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彩の異世界転生  作者: 巴空王
44/44

 44 アイラン救出

夜9時。ビップルームが開く。

ピコル達は右端の席に着く。今夜のプレイヤーは5組。

ピコル達の左側に白髪の老人が座った。その隣は青年で軍服を着ていた。

さらに左は熟年の夫人と青年、息子であろうか。

一番左端には民族衣装を着た中年男性と若い娘の二人組が座っていた。


ゲームが始まる。

最初の3ゲームは、チップ1枚で、他のプレーヤーの力量を計った。

左端の中年男性が問題であった。酒を飲みながらのプレーで、ゲームに集中していない。


マロ「左端のプレーヤーは戦略が無いようです。

下手なヒットやステーを繰り出します」

パピ「マロ、左端の奴に心話虫を飛ばせ」

マロ「了解」


パピは左端の男を神話虫で眠らせた。

男は暫くするとテーブルに伏して、イビキをかきだした。

若い娘は男を起こそうとする。しかし男はなかなか起きなかった。

ゲームは中断してしまった。

ディーラーがフロアマスターを呼ぶ。

左端の中年男性は担架で運ばれて、退出した。


マロ「左端のプレイヤーを排除したことで、順調にカードが回り出しました。

次のゲームは、勝ちが確定しています。

勝負に出ましょう」


マロの指示で、パピはチップを30枚掛ける。

プレーヤーや見物客はピコル達に注目した。

チップの枚数に驚いたディーラーの手が一瞬止まる。

カードが配られ、ゲームが成立した。

結果はナチュラル21であった。

ピコルの前にチップ75枚が運ばれる。

金貨7万5千枚の勝ちだ。

グバロがピコル達に近づき、耳打ちする。


グバロ「おめでとうございます。

今夜の最高額はあなた方です。景品は取れました。

この後、金貨7万枚分は負けてください」


こうしてゲームは終わった。

ピコル達はこの日稼いだチップのうち70枚を吐き出した。

パピは、手元のチップ1枚を指ではじき、グバロに投げる。

グバロはチップを受け取り、お辞儀で返した。


翌日、ピコルとパピが昼食を取っていると、

ホテルのバトラーがやってきた。

景品の引き換え書類を届けてくれた。

アイラン奪還作戦は成功した。

グバロにこれまでの礼を言い、成功報酬を支払った。


景品の引き換え書類にはアイランを受け取る奴隷商が記載されていた。

ピコル達はその奴隷商に行く。

奴隷商は、アイランを引き渡す準備を終えていた。

ピコル達が行くとすぐ、アイランを直ぐに受け取ることができた。

しかし、ピコルは受け取ったアイランに違和感を覚える。

アイランと会話が成立しないのだ。


ピコル「名前を教えてくれる」

アイラン「私、ア、ア、アイランです」

ピコル「ミランの所に連れていく」

アイラン「ミラン、だれ?」

ピコル「ミランを覚えていないの?」

アイラン「…ミ、ミラン、分からない」


目の焦点も定まっていない。

それに、ミランから聞いたアイランとは、印象が違い過ぎる。


ピコル「マロ、アイランを直ぐに調べて。様子が変」


マロはマイクロマシン薬をアイランに与えた。

暫くして結果がでた。


マロ「脳神経ネットワークが、障害を受けています。

脳幹が正常に機能していません。

アイランは、向精神薬を飲まされたと思われます」

ピコル「薬で治せる?」

マロ「マイクロマシン薬は、自分達では治せないと、言っています」


アイランの身柄は確保できた。しかし、そのアイランは壊れていた。

ミランは壊れたアイランをどう思うだろう。

このまま、ミランにアイランを渡したとして、

2人が幸せになる未来は、想像できない。


ピコル達はアイランを連れて、北第2広場に戻ってきた。

ピコルはミランと、2人だけで、話そうと決めた。

アイランはパピに託してある。


ピコル「アイランは取り戻したが、アイランは壊された後だった。

ミラン、アイランは君の事を覚えていない。

さらに、人格も壊されている。

ミランの知っているアイランではない」

ミラン「そうか、そうだとしても、

僕はアイランを愛している。

会いたい。会わせてくれ」


パピがアイランを連れてきた。

ミランはアイランと話そうとするが、

アイランと会話が成り立たない。

沈黙が流れる。

アイランは退屈したのか、調子の外れた歌を歌いだした。

