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男気ゴリラが大暴れ!恋する魔法少女リーザロッテは今日も右往左往!  作者: ニセ@梶原康弘
Episode.2 泥と涙のリーザロッテ・パイルドライバー!

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第12話 ダバダバウッホッホ♪ 巨大ゴリラ、架橋に挑む!

 川岸ではプッティと村人達が姿の見えなくなった二人へ「リーザロッテ!」「ペルティニ!」と、声の限りに叫んでいる。


「あああ、なんてこった……」

「ペルティニ……」

「あの娘もあんな優しい魔法使いだったのに……」


 二人ともとうとう溺れ死んでしまったと思って村人達が泣き出した……その時だった。

 川面から光が迸る。

 次の瞬間、水柱をドドーン! と立ち昇らせ、あの巨大ゴリラが空中へと飛び出した! 

 両手には気を失ったペルティニを抱きかかえている。


「罪なき子供の生命を奪おうとする、ふとどきな大自然はどこだァァァァ!」


 意味不明な雄叫びと共に、高飛び込み競技よろしくクルクルッと空中回転したゴリラは再び川へと落下した。ザッパァァァァン! 怒涛の津波が岸辺を襲う。村人とプッティはびしょ濡れになってしまった。

 ポカンとなっている彼等をよそに、巨大ゴリラは頭にペルティニを載せて「ウォォォォォォ!」とバタフライで泳ぎ始めた。リーザロッテはカナヅチだが、どうやらゴリラに変身すると泳ぎは得意らしい。

 競泳よろしく、たちまち対岸に辿り着いた巨大ゴリラの周囲に村人達はずぶ濡れのまま駆け寄った。ツッコみたいことや謎は山のようにあるが、今は何よりも溺れかかった少女が心配だったのだ。


「ペルティニ!」

「待て。皆、下がっておれ!」


 びぃんとした怒声を張り上げて村人を制すると彼等の空けた場所へゴリラは少女を横たえ、その巨大な手で少女の胸を何度かそっと押した。

 すると……彼女の口から「ぷひゅう」と噴水のように水が飛び、続いてゴホゴホと激しく咳をした。息を吹き返したのだ。


「おお!」


 歓声をあげた村人達の見守る中で起き上がったペルティニはしばらくの間、下を向いてげぇげぇと水を何度も吐いた。ゴリラはその背中を優しくさする。彼女は、ようやく人心地がついたように顔を上げた。


「あなたは……」

「大丈夫か。あの川の中央はおぬしのような小さな娘ではまず通れぬ。危険過ぎるぞ」


 例によってお説教を始めたゴリラの顔をペルティニはキョトンとなって見返した。


「それよりあのヘンな魔法使いさんは? 私を助けようとして一緒に川へ落ちちゃったお姉ちゃんは? もしかして私だけ助かっちゃったの?」

「……」


 声を震わせた少女へゴリラは黙って首を横に振る。少女はハッとなってゴリラのいかつい顔をまじまじと見た。その瞳は意外なほど穏やかで、あの魔法少女と同じパライバ・トルマリンに輝やいていた。


「あなた……あのお姉ちゃん?」


 ゴリラは静かに頷いた。


「ありがとう!」

「よいのだ。おぬしは病気の家族への薬代を稼ごうと無理に川を渡ろうとしたのだろう。その気持ちは分かるが」

「だって」

「だって、ではない! 考えてもみよ、あのまま溺れてしまったら家族がどれほど嘆き悲しむと思う? どうだ……」


 ハッとなった少女はしばらくすると俯いて涙をポトリと落とした。


「……ごめんなさい」

「そうだ。おぬしの生命は己一人の生命ではない。大切にせねばならぬのだ。よいな?」


 諭すように叱ったゴリラは、ペルティニの頭を優しく撫でた。


「わかってくれればいい。それにおぬしは親思いのよい子だな。よし!」


 巨大ゴリラは急に地面に腹ばいになると鼻をクンクンさせてなにやら匂いを嗅ぎ出した。

 一体何を始めたというのか。突然始まった奇行を誰もが目を丸くして見つめている。

 と、巨大ゴリラはやにわに「そこだァァァー!」と巨大なコブシを地面に突き立てた。そのままコブシをドリル回転させ、掘削機のように土煙を立ててゴゴゴゴ! と、掘り始める。


