凛とエリーとガロードと
翌日、すっかり元気になった凛が、
「エリーちゃん、いつ帰っちゃうの?」
寂しそうな顔で凛が言う。実際、凛とエリーは同じ歳でお互い初めて出来た友達。
凛は呪いのせいで同世代の子たちとは距離を置いていた。自分がそばに居ると迷惑がかかると思い1歩引いて同じ歳の子とは接していたのだ。
エリーも立場上、友達と呼べる子は居なかった。エリーの場合は、周りが気を使い中々踏み込んだ話が出来ないのだ。
そんな時2人は運命とも呼べる出会いをする。凛が盗賊に襲われているエリーを助け、エリーも誘拐された凛を全面的にバックアップして助ける。
こうしてお互い心を開き親友と呼べるまで仲良くなった。
「うーん。エドワード次第かな。『姫、王都の仕事がございますぞ』って言ってすぐに帰ろうとしてるからな。」
「ふふふっ。エリーちゃんエドワードさんの真似うまいね。」
「こんなのうまくなっても何の得にもならないけどね。」
「姫、聞こえてますぞ」
「げっ!いつから居たのエドワード!居るなら居るって言いなさいよ!変な汗かいたじゃない」
「姫がろくでもない真似なんかするからですぞ。まったく」
エドワードが呆れた顔をしていった。そして凛が、
「エドワードさん、いつまでこの街に居られるのですか?」
「ま、王都の仕事が何処かの姫のおかげで山積みですからね・・・・・・。今日ぐらいはまあ、ゆっくりするとして明日には帰りますかね。」
「じゃ、今日はエリーちゃんとお出かけしてきてもいいですか?」
「どうぞ!行ってきてください!こんなおてんば姫でよろしければ。」
「何よそれ!エドワード、最近私によく喧嘩売るじゃない!いい根性してるわね!」
「そんな事言ってもいいのですか姫!?もう、このエドワード書類整理のお手伝いしませんぞ?」
「むむむ。言うわね・・・・・・。」
「姫がまじめに働いてくれるならこんなこと言いませんぞ!?」
「あははははは!2人も本当に仲良いね!」
楽しそうに笑いながら2人のやりとりを見ている直人とアリス。
「よかったですね。凛様が元気になられて。」
「そうだな。エリーには感謝しても仕切れないな。」
「じゃそー言う事でエドワード、私はこれから凛ちゃんと出かけてくるわね!お留守番よろしく!」
「姫、我も同行致しますぞ!何かあったらまずいので。」
「何であんたが来るのよ!あなたが来ると楽しめないじゃない!」
「しかしですなぁ。誰か護衛が居ないと・・・・・。」
すると直人が、
「それならガロード、君が護衛として凛達について行ってくれないか?」
「えっ!?俺が?何で?」
「君ならあの2人と歳も近いし、いざと言う時頼りになるだろ?あいにく俺は調べたい事があるのでな。」
「えー、嫌だよ。女の子2人と一緒に居るなんて俺に死ねって言ってるのと同じだ。俺はまだ死にたくない。」
「私は賛成!ガロード君とはあまりお話ししたことないし、もっとお話ししたい。」
「私はどっちでもいいわよ!エドワードがついてくるよりよっぽどマシだわ!」
「酷い言われ様ですねエドワード様。」
「アリスからもなんか言ってくれ。心が折れそうだ。」
「はははははっ。心が折れないよ祈っております。」
「じゃ、そう言う事でガロード頼んだぞ!」
「えええええ。マジかよ。」
「じゃ、早速出発!行くよエリーちゃん、ガロード君」
「はーい」「へーい」
こうして3人は街へと向かうのであった。この後、とんでもない事が起こることなど知らずに。