いざリッカ街へ
直人達は、王都アグリアスを出て2日ほど行った先にある次の目的地リッカ街を目指して馬を走らせている。
リッカ街の少し手前で、とある行商の馬車を見かける。馬車は、年配の男性が手綱を握ってその横には奥さんであろう女性が座っている。
荷台には商品であろう品と凛と同じ年くらいの1人の少年が座っている。直人は、その馬車の横につけ挨拶をする。
「こんにちは!何処に向かっているんですか?」
すると年配の男性が、
「この先のニッカ街だよ!仕事でそこまで商品を運んでいる所さっ!」
「俺達もニッカ街に向かう途中なので、護衛を兼ねてお供しますよ!この辺は魔物も多いですし。」
「それはありがたい。是非お願いします。」
しばらく馬を走らせていると、やはり魔物と遭遇する。以前、エリーに次の目的地を話した時道中に魔物が頻繁に現れるのでお気をつけ下さいと言われた。
エリーが教えてくれていたから警戒をしながら進んでいた直人はエリーに感謝するのであった。
「ひいいいいいい。ま、魔物だ。ガ、ガロード君頼むよ!」
男性は、荷台に居る少年へそう告げると、荷台に座っていたガロードが
「りょーかい!任せておきな!」
そう言うとガロードは、立ち上がり馬車の前へ移動する。
「何だボアウルフか。楽勝だなっ!にーちゃん達は手を出さなくて良いよ!こんなの俺1人で十分だ」
「わかった、任せる。けど危なくなったら助太刀するよ」
直人はニコニコしながら答える。
「あーい、了解!っとさていっちょやりますか」
ガロードの腕には、手甲が付けてあり、右腕をブンブン振り回している。
(あの子のクラスはモンクか。さて、お手並み拝見といきますか。)
よだれを垂らしながら殺気丸出しの3頭のボアウルフがガロードに向けて攻撃を仕掛ける。
1頭のボアウルフがガロードを引っ掻こうして飛びついてくるが、それを難なくかわすガロード。攻撃を躱したガロードはカウンター攻撃でボアウルフの顔に右フックを浴びせる。
ボアウルフは、ギャンと言いながら吹っ飛んで行く。すかさず残り2頭のボアウルフも攻撃をしてくるがガロードはそれも余裕に躱し、ボアウルフの腹を殴り飛ばし、もう1頭には回し蹴りをお見舞いする。
3頭のボアウルフは、塵となり魔石が地面に落ちる。それを拾ってガロードは年配の男性の所に行き、余裕余裕と言い、荷台に戻っていく。
その後は、モンスターに襲われる事なく無事一行はリッカ街に到着する。
年配の男性が、
「皆さん、助かりました。ありがとうございます。少ないですがこれを受け取って下さい。」
年配の男性は、荷台の箱から食料を取り出した。
「こんなものしかないのですがよろしかったら。」
そう年配の男性だか言うと、直人は
「いやいや、受け取れませんよ。俺達もここにくる予定でしたし、何もしてないし。」
それに対しガロードは、
「俺もいらねーぞ!ギルドから護衛の報酬金出るし。俺料理出来ねーし。」
「そんな・・。それでは私達の気が。」
「本当に構いませんよ!大事な商品なんですから。わざわざ仕入れた商品を俺達が貰うわけにはいきませんよ。本当に大丈夫ですから」
と直人は言いガロードも
「そうだぜおじちゃん。折角商品なんだからこの街で売れよ!その為にここまで来たんだろ?取り分減らす事ねーだろ!このにーちゃんも言ってるし。」
「そ、そうですか。それではお言葉に甘えて。何かあったら言ってください。しばらくはこの街に滞在しますので」
「わかりました。その時はよろしくお願いします。」
そう言って年配の男性達は街の中へと消えていった。
すると直人がガロードに、
「ガロード君悪いな。何だか気を使わせちゃって。俺達が断ったからガロード君も断ったんだろ?」
「ちげーよ。本当に要らなかったんだよ。さっきも言ったけど、料理出来ねーから持ってても邪魔になるだけだし。」
ガロードは、うんうんと頷きながらそう言った。
「それなら良いんだけど。それはそうと、ガロード君は強いね?クラスはモンク?」
「クラス?知らねー。俺まだ15だから鑑定出来ねーし。この手甲は親父から貰った。格闘術も親父から教わった。」
「へえー、お父さんか。お父さん相当強いでしょ?」
「まあな。冒険者ランクは知らねーけど結構上だって言ってたな。あんま詳し事は知らねー。興味ないから。っか、俺もう行くわ!冒険者ギルド行かねーとならねーし。」
「ああ、引き止めてごめんな。気をつけてな。何だか嫌予感するから。」
「おう!そんじゃ、じゃーなにーちゃん達!」
そう言ってガロードは走って街の中に行った。
するとアリスが、
「彼、中々出来ますね!あの歳であの身のこなし。15歳の若さであそこまで出来ると将来相当強くなりますよ。」
「そうだな!俺も正直驚いたよ!俺もあの歳の頃はあそこまで強くなかったよ。」
苦笑いをしながらそう直人は言った。
「御冗談を。」
アリスがこいつ何言ってやがる的な目で直人を見た。
「ははははははっ」
笑って誤魔化す直人であった。