大切な物
アリスの顔は穏やかではない。怒りに満ちた顔をしている。
「あなた達は泣かしてはいけない人を泣かした。そして大切な物を奪った。これがどういう事かお分かりですよね。」
アリスはゴミでも見るようかの目で凛の隣にいる男を見た。その目を見た男は、
「ひいいいいぃぃぃ。」
殺されると確信した男はその場から逃げようと必死になるが、
「パラライズダガー」
【グサッ】
逃げようとした男の足に当たる。
「何を逃げようとしているのですか?。自分たちの犯した罪を償いなさい。その命に代えて。」
「このアマ!!調子こいてんじゃねーぞ!」
そういって飛び込んできたのはアリスと同じクラス暗殺者の男だった。
「インビジブル(姿消しの極意)、スニーク(消音の極意)」
アリスがスキルを使うと、アリスが皆の視界から消え足音すら聞こえない。聞こえるのは声だけ。
「くっ!何処だ!何処に居るこのアマ!」
何処からかアリスの声がする。
「あららら?何処に居るかもわからないんですか?本当に貴方は暗殺者ですか?同じ暗殺者ならわかると思うんですが。
貴方、もしかして雑魚ですね。」
「隠れてないで出てこい」
「出てこい?バカなのですか貴方は?わざわざ出てきて戦う暗殺者が何処に居るんですか?そんなことも知らないのですか?なら、今すぐ死んで暗殺者をやめなさい。」
アリスは男に向けてクナイを投げる。
「ぐはっ」
男はふらつき、男の視界がグルグルとまわる。
「はあ。これぐらいの耐性も無いとは。どれだけ弱いのですか?凛様が杖を持っていたら貴方達など1秒もかからず死んでいましたよ?まあ直人なら2秒かな。」
「で、でたらめな強さだ・・・・・・。」
最後に攻撃をうけてない男はそう言って離脱しようとするが、アリスが逃すわけもなくスキルで攻撃する。
「でたらめな強さ?これでも私は1番弱いですよ?それと、誰が逃げていいと?貴方達はここで死ぬのです。慈悲もなく。ただ無情に。」
その一方的な戦闘を見てガロードは、
「すげー。どうなってんだ!?一方的じゃねーか。信じられねー強すぎる。」
「さて、お遊びはこれくらいにしてそろそろ死んでもらいますね。」
アリスの殺気が男達にむけられる。
「た、助けてくれ命だけはこの通りだ。な、何でもやる!だからな、な、な?いいだろ?」
「お前たちは、あの子の大切な物を奪った。そう、とても大切にしていたもの。この世でたった1つの宝物。それを奪っておきながら、命だけは奪わないでくれ?都合が良すぎではないですか?奪ったって事は奪われてもいいという事だと思うのですが。なので私は貴方達の大切な物、命を奪います。さようなら。地獄にも行けないでしょうね。」
「ポイズンダガー(毒の短刀)」
アリスは毒を付与したクナイを男達に投げた。
「自分の犯した罪を後悔しながらじわじわ死になさい。」
そうして、アリスは凛の前に座り凛を抱きしめる。