14 森での実験
今日もあの森に行きますか。
小屋でももちろん実験をやっているんだけど、広々とした地上でもしたいことがたくさんあるんだよね。
だから6歳の頃に森の中のいい場所を見つけて、そこでも実験しているよ。 もうかれこれ一年と1か月たつのかな。
たびたび、外に出て、森とかに行っているけど、まだ生まれてきてから一度も魔獣を見たことがない。
その森は平和で、魔物がめったに出てこないみたい。そんな場所って、めったになくいいんじゃないかな。 野生の動物はいるけどね。
こっそり抜け出して、いまから森に行こう。
もう6歳になるから一人で外に出かけさせてって言ったら、みんなに止められるんだよ。 どこかにいくなら、侍女か護衛を連れてけってね。
誰かに見られたくないこと、するんだもん。 連れていくのは無理だよ。
そう思って、もう一度、お願いしても無理ってさ…
だから、許可をもらって外に一人で出ることは諦めたよ。
さすがに10歳頃になったら、一人で外に出れるよね⁉
今日は実験しよう!
こっそり裏の出口から出て、魔力を体の隅々まで巡らせる。
身体能力がすごく跳ね上がる。
笑顔で、一目散に森のへしゅっぱーつ。
ヒャッホー!
▽△▽△▽△▽△
森の中にダッシュで入り、よく知っている場所に到着だ。
「おぉ、成長してる!」
森の中の少し開けた場所で土いじりをして、植物を育てているんだ。
苗を買ったり、屋敷のお庭や庭師から種を勝手に貰ったりしたんだ。
種を2,3粒貰ってもバレないでしょ。
迷惑をかけているならごめんなさい。
じゃあ今日も水やりをしますか。
川から汲んできた水を与えて育てているものより、魔法でつくりだした水で育てた方が、よく育つから、水魔法で水やりをしてるんだ。
うーむ、水魔法を使って出した水で領内の作物を育てたら、もっと育つと思うんだけどなぁ。
体の中に「魔力」を流して、水のイメージをして…
魔法を使うとき、やっぱりイメージすることが大事だね。
水の魔法をただ単に水を想像して使うのと、具体的な水の流れる様子なんかをしっかりとイメージして使うのとでも、効果が変わってくるし。
魔力量がとても多くなったから、ものすごい量の水を出すことができるよ。 しないけど。 適量が大事だもん。
さらに、吹き出す水に風魔法をかけ合わせて回転させると… スプリンクラーみたいになった。 水やりが楽ちんだぜ。
お次は、レンガづくりだ。
「土魔法」と「火魔法」を同時に発動して混ぜ合わせてっと。
実験ですぐ壊れないように、丈夫な耐熱レンガをつくりたいな。
土を持ち上げて、火の魔力を土に帯びさせて、丈夫な耐熱レンガにしてそれで壁をつくる。
そうそう、私、あとだいたい一か月後に7歳になるんだけど、自分のステータスのレベルを下げることのできるものをついに最近完成させたよ。
これをつくるのに、結構時間がかかったね。
6歳には見合わない能力を持っているし、同じ年代の子よりもレベルが高いし、ステータスが見れる機械ではかられたら、私の異常さがばれちゃう。
レベルをかくすために絶対にこれは必要だ。
体のいろんなところから魔力が漏れ出ているけど、それを手で握ってみたら、少ない力で効果を発揮したんだ。 手袋型にしたよ。 これはまだ、一度設定したレベルから、自由にレベルを上げ下げすることができないんだよね。 要改良だ。
それぞれの年のレベルの平均値を資料でしっかりと確認してメモったよ。 レベルの変更が必要に迫られたときにみよう。
7歳になるまでに一応のものをつくれてよかった。 なぜ、7歳になるまでにできるだけ形にしなければいけなかったのかというと…
「うわっ、でっかっくしすぎた!」
壁が予想以上に、ぐんぐんと上に横に向かって伸びちゃった。
「やっばっ」
あわてて、魔力供給をストップした。 あせあせ。 ふう…
考え事をしていたせいだね…
複数の魔法を混ぜ合わせること、けっこう便利だよ。
新学期が始まった!
課題テスト、頑張った!