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見えない都

道中はあまり平和とは言えなかった

迷いの者との戦闘に仲間の怪我

精神が蝕まれるような濃い瘴気

みんな疲れ果てていた


存在するかすらわからないものを探すのがこんなにしんどいとは思わなかった

クロがぐったりとしながら、ぽんたを背中に乗せたままぼやいた。


「…なぁ、悠真。本当に“祈りの都”なんてあるのかよ」

力なく言ったその声に、誰もすぐには答えられなかった。


こっくりさんも、普段の調子は影を潜め、静かに周囲を警戒している。

りとはただ前を見据え、黙々と歩いている。


悠真は、乾いた喉を無理やり潤してから、ぽつりと呟いた。


「……わからない。けど、行かなきゃいけないって思うんだ」


それだけが、かろうじてみんなを前へと押し出していた。


ぽんたは眠りながら、小さな手でクロの毛をぎゅっと掴んでいる。

この子たちを守りたい。絶対に、もう泣かせたくない。


悠真はそっと筆を握り直す。

たとえ、何度でも立ち塞がる闇を越えてでも。

祈りの都を見つけなきゃいけない——そんな思いだけが胸を満たしていた。


むにゃむにゃとぽんたが寝言を言う

たぬみち兄ちゃん!あんな?どら焼きってお菓子が美味いねん!

あとな悠真が色を見せてくれたり自分の色も見つけてん


夢の中でたぬき村に帰ってるのかもしれない

クロがここら辺で少し休憩しようと言う

みな同意だった

小さな湖の傍で久しぶりの澄んだ空気にほっとする

ぽんたをクロがそっと下ろし、みんなで湖のほとりに腰を下ろす。


湖面はまるで鏡のように空を映し、どこか懐かしい匂いがした。

りとはぽんたの寝顔をじっと見つめながら、優しく耳を撫でる。


こっくりさんは水面に向かって石を投げ、パチャリと小さな波紋を作ると、ふうっと息を吐いた。


「……こういう場所、もっと増えたらいいのにねぇ」


悠真は黙って、筆を取り出した。

湖畔に小さな花を描き、ぽんたの枕元にそっと咲かせる。


クロがにやりと笑って、「なぁ、今だけは戦いとか忘れようぜ」と言った。

誰も否定しなかった。

今だけは、ほんの少し、みんなで静かな時間を過ごしたかった。

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