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出発

この世界では16歳で成人となり、凛が16歳になったこの日俺は育ての親の村長の部屋へと来ている。そう、今日から妹の呪いを解く旅に出るために報告と今まで育ててくれたお礼を言うためだ。


『直人よ、本当に行くのだな?この村で凛と2人で暮らして行く道もあるのだぞ!?』


『すみません。俺はどうしても凛の呪いを解いてあげたいんです。あの日俺は凛に助けられました。だから、今度は俺が凛を助ける番なんです。ここまで何不自由なく育ててもらったのに本当に申し訳ございません。』


『いや、謝る事はない。直人達が考え抜いて決めた事だからわし達は何も言わん。』


『ありがとうございます。村の人達も良くしてくださり助かりました。』


『我々大人達が子供に手を差し伸べることなど当たり前のことだ。それよりこれからどうするのだ?行く当てはあるのか?』


『とりあえず、色んな街に行き情報を集めようと思います。そこでギルドに寄って冒険者登録を済まして本格的に動くつもりです。16歳になった凛も自分のクラスが何なのか知りたいらしくて。』


そう、この世界には各自が生まれながら天より授かったクラス(ジョブ)あり、16歳の誕生日に教会に行けば調べられる。ちなみに直人のジョブは【侍】だ。侍は、この国では珍しく主に東の国に多く存在したジョブだ。でも今では東の国は、魔王軍により支配されて侍のジョブは貴重ものになっている。


『そうか、わかった。でもくれぐれも無理するのでは無いぞ?辛くなったらいつでも戻ってこい。我々はいつまでお前達兄妹を歓迎する。』


『ありがとうございます。』


『それで何だがお前にこれを渡しておく。いつかこうなる時が来ると思い、しまっておいた物だ。受け取るが良い。』


そこには一本の刀があった。良く磨がれている。刀とは東の国で良く侍が装備していた物だ。


『これは?』


『お前の父親が使っていた物だ。この時の為に取っておいた。これも何かの運命なのじゃろう。お前の父親もまた侍だったからなった。』


『俺のおやじが侍?』


『ああ。昔この村が魔王の手下に襲われた時お前さんの父親がこの村を救ってくれたんだ。そして、その時この村に居た1人の女性と結婚し、お前達2人が産まれたのだ。』


『そっか。おやじも侍だったのか。それはそれで嬉しいなぁ。それで母さんのジョブは何だったんだ?』


『それがのう、お前の父親は多くを語らなくてな・・・。わしらも知らないのだよ。2人で確かめに行った事は間違い無いのだがなぁ。』


『なるほど。わかりました!色々教えてくれてありがとうございます。』


『いや、何の力にもなれずにすまん。そうだそれとこれを持っていけ!村の住人達からの餞別じゃ。』


そこには数枚の銀貨と銅貨が入っていた。


『こ、こんなに?流石にこの量は受け取れないですよ。多すぎます。』


『いいんだ。この村の住人からしてもお前たち兄妹は家族の様な物だったからなっ!そんな家族同然の兄妹が旅立つんだ、みんな応援してやりたいに決まっておる。』


『何から何までありがとうございます。大切に使わせてもらいます。』


『そうだ。それで良い!さて、そろそろ行かんと凛も待ってあるんじゃないか?』


『あっ!そうだった!こうしちゃいられない、凛に怒られちまう。』


『はっはっはっはっ!凛は出来た妹だからなぁ!あんまり心配かけるなよ!』


『あはははははっ。そうですね、兄の俺より妹の凛のがしっかりしてますね。では、行ってまいります。今までお世話になりました。』


そう言って俺は部屋を出ていき、凛のまつ我が家とへ向かった。


『ただいま!遅くた凛!悪い。』


そう言うと凛は笑って


『いつもの事じゃん、気にしてないよ?それよりちゃんとお礼は言えたの?』


『あぁ、大丈夫!ちゃんと言ってきたよ。それより支度は出来たか?』


『まったく、お兄ちゃんじゃあるまいしちゃんと終わってるよ!お兄ちゃんの分もね』


しっかり者の妹は、兄が村長の家に行ってる間、自分と兄の荷物をまとめたいた。食料や衣類まで何から何まで。


『ありがとう。助かるよ凛。いつも悪いな、お前にはいつも助けてもらってばかりだ。』


『まったく、何言ってんの!?いつも助けてくれるのは兄さんの方じゃない。眼の見えない私に変わって、危険な魔物を倒してお金を稼いでくれたり、私のわがままいつも聞いてくれて、何不自由なくさせてくれたんだから。凛の方が感謝してるよ。感謝しきれないくらいに!さっ、準備も出来たしもう行こう!』


『そうだな行くか、俺達の旅に。凛の呪いを解く旅に。』


『そうだね・・・・。行こっか!兄さん。』


こうして俺達は、育った村を出て新たな冒険へと駆り出すのであった。

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