10 遊び
家族が私のもとに結構な頻度で来てくれるよ。 つんつん、なでなで、にぎにぎされたり、抱っこされたり、歌を歌ってくれたり、絵本を読んでくれたり。 とても楽しいな。
今、私は新聞紙で遊んでいるよ。
「なにしてるの?」 バガード兄さまが聞いてくる。 1番たくさん、私のもとに来てくれるんだ。
「ぐちゃぐちゃ、びりびり。」
「たのしい?」
「うん」
そのあとも私は、動作を続ける。
・・・
視線を感じる。 私と遊びたそうな顔をしている。 私のふくふくほっぺをむにむにしてきた。
しょうがないなぁ。 かまってあげよう。
「あげる」 新聞紙をどうぞ。
「ありがとう、これで何したらいい?」
「まねっこ」
私は、新聞紙の端っこをまず一度5cmくらい折って、さらに1㎝くらい折り、今度は筒状に巻いていく。 そして、端っこをのりで止める 。
さて、私は何しているでしょうか。 新聞紙で簡単な剣をつくっているんだ。 前世の子供のころ、たくさんの本数をつくったり、重ね合わせて頑丈にしたりして、剣をづくって振り回したなあ。 楽しくてしょうがなかったけど、この世界はふつうに剣があるから、あまり魅力を感じないかな。
私は指がうまく使えないから、剣を振るとへにょりと折れ曲がる、頼りないものができた。 兄さまのは細くて頑丈だ。 兄さまのつくった剣を持ってぶんぶん振り回す。
「危ないから振り回すのやめようね。」
ああっ~
とられたー。
「むぅ~」
とられた剣を取り戻すべく、必死に手を伸ばしていると...
コンコン ガチャッ
「バガードおぼっちゃま、勉強の時間ですよ。」 兄さまが勉強に呼ばれた。
よし、剣が手元に帰ってくるぞ。 やったっ。
「これは兄ちゃんに使わせてな。」
返してくれないのかー。 くそぉー。
兄さまが部屋を出た数分後。 代わりにお姉さまが入ってきて、声をかけてきた。
「今まで何してたの?」
新聞紙をおりおり。
「新聞紙でなにかつくっているの?」
「うん。」
私は今度は、折り紙をしているんだ。 折り紙用の紙が欲しいけどなさそうだから、正方形に破った新聞を折っているんだ。 新聞紙ぐらいの大きい紙だと私でも鶴を折れるんだ。
「どうじょ」
今さっき出来上がった”ぱくぱく”と、過去につくった家や犬、紙飛行機 、チューリップ、ハート、鶴、 風船 、 手裏剣 をみせる。 折り紙の折り方を一生懸命に思い出しながらつくったんだ。 大変だったよ。
もう11歳のお姉さまだけど、折り紙というものを知らないからか、興味津々で見ている。 この世界はやはり折り紙なんてものはないみたいだね。
「つくり方、教えて!」
「うん!」
私が覚えている限りの折り紙の折り方の手本を見せたり、たまに指示したりしながら、教えたよ。
友達に折り紙を教えてあげようと、お姉さまが息巻いていた。
遊んだり、”身体や言語の発達がすごく、会話が豊かで、イヤイヤ期がなく、手があまりかからなくて、いい子で天才だ”と言われてあせったりしながら、元気に暮らしているよ。