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彩の異世界転生  作者: 巴空王
36/44

 36 空白地帯へ

ガリン兄弟が家族の元に帰った後、

ピコル達は港町リュウにとどまっていた。

ケルガ、カール達と大道芸を行い、今では、南広場のトリを務めていた。


ガリン兄弟の帰郷から2か月程過ぎたころ、臨時の一座にも変化があった。

まず、ケルガ達だが、ケルガとキャロラインが結婚する。そのため、一旦、故郷に帰ることになった。

ケルガ達は港町ケファから故郷である人間の国に船で帰って行った。


次に、カール達だが、商売の元手となる金貨が貯まった。

彼等は空白地帯の港町ケファで、商売を始めるという。

まだ、商会を立ち上げるほどの資金も信用もないので、

小売りの店を出す。

商品は石炭と薪、硫黄だという。

硫黄の使い道を聞くと、硫黄は着火剤だと教えてくれた。

カール達は、陸路は危険だと言い、船で港町ケファに旅立っていった。


そろそろ、自分達も、西に向かう頃合いだろう。

カール達を見送った1週間後、ピコル達も西に向け、旅を始めた。

「ユニヴの意思」では、西へ行けとしか。指示されない。

船で行くと、通り過ぎるかもしれない。

そんな理由で、ピコル達は船旅ではなく、陸路を選んだ。


ピコル達は荷馬車で、ラオの国の街道を進んだ。

街道の村で、大道芸を公演しながらの旅であった。

10日程で、ラオの国の関所に着いた。

この関所の外が空白地帯だ。

空白地帯といっても農地や牧場も点在し、風景はガウイ王国と変わらなかった。


ラオの国の関所を出て、街道を4km程進むと、空白地帯で最初の町があった。

空白地帯の町は、ガウイ王国の町や村と違い、

町の周囲を壁で囲んでいた。

門も、外からの攻撃に、耐える構造の門であった。

さらに、門は複数の衛士が警護していた。

壁も門も黒いための、そとから見た町の印象は暗く、陰鬱としていた。


門を入ると、町の印象は一変した。人が多く賑やかであった。

最初は、何かの祭りに出くわしたかと思ったほどである。


東門を進むと、円形の広場があった。

広場の周りは露店が並ぶ。

そこでは大勢の客が買い物をしていた。

広場の中央付近で、練習している大道芸人を見つけた。

ピコル達は大道芸人達に挨拶をし、情報収集を行った。今夜の公演には空きが有り、公演順も確保できた。


情報収集の折、大道芸人達がこの町のルールを教えてくれた。

まづ、野宿禁止。町中で野宿はできない。

宿に泊まる必要がある。

次が、ショバ代。公演するには金が必要だという。

今まで、公演で、お金を取られたことは無かった。

税金の無い空白地帯でなぜ、疑問に思い、公演にお金が必要な理由尋ねた。


税金のたぐいではない。

この町には、大道芸人からショバ代を取る不良達がいるという。

不良のメンバーは町長や町の有力者の息子や娘である。

そのため、町の衛士は見て見ぬふり。

彼らは狡猾で、町の人間には手を出さない。

立場の弱い、大道芸人から金を巻き上げる。

悔しいが、仕方なしに、金を払うという。

空白地帯は、弱肉強食、しかし、自由がある。

嫌であれば、何処か他の町に行けばいいだけだ。

正義感をだし、争って、けがなどしたら大損だ。

大道芸人は体が資本だ。

ピコル達も割り切ることにした。


夜の公演が終わると、噂の不良達が金を集めに来た。

ピコル達も1人、銀貨2枚、2人で銀貨4枚を巻き上げられた。

さらに宿代も高かった。2人部屋で、銀貨2枚もする。


ピコル「この町だと、公演で、投げ銭が銀貨6枚以上でないと、赤字か」

パピ「今日も公演する?」

ピコル「うん。1週間くらい、公演してみよう」


昨日のピコル達公演は好評で、評判となっていた。今日は見物人が増えていた。

おかげで、投げ銭は銅貨127枚。

銀貨6枚と銅貨7枚の儲けが出た。

大儲けとはいかないが、まずまずの稼ぎだった。

帰り支度をし、宿に引き上げようとした時、大道芸人から声を掛けられた。


男「君達にお願いがある。聞いてもらえないか?」

