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聖女の妹の呪いを解く為今日も兄妹は旅をする  作者: 雨のち晴れ
ガロードの家族編【ガロード シーレ編】

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謎の少女 其の4

ガロードは今、全速力でシーレ達の所へ戻っていた。レイナ達の洋服を選んでいたらすっかり日が沈んでしまっていた。暗闇の中、颯爽と森の中を駆け抜けるガロード。


「やべ、こんなに遅くなるとは・・・・。こりゃ、シーレにまた噛みつかれてしまう。ああ、怖い・・・・。」


ガロードとシーレは、ここまで長く離れていたことは無い。今まで最も長く離れてい時間は1時間ぐらいだ。それが今回は軽く4時間は超えている。内心ものすごく焦っているガロード。1時間ぐらい離れていた時は、シーレは泣きながらガロードに噛みついた。その時の、シーレの機嫌を直すのに3日ほどかかった。


なので、これからはそこまで長く離れないつもりでいたが今回やらかしてしまった。


「まずい、まずい、まずい。」


スキル旋風を使い、早さを底上げして最短距離を進んでシーレ達の所をめざし、ようやく到着した。


【ドンッ】


ガロードが着地した音と共にシーレが戦闘態勢をとる。ガルは、臭いで分かっていたのか顔を起こすだけであった。レイナとニコルも何事かと起き上がる。


「わりー、シーレ遅くなっちまった。ちゃんとお留守番できたか?」


「んー。んー。んー。」


シーレは泣きながらガロードに飛び掛かる。ガロードの胸に納まったシーレはガロードの胸を一生懸命叩いている。そんなガロードは謝りながら、シーレの頭を撫で、ついでにパタパタさせている羽も撫でる。シーレは、ガロードにだけ自分に触れることを許している。ガロードの胸に顔をうずめて気持ちよさそうにしている。


「ねえ、レイナ。あの男の人、羽を触っているのに噛みつかれてないよ?どーいうこと?それに、何だか心を開いている感じがするのだけれど。」


「うん、あれはどうみても心を開いているね。私達が触ろうとしたらすごく怒ったのに。何者なんだろう、あの男の人」


もの凄くシーレの態度が自分たちと違うガロードの事を不思議に思う2人であった。お互いに意思疎通が出来ているように見えるガロードとシーレを見て、2人は苦笑いするしかなかった。ようやく落ち着きを取り戻したシーレをガロードは下ろし、2人にあいさつをするのだが、下ろされたシーレは納得がいかずガロードに対して、歯を剝き出しにして怒っている。


「あー、わかった!わかった!シーレはここがいいんだな。」


再びシーレを抱きかかえるガロード。シーレも納得がいき黙る。


「悪いな2人ももう少し早く到着するつもりだったんだけど、予定よりだいぶ遅くなってしまった。すまん。」


ガロードは、2人に対して遅くなったことを詫びる。するとレイナがガロードと話し始める。


「いえいえ、平気です。それより、あまり覚えてないのですが私達を助けていただきありがとうございます。」


「あ、いや、助けられたかって言われると微妙なんだけど・・・。ほら、その、なんだ・・・・・。」


急に顔が赤くなるガロードに対してレイナは、


「確かに、あの場面を見られてしまった事には少し抵抗がありますが、命があっただけ良かったです。あのままだったらもっと酷いことをされた上に、どこかにまた売られていたことですし・・・・・・。」


(ん?また売られていた?)


「それより、これに着替えてくれ。サイズが合うかわからないのだけど。これを買いに行ってて遅くなっちまったんだ。すまん。これに着替えたら王都に戻ろう。王都までは俺達が付いていくから安心してくれ。」


そう言うと、ガロードはレイナとニコルに買ってきた洋服を

渡す。さすがにガロードから借りている上着1枚じゃ出歩けないと思い素直にガロードの優しさに甘えることにしたレイナとニコル。


「じゃ、俺は少し離れた所に居るから準備が出来たらシーレに言ってくれ。その後王都に向かおう。」


そう言うとガロードはシーレをその場に残し森の中に消えていった。ガロードが居なくなったのを確認した2人は着替えながら今後の話しをし始めた。


「ねえ、レイナ。私は王都に戻ったら冒険者を止めようと思うの。もう、あんな怖い思いをしたくないの。レイナのお姉さんを一緒に探すって言ったのにごめんね。」


「う、ううん。いいの、謝らないで。しょうがないじゃない、あんなことがあったらきっと誰でも嫌にもなるわよ。もともと1人で探していたわけだし、気にしなくていいわ。」


「レイナ・・・・・・・。」


ニコルは唇をかみしめながらレイナの顔を見る。その真剣な眼差しにレイナもうなずく。


「さて、着替えも終わったし王都に帰りましょう。依頼はパーになってしまったけど、ニコルと冒険を出来て楽しかったわ。さ、シーレさん!準備が出来たのでガロードさんを呼んできてください。」


「んー。」


こうして4人と1匹は王都に帰るのであった。

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