あなたのために
泣いているみんなを不思議そうに眺めるぽんたとニタニタ笑うきつね
おはようねぼすけさんときつねが笑う
自己紹介まだだったわねぇ?
ワタシの名前はこっくりよ
悠真ならわかるわね?この意味が
「……もしかして、呼んだのってクロ達じゃなくて……」
悠真がぽつりと呟くと、こっくりは嬉しそうに眉を上げる。
「そうよぉ?あんた、しっかり覚えてなさいよ?」
銀の尾をふわりと揺らしながら、こっくりは言葉を続ける。
「水盆のまじないには“心の奥にいる存在を引き寄せる”って効力もあるの。
だから本当は……あんた自身が、無意識にワタシを呼んだのよ」
悠真は驚きに言葉を失った。
ぽんたが、ぽかんと口を開けている。
「泣いてる子たちに“繋がり”をくれたのは、他でもないあんたよ、悠真。
そして、その繋がりを“形”にしたのが——ワタシってわけ」
「こっくり……さん……」
その名を口にすると、どこか懐かしい響きが胸にじんわりと広がった。
こっくりはにっこりと微笑む。
「忘れてもいいのよ?でもね、心のどこかでちゃんと感じていて。
色が、音が、命が、繋がってること。あんたたちが出会えた意味を——」
悠真は小さくうなずく。
そして、ぽんたに目をやると……ぽんたは相変わらず不思議そうな顔のまま、
「おやつは……?」
「お前はそれかーっ!」
クロが泣き笑いしながら突っ込んだ。
みんなの笑い声が森に響く。
その空の向こう、銀色の光がそっと瞬いていた——。
「仕方ないわねぇ、あんた達見てられないわ」
こっくりが銀の尾をひとふり、腰に手を当ててため息をつく。
「一緒に行ってあげるわよ、旅に——」
その声に一同がぽかんと目を丸くする。
「ちょっと!なによその顔!……喜びなさいよお!!」
ぷんすか怒りながらもどこか嬉しそうなこっくり。
ぽんたが思わず「ほんまに!?」と跳ね上がり、
クロは「騒がしくなりそうだな」と小声で呟き、
りとは「……賑やかになりそうだ」と目を細めた。
「うふふ、まぁ頼りにしなさいな。
このワタシ、元・森の願掛け大明神、“こっくり”様なんだから!」
こっくりの背後にほんのりときらめく光が揺れる。
どこか懐かしく、どこか切なく、でも確かな光。
そしてまた、一歩。
彼らの旅は、色を取り戻すために続いていく——。