「採ったどぉぉーー!」


 地の底からボッコリ掘り起こし、ゴリラが高々と差し上げたのは自然薯だった。それを少女の手に握らせる。


「摩り下ろして食べさせるがいい。これはヤマイモといってな、土の栄養がいっぱい詰まっているのだ。病気なんぞたちまち治るぞ」

「本当? ありがとう!」


 ペルティニは伸びあがると恐れげもなくゴリラの鼻にチュッとキスした。ゴリラは照れ臭そうに鼻をこすって笑う。村人達も思わず顔をほころばせた。


「だが問題は……」


 ヌーッと立ち上がると、彼は流れの速い川を敵のように睨みつけた。


「トロワ・ポルムの村人よ。これほど難儀しているというのに川にちゃんとした橋のひとつやふたつ、架けられぬのか!」

「そうは言いましても……」


 腕組みして偉そうに川へ向かって顎をしゃくるゴリラへ向かって、村人の一人がおどおどと抗弁した。


「見ての通り流れが速く、氾濫することも多いものですから橋を架けてもこのように流されることが多いのです」

「ならば流されぬ頑丈な橋を架ければよいではないか!」

「そ、それが出来るのならとっくに……」

「ぬぅぅぅぅぅぅ、そんなヘタれたことばかり言っておるから大自然に舐められるのだ! 見ておれ! 橋くらい、このオレ様が架けてくれるッ!」


 カッとなって吠えたゴリラは、ポカンとしている村人達やプッティをその場に残したまま四足歩行で傍の森へ飛び込んだ。

 やがて森の奥からズズーン、ズシーン! という地響きやらドゴウッ! という激しい殴打音がした。続いてメキメキバキバキと巨木の倒れる音が。


「あのゴリラが何かやってる!」


 そればかりか、力任せに巨木をへし折る音の合間に「ウッホ、ウッホウッホ~ダバダバッ♪」と、怪しい木こり歌まで聞こえてきた!

 どうやらゴリラは歌ったり踊ったりしながら木製の橋を造っているらしい。村人達は森の奥を見て顔を見合わせ、震え上がった。気になって仕方ないのだが怖くて誰も見に行けない。鬼の宴会を覗き見るコブ取り爺さんみたいな野次馬根性のある者は一人もいなかった。

 やがて、森の奥からゴリラが再び姿を現した。太く長い丸太を蔦で縛って繋げた巨大な筏を何枚も担いでいる。

 どよめく人々を「どけどけーい!」と散らし「そりゃそりゃそりゃぁぁぁー!」と筏を砲丸投げの要領で力任せに放った。

 巨大な筏はざんぶと水飛沫を上げ、次々と川に着水する。それに「トゥッ!」と飛び乗るや、ゴリラは蔦を縒り合わせて作ったロープで矢継ぎ早に筏を繋ぎ留め、ガッチリと固定していった。

 あっけに取られて見ている一同の前に、かくして巨大な丸太筏の浮き橋が見事に完成した!


「す、すごい! あっという間に橋が……」

「フハハハハ、見たか! オレ様の前には大自然の驚異とて無力に過ぎぬ!」


 驚嘆する一同の前でゴリラはドヤ顔で胸を張り、分厚い胸をドコドコと叩きまくってウォォォォー! と、勝利の雄叫びをあげた!


 ……だが、大自然は決して無力でなかった。

 何故なら、言った傍から橋がミシミシ言い出したのだ。

 大自然の逆襲が始まった!

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