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彩の異世界転生  作者: 巴空王
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  5 ポルポ軍曹

マロがピコルとパピを保護して、1日がたった。

ポルポ軍曹が送ってくれた、

緊急生命維持端末は役立った。

現在、両名の1時間後死亡確率はほぼ0%となっている。

ポルポ軍曹から連絡があった。

前線基地の構築はあと半日で、完了する。

基地が稼働でき次第、移送端末を派遣するとのこと。

半日辛抱すれば、

危険で不潔な環境からピコルを救出できる。

ピコルとパピを死なせずに済んだ。

マロは満足だった。


マロ「後、半日か。

それにしても。どうしてこんな大怪我を負ったんだろう。

この時間を利用して調べよう」


マロは、昏睡状態にある、ピコルの精神に潜入する。

しかし、ピコルは、大怪我の原因を記憶していなかった。

マロはパピに心話虫を取り付け、精神に潜入する。

パピの記憶から大怪我の原因が判る。


ガウイ族アバ家の族長が自分の怒りを鎮めるため、

ピコルとパピに八つ当たりしたのか。


マロ「ピコルもパピも災難だったな。

ガウイ族はほんと野蛮だな。

オイラの大事なペットに何かあったら、許さないからな」


半日が過ぎ、2体の移送端末が現れた。

移送端末は体長3mのダンゴムシであった。

移送端末はの1体がピコルを、

もう1体がパピを飲み込む。

マロは自分の張った繭玉を破壊し、跡片付けを行う。

そして、ピコルを飲み込んだ移送端末に乗り込んだ。

移送端末は光学迷彩を張り、見えなくなる。


移送端末は、ポルポ軍曹の前線基地に到着した。

マロは移送端末から降りて、ポルポに報告する。


マロ「潜入兵マロ。到着しました。

ピコル、パピを搬送してきました」


マロは、ポルポ軍曹に会うのは久しぶりであった。

以前会ったのは800年前のこと。

目の前には、以前と変わらぬ、ポルポの姿があった。

ポルポ軍曹は大きさ、容姿共、

コツメカワウソそっくりである。


ポルポ軍曹「久しぶりマロ。

お前、成長してないな。

前会った時と同じじゃないか」

マロ「は! ポルポ軍曹も、以前とまったく変わりなく、

何よりであります」

ポルポ軍曹「はっはっは。

口の悪さは、相変わらずだな。

ピコルはここ。パピは隣の治療機に入れてくれ」


ポルポ軍曹は、緊急生命維持端末から、

両名の病症情報を得ていた。

そのため、治療方針も決定済みであった。

速やかに治療を開始した。


ピコル、パピ共14日間の治療を行い完治させる。

14日間の治療期間中に、両名には、

7日間の睡眠学習が施される。


睡眠学習の教科は以下の3教科

 ハビアロン言語

 ハビアロン文字

 人間種の一般常識


パピは治療に加え、肉体に戦闘強化改造が施される。


マロ「睡眠学習に強化改造。何目的ですか?」

ポルポ軍曹「分からん。司令官の命令だ」


マロ「ピコルはおいらのペットなので、

司令官に報告を上げていました。

しかし、パピについては、一度も、

司令官に報告を上げていません。

それなのに、司令官はパピの存在を、ご存じでした。

司令官はパピの存在をどうして知ったのでしょう。

ポルポ軍曹は何か知っていますか?」

ポルポ軍曹「俺は知らん。

詮索しても始まらん。気にするな」


ピコルとパピを治療しだして、10日が経過した。

両名の治療は順調だった。

睡眠学習も3日前から始まっていた。


ポルポ軍曹は何やら黒い液体を準備し、

パピの治療機に投入している。

マロ「何ですか? この黒いのは」

ポルポ軍曹「パピに追加する戦闘強化パーツだよ。

今は液体だが、パピの脳に移動し、人工副脳になる。

この黒い液体は人工副脳のパーツさ。

こっちのパーツ組み立て用のマイクロマシン溶液と混ぜる。

このマイクロマシンがパーツをパピの脳に運び、

脳内に人工副脳を組み立てる。

組み立ては3日で終わる」


マロ「人工副脳が戦闘強化になると?」

ポルポ軍曹「究極の戦闘強化策さ。

人工副脳は大脳、小脳と回路を形成する。

人工副脳の効果で、

通常時より20倍の速度で思考、判断か行える。

反射神経も20倍の速度になる。

そうすると、体の制御の精度が格段に良くなる。

武器なんか持たせてみろ。

達人のように使いこなすはずだ。

力も通常時より10倍ほど強くなる。

動作速度も10倍ほど早くなる。

さらに、人工副脳は心話虫や端末の親機能も備える。

俺達と同じように、端末に仕事を頼めるし、

情報の提供も依頼できる」


マロ「私たちと同じですか。

本人、なにも知りませんよね。暴走とかしませんか?」

ポルポ軍曹「人工副脳は3日で完成する。

しかしだ。

人工副脳と大脳、小脳との神経回路の形成には、

時間がかかる。

それに、最初は細く弱い神経回路で、

使い込むことで、太く強い神経回路に成長する。

徐々に、慣れるように設計されている。

まあ、初めて使えるようになるのは、

1カ月後くらいからだ。

最初は驚くかもしれんがな」


14日の治療期間が終わった。


ポルポ軍曹「今、ピコルとパピの状態を調べたが、

完治している。健康に問題はない。

今から治療機から出す。

出した後の1日は寝ているようにしておく。

前線基地の始末に、1日かかるからな。

前線基地を始末したら、俺は撤収する。

後は任せるが良いか?」

マロ「大丈夫です。

ピコルとパピの食料、水を1週間分、

置いて行ってください。

後は何とかします」


ポルポ軍曹「2人がガウイの所に帰る、

と言っても返すなよ。

うまく2人を導けるか?」

マロ「秘策があります。

私も800年前より成長しました」


マロは心話虫を100匹とマイクロマシン薬を

10000mg、補給してもらった。

ピコル達の食料と水も受け取った。

全てが終わり、ポルポ軍曹は撤収していった。


ピコルとパピが起きるまで、まだ2時間ある。

ガウイ対策を始めよう。


マロは、ピコルとパピの精神に侵入していく。

2人同時に侵入したのは、

2人に同じ夢を見させるためである。


戦闘ペットは、3歳で人間社会から切り離される為、

人間社会では一般的な事柄が、全て欠落している。

子供の時に聞く、おとぎ話もその1つだ。

だが、人間社会から、

戦闘ペットに持ち込まれた、おとぎ話が1つだけあった。

そのおとぎ話は「神様と妖精」。

戦闘ペットならだれでも知っている。

姉兄達から、何千回も聞かされた。

そして、妹弟達に、何千回も話して聞かせた。


「神様と妖精」 は単純な話である。


 ある時、神様が妖精に忠告を与える。

 朝、犬に会ったら友とせよ。

 夜、犬にあったら殺せ。


 ある妖精がいた。

 朝、妖精は犬に会う。犬と友となった。

 犬は妖精に変わり、妖精の弟となった。

 ある意地悪な妖精がいた。

 朝、その妖精は犬に会う。

 しかし、その意地悪さ故、友と成れなかった。

 妖精はハトとなり、その犬に食われた。


 ある妖精がいた。

 夜、その妖精は犬に会う。忠告に従い、犬を殺した。

 死んだ犬は妖精に生まれ変わり、妖精の妹となった。

 ある優しい妖精がいた。

 夜、その妖精は犬に会う。

 しかし、その優しさ故、犬を殺せなかった。

 妖精はネズミとなり、その犬に食われた。


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