希望の光
んもう!ほんとにやんなっちゃう
ドロドロじゃないの!
はぁ…お風呂が恋しいわ…
抜け出た先に広がる霧の中からこっくりさんの不機嫌そうな声がする
彼らは鼻が利くから互いの場所がわかるようだ
悠真は自分の傍で仲間たちが声を上げる度にホッとする
突然足に何かが当たってビクリと体を揺らす
ぽんたの声がして謝る
ごめんな?ぽんた
「ううん、うちこそごめんなぁ……」
ぽんたがしゅんとうなだれて、悠真の足元にすり寄る。
霧はますます濃く、手を伸ばしても指先が見えないくらいだった。
足元もぬかるみ始め、何度もつまずきそうになる。
「んもう!誰よこの道選んだの!」
こっくりさんの怒鳴り声がまた霧の中に響く。
「……でも、間違いないんだろう?ぽんた」
クロが静かに問いかけると、ぽんたは小さく、けれど力強く頷いた。
そして――
霧の向こうに、かすかに光るものが見えた。
小さな、小さな、けれど確かに“祈り”の色をした光だった。
小さかった光が徐々に大きくなりはっきりと分かるようになった
「見えた!見えたよみんな!」
ぽんたが大はしゃぎでみんなに伝える
眩しくて目が開けてられない
ようやく光に目が慣れた頃
目の前に広がる濃い瘴気
その中でも抵抗するように光を放ち色濃い場所があった
まだ祈りの社は壊されていない
一同は諦めかけた心に喝を入れて社に向けて走り出した
霧を裂き、ぬかるみを蹴り、ただ一心に走る。
色を失った世界の中で、そこだけが確かに生きている証だった。
「もう少しだよ!」
ぽんたが叫び、クロが振り返らずに頷く。
悠真は筆を握りしめ、りとは風をまとわせて周囲を警戒しながら進む。
こっくりさんも札を手に、臨戦態勢を崩さない。
祈りの社。
誰かの祈りが、まだここに残っている。
なら――自分たちにも、きっとできる。
光に向かって、希望をつなぐために。
みんなは、走った。
辿り着いた祈りの社は綺麗でそこだけ別の世界のようだ
瘴気を寄せ付けず神々しさすら感じる
ぽんたが感嘆の声をあげる。
「すごいなぁ……ここだけ、お日様みたいな匂いがする!」
悠真もゆっくりと歩を進めながら、社を見上げる。
温かい光に包まれて、まるで胸の奥まで癒されるようだった。
りとは慎重に周囲を見渡しながらも、どこか安堵したように微笑んでいる。
クロは鼻をひくひくさせながら、ぽんたの背中をそっと押した。
そして、こっくりさんは腕を組み、真剣な顔で呟く。
「……ここなら、あの子の病も、きっと癒せるわ。」
静かに、けれど確かな希望が、みんなの胸に灯った。