ピコル「どんなこと?」

男「俺達ち臨時の一座を組んでくれないか」

ピコル「なぜ?」

男「君たちの芸を学ばせて欲しい」

ピコル「芸を学ぶ?」

男「いや、すまない。建前ではなく、本当のことを話す。

俺達、ジャグリングなんだけど、客受けが悪く、

お金が少ない。ここんとこ、赤字続きで。

持ち金が無くなりそうなんだ。

持ち金が少ないんで、他の町にも行けない。

1週間で良い、助けてほしい」


ピコルは男の率直さと、プライドを捨てた態度が気に入った。


ピコル「私はピコル。13歳。歌と踊り、

彼はパピ。13歳、曲芸と踊り。

貴方たちは?」

男「俺はケリー。15歳。ジャグリング。

こっちがルミン。12歳。同じくジャグリング。

俺達は兄妹だ」


ピコル「臨時の一座の件はOK。で、条件は?」

ケリー「2人で銀貨5枚と銅貨4枚。それ以上は要らない」

ピコル「それはダメ。お金は折半しよう」


ピコルとケリー達は次の日から一座で興行した。

パピが本気を出し、観衆を沸かせた。

投げ銭は金貨で4枚を超える日もあった。


1週間の興行で、ケリー達も金銭的に余裕ができた。

ケリー達から礼を言われた。

ケリー達は北の町から、この町に出稼ぎに来ていた。

明後日、北の村に行く商人キャラバンに同行して、帰るという。

空白地帯の町を移動する場合、少人数での旅は危険だ。

強盗を取り締まるものがいない。

自前で守るしかない。

商人達は予定を調整し、人数を集め、キャラバンを組む。

キャラバンは強盗に対抗する護衛兵を雇う。

ケリー達はキャラバンに同行させてもらう。

ただし、同行させてもらうには、

護衛兵を雇う分担金を、支払わねばならない。


ケリー「自分たちの実力が無いことが分かった。

故郷に帰って、芸を磨く。

明日のキャラバンの出発は午前6時、早朝なんで、

今日は西広場の近くの宿に泊まる。

ピコル、パピ。世話になった。ありがとう」

ピコル「こっちこそ。楽しかった。元気でね」

パピ「お前、弱い。リーダーなら、腕っぷしも磨け」


翌日、ピコル達はお昼に東広場に来た。

そこで、芸人仲間から、昨日の事件の話を聞いた。

事件は西広場で起きた。

ある芸人一座が、不良達からリンチを受けたという。

芸人一座はその日、興行しなかった。

しかし、不良達はその一座にショバ代を要求した。

拒否した芸人を不良達は小突き回し、

挙句の果てに大怪我を負わせたという。

ケリー達の事が頭をよぎる。


ピコル「嫌な予感がする。怪我をしたのはケリー達じゃないかな」

パピ「西広場に行って、確かめよう」

ピコル「ケリー達じゃないと良いんだけど」


西広場着いたピコル達は、広場に居合わせた芸人達に聞き込みをする。

リンチにあった一座は、男女の2人組であった。ケリー達の特徴と一致する。

さらに、被害にあった芸人達の居場所を教えてもらった。西広場の裏の安宿であった。


ピコル達は教えられた安宿の1室に向う。

そこには一見では、ケリーと分からないほど、顔や体が腫れた男が、ベッドに寝かされていた。

ベッドの脇では、ルミンが泣いていた。


ピコルはパピにルミンを託し、意識のないケリーの治療を始めた。


ピコル「マロ、薬をお願い」

マロ「今、300mg。入れました」


ケリーは頭蓋骨骨折を負っていた。

出血もあり、危篤状態であった。

マイクロマシン薬が治療を開始する。

脳血腫の除去。脳髄液の管理。

頭蓋骨折の修復。体の打撲対応、…

1時間後には危篤状態を脱した。


パピに抱かれ、泣いていたルミンにケリーの状況を説明した。


ピコル「ケリーはもう大丈夫。

少し時間がかかるけど回復する。

ルミン、頑張ったね」


ケリーは暫くして、意識が回復した。

今度はルミンが倒れた。ルミンは昨日から一睡もせず、

ケリーを看病していた。寝かせれば治るだろう。


ピコル達も同じ宿に部屋を取った。

ケリーを回復させるまで、ケリーとルミンの世話をすることにした。


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