色を求めて、記憶の扉へ
街の中心に立つ祈りの社は、今日も柔らかな光を放っていた。
色彩を取り戻しつつあるこの地には、少しずつ人々や動物たちが戻ってきている。かつて失われた風景が、ゆっくりと、しかし確かに息を吹き返していた。
「やっと落ち着いてきたわねぇ…」
こっくりさんが屋台風のお店ののれんを直しながら、遠くを見つめる。
りとは香の煙を調合しながら、社の裏手で静かに風を読む。
クロは町の図書室で、持ち帰った古文書を広げてなにやらぶつぶつ言っている。
ぽんたはお菓子屋さんを巡回しては、味見という名の摘み食いを繰り返していた。
悠真は社の床に新しい模様を描き加えながら、時折、空を見上げて考え込んでいた。
「……なあ、そろそろ次に進む時かもしれない」
その一言に、仲間たちの視線が集まった。
「色彩の巫女──だっけ? この地に色を取り戻すカギになるんだよね」
クロが腕を組みながら言う。
「それに、まだ“七つの記憶”は見つかっていないわ。あの巫女にまつわる記憶の欠片。……全部そろえたら、きっと何かが見えてくるはずよ」
こっくりさんの目が真剣になる。
「でもそれって、“あの迷いの者”が関係してるってことだよな……」
ぽんたが口をとがらせる。あの不気味な存在とまた向き合うのかと思うと、どうしても表情が曇る。
「……災厄の本体」
悠真が静かに呟く。
「アイツらはただの化け物なんかじゃない。“記憶”や“色”に反応していた。もしかすると……全部、同じ場所に通じてるかもしれない」
一同の背筋が伸びる。
「それなら、回廊を辿る必要があるわ」
こっくりさんが、今まで隠していた地図を取り出す。
「この“記憶の回廊”には、巫女の記憶も、七つの鍵も、そして災厄の痕跡も眠ってる。危険な場所だけど……行く価値はあるわ」
ぽんたがきゅっと拳を握る。
「……行こう。ボク、みんなでこの世界に色を取り戻したい!」
りとは静かにうなずき、クロは懐の本を閉じた。
悠真は、色を宿した筆を腰に差し、祈りの社を見上げた。
そして一同は、新たな旅へと向かう。
色を求め、記憶を集め、かつてない“真実”へと近づくために──。




