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彩の異世界転生  作者: 巴空王
34/44

 34 幽霊を救え3

男の子「いきなりあなた方を基地にお連れすると、弟達が怖がります。

説得するので、時間をください」


ピコルが了承すると男の子はねぐらに走って行った。

男の子は10分程で戻ってきて、

彼らの基地にピコルとパピを案内してくれた。

彼らの基地は洞窟であった。

男の子に案内され、洞窟を10m程進むと、15m四方、高さも10mはある広い空間に出た。

洞窟の隅に子供が2人、1人は藁の上に寝かされ、もう1人は寝かされた少年を看病していた。


看病していた子「兄さん。その人たちが?」

男の子「ああ、この人たちが助けてくれる」

看病している子「ワットを。弟を助けて。

昨日から食べることもできなくなって。

今日は呼びかけても返事しなくなって」

ピコル「大丈夫。弟さんを元通り、元気にしてあげる。だから診察させて」


ピコル達はワットを診察した。

病人の少年は唇はひび割れ、青黒く、体からまったく生気が感じられなかった。


ピコル「マロ、どうかしら」

マロ「この状態では口からの、マイクロマシン薬の投与は、間に合いません。

直接、静脈から注入します。

そのため、腕に噛みつきますが、驚かないよう彼らに説明してください」


ピコルはリーダーの男の子と看病していた子に治療方法を説明する。

ピコル「今から、病気の弟さんを治療します。

この子、マロが持ってる万能薬を直接、体に入れる。

そのために、マロが腕に噛みつく。

治療に必要なの。

分かってくれる?」

男の子「はい」


それを聞くとマロは即、病気の少年の腕まで走り、腕に噛みついた。

マイクロマシン薬を静注した。

直ぐに、マイクロマシン薬が状態を報告した。


 敗血症を発症している。

 脱水症状。

 ショック状態。

 内蔵機能が極端に低下している。

 多臓器不全の一歩手前の状態であった。

 1時間後死亡確率は30%


マロ「この子は危篤状態です。私の持っているマイクロマシン薬の全量9000mg投入しましたが、

マイクロマシン薬だけでは治療できません」

ピコル「打つ手はある?」

マロ「ポルポ軍曹に頼むしかありません」

ピコル「分かった。直ぐに頼んで」


マロは、ポルポ軍曹への救援依頼の歌を歌う。

返事は直ぐ届いた。

ポルポ軍曹は人間種用の治療機を、端末に乗せて飛ばしてくれた。

端末は20分で到着するという。


マロには病気の子の治療に専念してもらった。

ピコルは治療機の到着までの時間を利用し、

心配している兄2人に、ワットの状況と治療方針を説明する。

ピコル「万能薬がワットの病気を調べてくれた。

ワットは敗血症という病気にかかっている。

敗血症は血の中に病原菌が侵入し、この病原菌が血の中に毒を出す。

この毒で、体の中の臓器がダメージを受ける。

万能薬は今、病原菌を攻撃してる。同時に病原菌がバラまいた毒を中和してる。

あと、毒で傷んだ臓器が、これ以上傷まないよう保護している。

ワットはとっても重傷。

万能薬だけでは治しきれない。

今、マロの友達に、ワットを治すための機械を送ってもらった。

後、20分で此処に到着する。

その機械であればワットを治療できるから安心して」

ピコルは、ワットの病気の原因や今の状態ついて、説明した。

ピコルと子供達では知識の差があるので、

埋めるための質疑の手間が必要であった。

ただ、子供たちは、すこぶる理解力が高かった。

病状は正確に伝えることができた。

2人は安心したようだ。


マロ「治療機が到着しました」

パピ「俺が受け取って、連れてくる」


パピは治癒機を連れて戻ってきた。治療機は3mのダンゴ虫であった。


マロ「ワットを治療機に取り込みます。その前に、ワットの着ている服は治療の邪魔なので、脱がしてください」


ピコルとパピは協力してワットの服と下着を脱がす。

終わると、治療機はワットのそばまで進み、口を開け、ワットを飲み込んだ。

治療機の背が透明になり、ワットが見えるようになった。

治療機がワットの管理をマイクロマシン薬から引き継いだことを宣言した。


治療機はワットの治療状況を刻々と報告してくれる。

敗血症の病原菌は完全に排除できた。

血中の毒素も中和が完了した。

治療機が血中の水分を管理しだし、脱水も収まった。

1時間後死亡確率は0%となっている。

しかし、毒素の影響が残っている。

