新しい願いと
中は意外と汚れていてついさっきまで誰か居たような雰囲気だった
ぽんたが怖々誰かいますかー?と聞いている
こっくりさんがしゃがんで後ろからぽんたを見ている
多分それぽんた泣いちゃうなぁと見ていたら案の定泣き出した
おやつを与えてご機嫌を取りながらこれからこの周りの大掃除をしなきゃならない事に深いため息が出た
こっくりさんが頭を抱えながらぼやく。
「もう、なんでアタシが掃除しなきゃいけないのよ……」
ぽんたはおやつをもぐもぐしながらも、まだ鼻をすすっている。
クロはあきれた顔で、でもどこか楽しそうにモップを作り出す。
りとは静かに社の中心を見つめ、祈るように手を合わせた。
悠真も筆を手に取り、壁に残った汚れや傷を少しずつ“色”で修復していく。
こうして、社を守るための、静かだけど大切な作業が始まった。
この場所が、みんなの新たな「希望の拠り所」になると信じて。
随分中は綺麗になった
でも外はまだ濃い瘴気が満ちている
まるで誰も寄せつけないように
「あ!」
クロが何かを見つけたようだ
みんで駆け寄るとクロは1箇所を見ている
そこには、石畳に埋め込まれたような不思議な模様があった。
まるで古いまじないか、封印のように見える。
「これ……もしかして、社を守ってる力の源かも」
りとが小さく呟く。
悠真は膝をつき、指でそっと模様をなぞった。
どこか懐かしい感覚が胸に広がる。
こっくりさんも真剣な表情で石畳を見下ろしながら言った。
「気をつけなさいね。へたに触ったら、何か起きるかもしれないわよ」
みんなが息を呑み、静かに見守る中、悠真はそっと筆を取り出した。
筆で優しくなでると模様が浮き上がり悠真達の周りを囲う
これは…こっくりさんは息を飲む
失われた古代のまじない
まだ魔法や錬金術などがあった頃
人々の願いや思いが一際強かった時代
1人の彩術師が未来に託した願い
石畳に刻まれた光が、悠真たちをゆっくりと包み込み、
まるでその「願い」が彼らを認めたかのように優しく震えた。
「こんなの、教科書にも載ってなかったわよ…」
こっくりさんが、珍しく声を震わせながら呟く。
浮かび上がった模様は、言葉ではないのに不思議と意味が伝わってくる。
──この場所を守ること、この世界を救うこと。
そして、未来へ繋ぐこと。
悠真は思う。
自分たちは偶然ここに来たんじゃない。
ここに来るために、たくさんの出会いと別れを繰り返してきたんだ、と。
光に照らされながら、悠真はそっと筆を握り直す。
まだやるべきことがある。
進もう。
みんなで──。
ゆっくりと、でも確かに──
周囲を覆っていた濃い瘴気が晴れていく。
光に満ちる中で、悠真は強く思った。
ここに、街を作ろう。
みんなが笑って過ごせる場所を。
ぽんたが喜ぶ、甘い匂いのお菓子屋さん。
クロが入り浸りそうな本屋。
りとが静かに過ごせるお香とまじないの店。
そして、こっくりさんが新しい店を開ける場所も。
たくさんの願いが、祈りの社から立ち上がった光に溶けていく。
一人一人の小さな「好き」や「大事」が積み重なって──
それが、新しい未来への一歩になった。
悠真は空を見上げた。
真っ青な空に、優しい風が吹き抜けていった。
「ここを、みんなの場所にしよう。」
誰かがそう呟き、みんなが笑った。
──物語は、まだ、これからだ。




