謎の少女 其の2
ガロードとシーレは、気が付かれないように先ほど見かけた女の子2人のパーティーの後を追っている。女の子達のアライアンスパーティーは、楽しそうに雑談しながら進んでいる。しかし、パーティーはクエストの目的地とは違う方向に向かっている。
女の子2人は、すっかりクエストを手伝ってくれているパーティーを信じ切ってしまっていた。言われるがままにどんどん進んで行くが、人の気配がない森に入ったところで、何かおかしいと気が付いた弓使いの女の子が問いかける。
「あの・・・・・すみませんライトさん。本当にこの道でいいんでしょうか?人の気配が全くしないんですが。クエストは村の近くで魔物討伐のはずなのですが。」
「ん?こっちでいいんだよ。こっちのが近道なんだ。魔物も居ないし、人の気配がないだろ?この道はあまり知られてなくてね、安全に村まで行けるんだよ。正規の道で行くと、魔物や盗賊が居るから初心者の子達にはお勧めできないんだ。そんな心配することないよレイナちゃん。」
「そ、そうですか。ならいいんですけど。疑ってすみません。」
「気にしなくていいよ。誰だって不安になるのは当然さ。」
そんな事を言いつつパーティーはどんどん奥へと進んで行く。流石におかしいと、もう1人の女の子がレイナに、
(ねえ、本当に大丈夫?何だかどんどん気味悪くなっていくんだけど・・・。静かすぎて逆に怖くない)
(うーん。でもライトさんが言うんだったら間違いないと思うんだけど。ニコル、もう少し様子を見てみようよ。)
懸念はしつつ、さらに奥へと進んだところで事態は急変する。森の中から十数人の男達が現れる。レイナたちはすっかり囲まれてしまい、2人は戦闘態勢に入るのだが・・・。
「いつもご苦労様、ライト君。今日は中々の上物2人を連れて来てくれたね。報酬をはずんであげちゃおうかな!」
「おお、それはありがたい。今回の獲物は簡単だったよ。バカだから直ぐに俺達の事を信用してくれた。今日は楽な仕事の上報酬も上乗せしてもらえるなんてラッキーだぜ。」
「「はっはははははははは。」」
ライト達のパーティーは、ニヤニヤしながら笑い声をあげる。その顔は、先程までの優しい顔とは違いとても卑劣な顔をしている。
「なあ、主さんよ。こんな上物滅多にお目にかかれないから、少し楽しませてもらってもいいか。」
いやらしい目つきでライトは、レイナとニコルを見る。それに便乗して残りの男2人も反応する。
「ライト!抜け駆けはずるいぞ!俺達にも楽しませろよ。」
「しゃーねーな!少しだけだぞ!俺は、弓の方をもらうからお前らは、そっちの剣士の方で遊べ。いいよな主さん!」
「困ったものですね。まあ、いつも助けていただいてるので少しだけですよ。くれぐれも傷だけはつけないでください。値が下がってしまうので。」
「呆れた。何で男達っていつもこうなの?はあ。早く済ませなさいよね。時間の無駄だから。」
「わかってるよ!すぐに終わらせるよ。」
そう言うと男達は、女の子2人に近づいていく。下品な声を出しながら・・・。
「え!?ちょっと?何なの止めなさいよ!こっちに来ないでよ!」
必死に声を上げるニコルとレイナ。
「そ、そ、そんな。止めてください。痛い!乱暴しないで!」
「うるさい!すぐに終わらせてやるから黙ってろ!」
「ひっ!」
男達は、レイナとニコルの装備をはずしていく。外野の男達も歓声を上げ、いやらしい目つきでレイン達を見ている。レイン達は、当然男達には力では勝てないので、あっという間に下着姿へとされてしまう。
「や、や、やめて!!!!!!!!」
「いややややややややああああ。アリスおねいちゃーん!助けてー!!!!」
「いいね。いいね。その表情たまんねーよ!もっと見せてくれよ。その絶望に満ちた顔をよ!」
男はレイナに馬乗りになり、体のあちらこちらを触っている。他の2人の男もニコルを裸にして楽しんでいる。
「ひゃひゃひゃひゃひゃっ」「たまんねーぜ!この仕事してて良かった!」
そんな下衆な事を言いながら、ライトはついにレイナを裸にしようとしたとき、
【雷神の型 雷拳】
突如、どこからかそんな声がした時が付いたライトだったが、気が付いた時にはガロードの雷拳が顔面に当たり顔がぐしゃぐしゃになっている。鼻の骨は折れひん曲がり、顎のははずれ、見える範囲の歯は全部木っ端みじんになっている。
「クソ野郎どもが。ガル!容赦はするな。かまわず殺せ。皆殺しだ。シーレ!何ならガルを第二形態にしてもいいぞ!」
「な、何だあの魔物は・・・・・。」
「ガルルルルルルルッ」
「んー。んー。」
完全に切れているガロードは、容赦ない一言を言った後、レイナに自分の上着を着せてあげる。シーレもいつも通り歯を剝き出しにして怒り、魔法を唱える。するとガルの下に魔法陣が現れ、ガルの姿が変化していく。牙はさらに長くなり背中には黒く大きな羽が生える。
変身を終えたガルはすぐにニコルと楽しんでいる男の頭に嚙みつく。男は頭部を失い、ガルに銜えられて、もう一人の男の方に投げつける。直ぐにガルは、投げつけられた男との間合いを詰め手で引っかき、男を真っ二つにする。
ガロードから予備の上着を渡されたシーレはニコルに近づき、上着を掛けてあげる。
「う、う、う。あ、あり、ありがとうございます。」
「大丈夫か。もう安心だ。少し寝ていろ。」
そう言うと、ガロードはレイナの首に手刀して気絶させる。
シーレも、魔法でニコルを眠らせる。
「こんな光景見せるわけにはいかないからな。」
「何だ貴様ら!こんなことして済むと思っているのか。私を誰だと思っている。」
「あん?知らねーよ。つか、おめーらが誰であろうと知ったことじゃねぇんだよ。糞野郎ども。生きて帰れると思うなよ。全員皆殺しだ。やれ、ガル!」
ガルの手により次々と人攫い達は息絶えていく。主であろう男も、その連れ達十数人も死んでいく。残るは最初にガロードにやられたライトだけになる。
「はひっ、はひゃ、ひゃひゃは。」
「あん?何言ってんだ?ちゃんと喋れよ?聞こえねーぞ?」
男は震えながら必死に訴えるが、顎が外れていて何を言ってるかわからない。
「もういい。死ねよ。」
そう言うと、ガロードは男の首をへし折り絶命させる。
「おめーらは、地獄にも行けねーよ!くそったれ!」




