジリジリと詰め寄るシーレ。
と、その時だった。シーレは何かを感じ取ったのか体の前で手をクロスさせ防御態勢をとる。次の瞬間、シーレに衝撃波のようなものがあたり、シーレが吹き飛ばされる。二転三転転げ、やがて木にあたり意識を失う。
その光景を見たガロードはすぐにシーレの所に向かう。
「おい、シーレ!大丈夫か!?シーレ、返事をしろ。」
しかし、シーレは反応しない。完全に気を失っている。
「おお、やっと見つけたぞシーレ!こんな所に居たのか。さっさと帰るぞ!」
声の主は、盗賊のリーダーの後ろから現れ近づいてくる。年齢は40歳ぐらいの男で、体中に傷がありもの凄い量のオーラを放っている。その男の顔をガロードが見た瞬間、ガロードの表情が一変する。
「お、親父・・・・・・?」
「ん、なんだガロードか。ずいぶん久しぶりだな。そして、ずいぶんでかくなったな。」
そこに現れた男は、ガロードがまだ小さい頃に姿を消した父親、ライオネルだった。ガロードは、ずっと探していた父親とついに再会した。
「親父、今まで何をしていた。俺や、母さんが必死に姉ちゃんを探していたのに急に居なくなりやがって!今更出てきてどー言う事だ!」
「あーん?どうもこうもねーだろ。俺は1年前から行方不明になっていたお前の姉、カレンを探してて今やっと見つけたんだからな。まったくずいぶん探したぞカレン勝手に消えやがって。」
「何を言っている!それにあんたが姉ちゃん事をカレンって言うな!さっきからふざけた事ぬかしやがって!いくら親父とはいえただじゃ済まさねーぞ!」
ライオネルの口から姉のカレンの名前が出たことにより、ガロードは困惑している。
「は?ガロード、それ本気で言っているのか?」
「本気もクソもあるか!俺はずっとあんたと、姉ちゃんを探してきた。あんたを見たという情報がこの国であったからここまで来たんだ。だが、姉ちゃんの情報が何一つない状況なのに、ここに居るってそんな話しあると思ってんのか!?」
「なるほど、何も知らないんだな。ま、この際だ何も知らないお前に教えておいてやる。」
「お前の姉カレンは、今お前が抱えているシーレだ。」
「なっ!」
ライオネルの言葉を聞いたガロードは完全に取り乱す。理解が追いつかないガロードは、父親の言葉を否定する事しか出来なかった。
「違う!違う!違う!シーレが姉ちゃんの訳がない。姉ちゃんは普通の人間。でも、シーレは堕天使。人間が堕天使になるなんてありえない!でたらめを言うな!」
「はぁ。それが出来るんだよ。長年研究を続けてきたからな。カレンは昔、お前を守るため自ら堕天使になることを選んだ。ま、ガキだったお前は当然そんなことは知らないだろうけどな」
そう、その昔まだガロードが小さかった頃、ある事件をきっかけにガロードの姉カレンはガロードの命と引き換えに人間をやめる選択をしたのであった。