広場の人眼は奇異な目で、アイランを見ている。


ピコル「アイランの現状は理解できた? ミラン」

ミラン「僕は、僕は…」

ミランは涙声になり、言葉を続けられなかった。


ピコル「ミラン。あなたにアイランは託せない。

あなたは今のアイランを幸せにできない。それに、あなたも不幸になる。

だから、もう、アイランを忘て」


ミラン「この後、アイランはどうなる?」

ピコル「アイランをこれ以上、不幸にするつもりは無いの。

アイランは私達が治療します。

しかし、もう、元のアイランには戻せないの。

アイランの実の立て方は私達が責任を持ちます」


諦められず、ミランはピコルに食い下がろうとするが、

どうにもできないことは、理解できているようだ。

ミランの未練を断ち切るため、

ピコル達は、その場を離れた。

ミランは1人、ベンチで俯き、泣いていた。


ミランから離れたピコルは「ユニヴの意思」を確認した。


  <西へ行け>


<港町ケファに行け>と<錬金術師ミランを助けろ>が消えていた。

「ユニヴの意思」の依頼は達成されていた。

しかし、後味の悪い達成である。

ピコルの心に、もやもやが残る。


しかし、留まっても居られない。さあ、西へ行こう。

この町にアイランが居ては、

ミランは未練を断ち切れないだろう。

ミランと分かれたその足で、

ピコル達はアイランを連れて、港町ケファを離れ、

西に向け、旅を始めた。


港町ケファを出て、荷馬車で、街道を15Km程進むと、日が暮れだした。

次の村まで、まだ、10Kmほどある。

街道の外れに、荷馬車を隠し、野営を準備する。


ピコル「この辺なら、大丈夫だろう。

マロ、ポルポ軍曹を呼んで」

マロ「今、呼びました。5分で移動基地が着きます」


ピコル達が待っていると、

空から、強い風が吹く。そして、少し周りが暗くなった。

前方15mに、うっすらと入り口が見えた。

マロの指示で、その入り口に入る。


マロ「潜入兵マロ。到着しました。

同行者2名、治療対象1名を同伴しています」

ポルポ軍曹「先に、治療対象者を処置する」


ポルポ軍曹の指示で、アイランを治療機に入れる。

ポルポ軍曹は治癒機に指示を与えていた。

ピコルはポルポ軍曹を初めて見た。

マロよりかなり大きいが人間よりかなり小さい。

地球の生き物でいえば、

コツメカワウソそっくりであった。

作業が一段落したところを見計らって、

ピコルはポルポ軍曹に話しかけた。


ピコル「ポルポ軍曹、私たちの命を助けてくれたとマロから聞きました。

本当に、ありがとうございました」

ポルポ軍曹「ああ、例の2人か。元気で何よりだ」

ピコル「アイランを治してください。お願いします」


ポルポ軍曹「司令官からも、

アイランを治療する命令が下った。

女ピコルといったか。正直に話す。

この女に与えられた向精神薬は脳細胞の死滅、神経細胞の機能破壊、

脳内化学物質制御機能の破壊、

細胞の自己修復機能の破壊など、

何十というの破壊を脳に引き起こした。

破壊された機能は修復できない。


記憶はかなりの部分が消えている。

感情情操をつかさどる脳幹も、細胞死滅が目立つ。

理性を構成する脳ネットワークも、破壊が進んでいる」


ピコル「アイランは治せないの?」

ポルポ軍曹「正直に言う。期待しないでもらいたい。

だが、最善を尽くす。

脳幹細胞を体外増殖し、再投与する。

脳の壊れた部位の特定し、

投与した脳幹細胞を壊れた部位へ誘導し、定着させる。

脳の機能修復を終えた時点で、睡眠学習を開始する。

睡眠学習で脳ネットワークの再訓練と、

生活常識など生きていく上で必要な知識を再取得させる」

ピコル「感謝します。ポルポ軍曹」


ピコルはアイランをポルポ軍曹に治療をお願いした。

治療期間は長期になる。

最低でも半年、長ければ数年といわれた。

アイランが自分を取り戻せるなら、数年は仕方ない。


ポルポ軍曹「まあ、治療の目途がついたら、知らせる。

それまで、この娘は預かる」

ピコル「ポルポ軍曹には感謝しかありません。

ありがとう」

ピコルはポルポ軍曹を抱き上げた。

ピコルは感謝の気持ちを伝えたかった。

私の最大の感謝を込めて、頬ずりする。


仕事が忙しくなり、連載を一時中断します。


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