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凛の想い

【凛視点】


戦況は何となくぼんやりとわかる。眼が見えなくなった時から少し時間がたった時のこと、うっすらと自分の中に何かしらの力が宿った事に気がついた。


ぼんやりとではあるが自分が目的地に行こうとする道が1本の光により教えてくれる。さらには、人の流れも多少なりわかる。人の形をした光がどういう動きをするのかがわかる。


(兄さんはああは言って言たけど私にも何か出来るはず。私にはアレがあるのだから。兄さんには、いざという時以外は使うなと言われていたけど今がまさにその時だと思う。)


凛は1本の杖を手に馬車から降りる。御者が危険だからやめなさいと言ったが私は大丈夫ですと言い馬車から降りて兄さんの所へと歩き始めた。


私は兄さんから昔、この力が現れた時に1本の杖を貰った。材質は木で出来ており兄さん曰く安物でシンプルな杖だけどなといい私にプレゼントしてくれた。すごく嬉しかった。涙が止まらないくらい嬉しかった。


これで少しは兄さんの重荷を背負えると私は思った。兄さんは今までの人生を棒に振って

まで私に尽くしてくれた。


周りの人と遊びたい年頃なのにそれをせず、魔物と戦って2人の生活が困らぬようお金を稼いだ。


王都の学校に通えば恋だって出来たのかも知れない。けど、それだと生活費を稼げないと言って学校に行かなかった。魔物と戦って疲れているにも関わらず家の事も手伝ってくれる。


兄さん自身がやりたい事をいつも後回しにして私の事や家の事を優先してくれた。私の発動した能力の使い方や訓練に付き合ってくれた。


そんな兄さんが今戦っている。状況は芳しくない。人数で圧倒的に不利な状況。眼が見えなくても兄さんを肉眼で捉えているかの様にわかる。私には人がそれぞれ違う光で見える。


兄さんの色はハッキリとわかる。他の誰よりも強く発色していて綺麗だ。近づくにつれて皆の色がわかる。兄さんが攻撃を受けた後防戦一方になっている。


多分、何かしらの攻撃を受け怪我をしてそうせざる負えない状況になっているに違いない。


1番多くの人達と戦っている人は、その後ろの人物を守る形で戦っているのがわかる。


(あの後ろで守ってもらっている人さえどうにかすれば戦況はひっくり返るはず。なら私のする事は1つしかない。私が代わりに守れば良い事ただそれだけだ!)


すると1人の女性が叫ぶのが聞こえた。1番多くの盗賊を相手にしている人だ!


『クッ!姫様!お逃げ下さい!』


地面に横たわっている者が何かを投げた。が1本のだけ背後に居る人物に当たろうとしたとき、


『ホーリーシールド(聖なる盾)』


すると、背後に居た姫と呼ばれている人物の前に魔法陣が現れその攻撃を防ぐ。すると、メイド服の女性と戦ったいる盗賊のうち1人が凛に向かって走ってくる。


『凛!!』


兄さんが私を呼ぶ声が聞こえた。


『アレを使え!』


兄さんの言うアレとは、現時点での私の奥の手だ!そうはさせまいと、盗賊の1人が私に攻撃を仕掛ける。


光の影で何となく攻撃は解るが裁ききれない。いくつか攻撃を受けるが痛くてもそんなのは気にしない。


こんな痛みは兄さんが昔ら抱えてきた重荷と言う私の事で何も出来なかった残酷な事に比べれば何でも無い。


『ホーリーフラッシュ(聖なる光)』


すると、凛の杖が眩い光を放ち盗賊が眼をくらませるその隙を突いて、急いで姫と呼ばれている者の前に立つ。そしてメイド服の女性に向けて


『少し時間を稼いでもらえますか?この戦いを終わらせます。』


するメイド服の女性が


『分かりました。お任せ下さい。お2人には近づけさせません。』


メイド服の女性は、先程凛に襲いかかった盗賊も加わった状態での戦闘で1対4にも関わらず奮闘している。


凛は直ぐ様準備に取り掛かる。やがて凛の体が青白いオーラに包まれて準備万端だ!


凛は、直人と髭面の爺さんにメイド服の女性に対して、


『皆さん、盗賊達から離れて下さい。危険です。』


と言い、3人が距離を取ったのを確認した後に魔法を放つ。凛の身体を覆っていた青白いオーラは、天に向かって放たれる。


すると空に大きな魔法陣が出来て、まるで雨でも降っているかの様な青白いオーラが地上へと降り注ぐ。


『ホーリーレイン(聖なる雨))

凛は杖を天に掲げて魔法を唱えた。

凛の魔法は盗賊達に直撃して、奴等は全員気絶する。凛は自身のMPを全て使い果たし、何とも言えない脱力感でその場に座り込む。


『やった。私も戦えた。これで少しは兄さんの役に立てたかなぁ。』


と言ったのを最後に凛は気を失う。直に直人が駆け寄り凛を抱き抱えて、


『頑張ったな凛。よくやった。あとは安心して休め。』


直人はそう言いながら凛の頭を撫でる。今回の戦いで自分は全然弱いと痛感した直人は唇を噛み締めて悔しがるのであった。


(くっくっくっくっ。遂に見つけたぞ聖女)

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