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罪人 ーTSUMIBITOー  作者: Aoi
第1章:きっかけ
1/2

プロローグ

血・暴力的な表現あります。苦手な人はご注意を。

「……し……てる……」


「……も……し……てる……」


(どうしようもないこの世界であなただけが……)


-------❁ ☾ ❁-------


冷たい。

身体が痛い。


目を開けると、辺り一面古びたコンクリートだった。

トンネルのようになっており、前に進むことしか出来ないような、そんな雰囲気だ。


「ここはどこ?」


そうつぶやくと、後ろから足音が聞こえてくる。


ゆっくりと近づいてくる。


「やっと、目覚めたか……」


低いが、少年らしさを残した声だ。


「あなたは誰ですか?」


「俺は、司郎」


その声の主の姿が近づくに連れ、少しずつ見えてきた。

右目は眼帯をしており、身長は160cm程の少年だった。


「ぼ……私は春野雅(はるのみやび)


「ああ、よく知ってるよ……」


彼は、鼻で笑った。


「親殺しの春野雅だろ?」


吐き捨てるように言った。


「え……」


困惑した。


(違う……)


「父親と母親……人を殺してるから、今、お前はここにいるんだ」


「違うっ!(・・・)は、殺してないっ!」


(そう……私は殺してないんだ……)


心の中で、何度も何度も言い聞かせた。


「じゃあ、お前に見せてやるよ」


そう言うと、司郎は私の襟を掴み、引きずる。

司郎は、少年らしい見た目とは裏腹に大人が抵抗できないくらい強かった。


(どこからこんな力が?)


と思いながら、私を引っ張る司郎を見る。


その視線に気づいた司郎が、


「……なんだよ?」


と少し怪訝そうな顔をしながら言う。


「いや、すごく力強いんだね、あなた」


「あ?男だから当然だろ……」


当たり前のことを言うなという表情を浮かべる司郎。


(少年が何言ってるんだ)


と思い、笑ってしまった。


それを見た司郎は、また怪訝そうな顔をして


「おいっ、俺をガキ扱いするな」


と言う。


「それじゃあ、あなたは何歳なの?ちなみに私は19歳よ。」


「俺は……もう300すぎたあたりから数えていない……」


それは、子ども特有の意地っ張りだと思い、また笑ってしまう。


「はいはい」


「おい、おまえ、俺の事ガキ扱いしてるだろ……」


その後、急に司郎の表情が曇る。


「まあ、そうやってふざけていられるのも今のうちだ」


司郎が足を止めた先には、頑丈そうな鉄でできた扉があった。


それを司郎は、軽々開ける。


「さあ、春野雅。今日からここがお前の現実だ。ここでは強いものが生き残り、弱いやつから死んでいく。死にたくなかったら、殺し続けろ」


「え?人を殺す以外に生き残る方法は?」


「そんなもの存在しない。もうお前は、親2人殺してるんだ。人を殺すなんて簡単だろ?ああ、別にここで人を殺しても罪には問われないから安心しな?じゃあ、行ってらっしゃい。」


「え?」


そう言うと、司郎は私を扉の先へ投げ飛ばした。


そこはコロッセオのようになっており、血なまぐさい香りが漂っていた。


「……っ!いった……」


「さあ、お前ら新人がやってきたぜ!そいつは、親殺しの No.1112324493だ」


「ちょっ、なんで私の事勝手に数字で!」


「……今、気にするのはそんなことか?ほら、周りを見てみろ……」


そう言われて、周りを見ると、皆私のことを獲物を見るような目で見ていた。


手が震えた。


すると


「ここでは私たち罪人はナンバーで呼ばれるんだ」


妙に落ち着く声がし、後ろを振り返ると70歳位のおじいさんが立っていた。


「あなたは誰ですか?」


「私は、No.2504740354……ここに来る前は……いや……もういいだろ……」


悲しそうな顔を浮かべていた。


「ここに来たってことは、あなたも誰かを殺したんですか?」


そう尋ねると、より一層の悲しそうな表情を浮かべる。


「ああ、殺したよ。実の息子とその奥さんを……」


「どうして殺したの?」


「……………………孫を守るためだった……私の息子とその奥さんは……孫に暴力を……ふっていたんだ……」


「そのお孫さんは何歳だったの?」


「13だ……」


「…………若いね……」


「ああ、そうだ……私は、そんな孫から両親を奪ってしまったんだ……」


そう言って、おじいさんは、苦しそうにしていた。


(だからかな……)


「あなたはそうやって、大切なお孫さんを守ったんですね……」


そう伝えてしまった。


おじいさんはその言葉を聞いて、泣き崩れる。


「ありがとう……ありがとう……ありがとう……」


そう何度も泣きながら言っていた。


自分には、その後おじいさんになんて声をかければいいのか分からなかった。


だから、おじいさんを見つめることしか出来なかった。



次の日、おじいさんは死体となって発見された。


「なんで……?」


おじいさんの死体は、何度も切られ、顔も体も分からないくらいぐちゃぐちゃだった。


そうつぶやく姿を見て、笑う男達がいた。


(……ああ、そうか……お前たちが殺したんだな)

なぞなぞ苦手だけど好きです。

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