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1.自白虫の噂
――ある日の街の噂話――
「あのなあ。注射打ったらペラペラ正直に喋ってくれる自白剤なんて現実に存在しないんだって。あれフィクションの中だけだから」
「俺もそれは知ってるけどさ。でもそういうんじゃなくてよ。『自白虫』って聞いたことねえか?」
「ジハクチュウ?なんだそれ?チュウって虫?」
「ああそう。人間の脳につく寄生虫でよ。なんかその虫に寄生された人間はどんな質問にも素直に答えちゃうんだってよ」
「アホか。どう聞いても都市伝説だろ」
「いやいやそれがよ。ウチのノボル伯父さん知ってんだろ?」
「ああ、ノボルさんか。それが?」
「実体の無いもんには1円だって金出さねえあの超リアリストで糞ケチのノボル伯父さんが入手の伝手を探ってるってよ」
「マジか?あのノボルさんが?寄生虫うんぬんはともかく自白引き出す薬物かなんかあるってことなのか……?」