ガロードの家族
皆と別れてから
1年後。
俺は今、夢を見ている。まだ俺が小さい頃の夢だ。
俺の家族は4人家族だ。親父とおふくろ、それと誰にも言ってないが10こ上の姉がいる。
姉の名前はカレン。
いつも優しい姉は、まだ小さかった俺の事をとても大切にしてくれた。ガキの頃の俺は少々ヤンチャで、いつも友達と喧嘩をしてボコボコにされていた。そんな俺を姉は、文句1つ言わずいつも怪我の手当てをしてくれた。
親父も、おふくろも共に冒険者で、家にはたまにしか帰って来ず、いつも2人で任務をやっていた。そのため、俺の事をいつも面倒見てくれていたのが姉だった。
俺は、そんな姉が大好きだった。
ある日、俺がいつも通り友達と喧嘩をして初めて勝った時、嬉しくて姉にいち早く報告したいと思い急いで家に帰った。
「ただいま!!カレン姉ちゃん、カレン姉ちゃん!聞いてくれよ!俺、ついにワタルに勝ったよ!あいつ、泣きながら帰っていったよ!俺だって負けてばかりじゃないんだって証明できたよ!どう?すごい?すごいでしょ!姉ちゃん!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「カレン姉ちゃん?」
だが、そこにはいつも俺の帰りを待ってくれている姉の姿がなかった。家の中を隈なく探したがどこにもいない。そして俺はテーブルの上に置かれた1枚の手紙を見て絶句する。
【ガロード、ごめんなさい。さようなら。いつまでも大好きよ。】
俺は裸足のまま、泣きながら街中を探す。途中で幼馴染の女の子エリカ、エリカをに想いを寄せている喧嘩仲間のワタルが一緒に探してくれるが見つからない。
やがて、日が落ち家にはいつもいるはずの姉が居なく、俺はその日1人で姉の帰りを待った。次の日も、またその次の日もエリカとワタルが手伝ってくれて姉を探すが手がかりが見つからない。村の人に聞いても誰も見ていないという。
「ガロード君元気出して」
「そうだ!ガロード。明日隣町まで行ってみよう!カレンお姉ちゃん居るかもしれないだろ?」
「ダメだよ。隣町までなんて遠すぎて無理だよ。」
「で、でもよ・・・・。このままじゃ。」
ガロードの村から、隣町まで大人が歩いても2日はかかる。まして子供だけで行くとなると、死にに行くようなものだ。人攫いや魔物も居てとてもじゃないが行けるわけがない。
「2人ともありがとう。俺なら平気だよ。もういいんだ。諦めるよ。」
それから数日が過ぎてやっと両親が家に帰ってくる。その間俺はワタルの家で過ごしていた。事情を知った両親は、慌てて冒険者ギルドに行き捜索の依頼を出すが見つからない。
今までろくに帰って来なかった両親に俺は怒りをぶつけた。それから、俺はグレはじめて親の言う事など一切聞かなくなっていた。親父も気が付けば家に帰って来なくなっていた。
母親は、姉や親父が居なくなってやつれはじめてついには俺も親父を探すという目的で家を出る。実際、親父などどうでもよかった。ただ姉さえ見つかれば。
そんなこんなで今日まで過ごしてきた。
「んー。んー。んー。」
「ん、ん?何だ、シーレ!?何やってんだ?」
俺が起きた事でシーレはビクッとした。最近、街でシーレが欲しそうにしていたので、シーレの体に合うショルダーバックを1つ買ってあげた。とても気に入っており、その辺で拾った小石や、木の枝が入っている。俺がバックの中を開けようとすると、シーレはとても怒り凛やアリスの時みたく、歯を剥き出しで怒り、噛みついてくる始末。それ以来、俺はそのバックを開けようと思わなくなった。本気で噛んでくるからである。
何をやっているのか見ていると、シーレはいつも通り俺のバックにゴミを入れている。小石や食べかけのものなど。とても迷惑である。すると、シーレが1枚の写真を俺のバックから出して、物珍しそうに見ている。
「んー。んー。」
「ん?どうしたシーレ?」
シーレはその写真を俺のところに持ってくる。ベットの上であぐらをかいてる俺はシーレから写真を受け取りみる。もちろんシーレは俺の足の上にちょこんと座り一緒に写真を見ている。
「懐かしいな。もう何年も前の写真だ。俺の宝物なんだよ。誰にも話してなかったな。」
「んー。」
シーレは顔を傾け、頭の上にクエスチョンマーク作る。
「この写真の女の人はな、俺の姉ちゃんなんだ。とても優しくてな、大好きな姉ちゃんなんだよ・・・・・。元気にしてるかな、姉ちゃん」
俺は無意識に涙を流していた。そんな俺を見たシーレは、俺の前に立ち頭を撫でる。シーレも泣きそうになるのをこらえている感じだ。
「何だよシーレ。俺の姉ちゃんにでもなったつもりか?って、何でお前まで泣きそうになってんだよ。」
シーレは、俺に抱き着き何も言わない。そんなシーレの頭を俺は撫でてあげる。
「んー。」
「さてと、シーレ!飯にするか!」
ここから先、ガロードの人生を大きく変える出来事が起こる事をまだ2人は知らない。




