堕天使アザゼル
『さあ、始めようか!駆逐の時間だ』
そう直人が言うと、
周りの盗賊達が一斉に攻撃を始める。
『坂柳流零の剣 【疾風迅雷】』
すると直人は身体に風と雷纏う。疾風迅雷のオーラを纏った直人は凄まじい程の速さで周りの盗賊達を倒していく。
『つ、つよい。これが直人様の本当の実力。まさかこれほどとは。』
直人の、攻撃は止まらない。
『おいおい。こんな物かお前らの実力は!?もっと俺を楽しませろ!』
圧倒的に数では負けているが、それよりも直人の速さが尋常じゃないので盗賊達は手も足もでない。
なぜ、直人が一気にここまで強くなったかと言うと、その鍵は【坂柳流零の剣 疾風迅雷】にある。
直人の侍スキルは全部で零から拾までの11個ある。
中でも、疾風迅雷のスキルは、条件を満たさないと使えない。その条件とは、
1つ、自分が瀕死の状態。
2つ、自分の仲間が目視出来る距離にいて尚且つ瀕死の状態。
この2つうちどちらか1つと直人がキレている事が条件だ。
今回は、アリスが瀕死の状態と直人がボコボコにされているアリスを見てキレたから発動出来た。
『こ、こいつ化け物。ひっひいいいいいいい。』
盗賊のリーダーが逃げ出そうしたのを見て、直人は
『逃がしゃしねーっての・・・・・・!?』
盗賊の、リーダーが逃げようとして直人が風切りを使おうとした時、この世の者ではない恐ろしい憎悪が辺りに立ちこめた!
『おやおや、逃げるなんてみっともないですね。それでも盗賊のリーダーですか?』
そこにはまるで羽が黒くでも身体は白い天使の様なシルエットをした物が宙に居た。
それを見た直人は、
『何者だ!?』
『ん!?私ですか?私は魔王軍直属部隊拾弍堕天使の1人、神の強者アザゼル。以後お見知り置きを!本日は、魔王様復活の為に必要な物が手に入ったようなので取りに来たのですが、何やら面白そうな事になっていますね!』
『堕天使だと?ふざけやがって!てめーも駆逐してやるから覚悟しろ!』
そう言うと直人はアザゼルに向けて風切りを放つ!
『おっと危ない危ない!まったくせっかちな人間ですね!そんなせっかちだと早死にしますよ!』
と言ってアザゼルが指を鳴らすと、直人の頭上からカミナリが放たれる。
『チッ!あいにくこちらは時間がなくてな!そこに居る俺の仲間を早く手当てしないとならないんでね!一気に終わらせてもらうぞ!』
『まったく、これだから人間は嫌いなのですよ!良いでしょう、少し遊んで差し上げます!』
『はんっ、へらず口が!覚悟しろ!』
ここから、直人とアザゼルの一騎打ちが始まる。直人は疾風迅雷を使いながら攻撃を仕掛けるがそれをも上回る速さでことごとく躱される。
『中々やりますね人間にしては!ならこれはどうです!』
アザゼルが無数の雷を放つ。それを躱して反撃を試みるのだが、その雷がアリスの頭上にも現れる。
動こうにも身体の自由が効かないアリス動けない。それを見た直人は、すぐ様アリスの所に行きアリスに覆い被さる様に背中に雷を食らう。
『ぐはっ。』
直撃を受けた直人は口から血を吐く。それを見たアリスは顔が青ざめる。
『直人様!』
『流石の人間も私の攻撃を受けたらただでは済まないでしょう。まあ、お目当ての物も手に入ったし今日はこれくらいにしておきましょう。またお会い出来る事があれば良いのですが。あとはお前達に任せますよ!』
そう言って、アザゼルはその場で姿を消した。
『直人様、大丈夫ですか?何で私なんかを・・。』
『だ、大丈夫だ。心配するな・・・ぐはっ。アリスは確かに凛を誘拐した。けど、凛を助けてくれた事には変わりない。そんだけだ。』
『くっくっくっくっ。ざまあーねーな!兄ちゃんよ!ボロボロじゃねーか!』
そこには逃げたと思われていた盗賊のリーダーと盗賊の残党20人程が居た。
『くそっ!まだ生きてやがったかクソ盗賊!』
『生きてて悪かったなあ、生憎俺は悪運が強くてな!さて、何だっけ?駆逐してやるだっけか?はっはっはっはっはっ、駆逐されるのはてめーの方だ!』
そう言うと盗賊たちは一斉に直人とアリスに攻撃を仕掛ける。
『アリス。そ、そこを動くなよ!直ぐに終わらせる。』
『直人様無理です。私が時間を稼ぐから直人様だけでも逃げて下さい。でなければ私は・・私は。』
『いいね、いいね!そー言うの!俺は嫌いじゃ無いぞ!愛し合うものを守る為に必死になるのは!まずはあの男からやれ!』
そう言うと盗賊達は直人に攻撃をする。剣で斬られ、弓で撃ち抜かれ、拳で殴られ、その光景はまさに地獄絵図だ。
直人に馬乗りして、盗賊のリーダーが直人の顔や腹を殴る。その度直人は口から夥しいほどの血を流す。
『酷い。酷すぎる!お願いもうやめて!もう、いいでしょう!?このままじゃ死んじゃう・・・。』
アリスは涙を流し盗賊のリーダーに訴えかける。
『ああ、こっちは殺す気でやってんだよ!黙ってろ!こいつをやったら、次はてめーの番だ!覚悟しろ』
まるでおもちゃで遊ぶかの様に直人を殴り続ける。
『チッ!こいつはもうダメだなっ。とっとと死ねやボケ!』
そう言って、盗賊のリーダーは大剣を持ち直人の腹に突き刺そうとした時、
『いやああああああああ。』
アリスが悲鳴を上げたと同時に、盗賊のリーダーが吹き飛ぶ。
『ぐはっ』
『お前達、兄さんに何をしている。』
『何をしていると聞いているんだあああああ!』
そこには激昂した凛が立っていた。