体の至る所の臓器で、炎症が起きていて、収まっていない。


ピコル「山は超えたわね」

マロ「はい。ただ、全ての臓器が炎症で機能障害を起こしています。回復には時間が必要です」


ワットの治療が一段落したので、弟を心配する兄達にワットの状況を再度、伝えることにした。


ピコル「遅れたけど、自己紹介するね。

彼はパピ。13歳。大道芸人。芸は曲芸。

私はピコル。13歳。同じく大道芸人。芸は歌と踊り。

そして、この子はマロ。マロは宇宙人。

君達、名前を教えてくれる?」


男の子「僕の名はガリン。10歳。

こいつが、キール。8歳。

病気なのはワット。6歳。僕たち3人は兄弟だ。

前は、ホルプ鉱山町に住んでいた。

事情があって、今はここにいる」


ピコル「ワットの状況を説明する。

危機的な状況は脱した。

ただ、危篤状態が長かったため、体のあちこちが傷んでいる。

回復には時間がかかる」


ピコルは、ワットの病気の原因や今の状態ついて、兄弟が納得するまで説明した。

マロや治療機のことも必要なので、隠さず話した。

ただ、ワットの治療が終わった時点で、

3兄弟から、マロと治療機の記憶を消し、無難な偽の記憶を植え付ける予定であったが。


ピコル「ガリン、キール。

君たちは、どうして夜、熱気球を飛ばすの。

理由を教えてくれる?

港町リュウの人は、熱気球を幽霊だと思ってる。

知っていた?」


ガリンがその経緯を順序よく説明してくれた。

彼等が、熱気球を飛ばし出したのは1年程前からだという。

兄弟は学校から帰宅途中、人攫(ひとさら)いに襲われ、拉致された。

兄弟はホルプ鉱山から港町リュウに連れて来られた。

奴隷商に売られれば、額に奴隷の入れ墨が彫られてしまう。

そうなるともう、自由民には戻れない。

明日は港町リュウに到着するという前日の夜、兄弟は監禁された檻の鍵をこじ開け、逃走した。

しかし、兄弟は裸で監禁されていたため。お金や持ち物、服や靴すら身に着けていない。

街中に裸でいては、直ぐに見つかり、捕まってしまう。

仕方なく、兄弟は町の近くの林に潜んだ。

兄弟は、ネグラも食料もなく、直ぐに飢えだした。

飢えを(しの)ごうと夜、人目を避け川で魚を取っていた。

そんな時、ある男に遭遇した。

驚いた兄弟は逃げ出し、隠れた。

男は大声で「食い物をやる。金もやる」を繰り返していた。

それが幽霊屋との最初の出会いだった。

幽霊屋は密輸組織の仲間であった。

密輸組織が埠頭を利用するとき、幽霊の格好をして、人を驚かし、遠ざける。

幽霊屋の仕事である。

幽霊屋は足を怪我し、体が不自由であった。

一方、ガリン達は、ネグラも食料もなく、飢えていた。

兄弟が幽霊屋の手下になるのに時間はかからなかった。

兄弟が幽霊屋に代わり、白い布を被り、幽霊を演じた。

しかし、脅すと、逃げる人ばかりではなかった。

逆に、追っかけられることもあった。


危険を感じたガリンは熱気球による幽霊の演出を、幽霊屋に提案した。

熱気球による幽霊の演出は、

初回は、ぶっつけ本番であったが、成功した。

さらに、続く2回目も成功した。

この演出は密輸組織にも評判が良かった。


幽霊屋は密輸組織と話し、以降は熱気球で、幽霊を演出することに決めた。

熱気球に変えた事で変な奴らとトラブルがあったようだが、密輸組織が対処したようだ。


幽霊屋は歩きが不自由なため、外出したがらない。

ガリンは子供ではあるが優秀であった。

幽霊屋はガリンに密輸組織との連絡と交渉を任せるようになった。

兄弟は熱気球による幽霊の演出を安定してこなせるようになっていった。

ところが幽霊屋は3か月まえ、病気でぽっくり死してしまった。


せっかくの安定した基盤が壊れるかもしれない。

暫くの間、密輸組織には、幽霊屋の死亡を伏せることにした。

密輸組織の信頼が得られたら、自分が幽霊屋を継ぐつもりでいた。

幽霊屋は、ガリンが成人する12歳まで、続ける予定であった。


ピコル「ガリン、成人した後、どうするつもりなの?」

ガリン「弟たちをホルプ鉱山町に連れていく。

家族の元に帰る」


パピ「なぜ、今から行かない」

ガリン「ホルプ鉱山町は空白地帯にある。

成人の保護者がいないと、未成年者は捕まり売られる危険がある」


ピコル「そんなに危険なの?」

ガリン「空白地帯は無法地帯なんだ。弱い奴は餌食にされる」


ガリンの言葉は正しい。

空白地帯は無法地帯である。法を施行する者がいない。

弱肉強食の世界である。

ただ、税金もないので、

都市は、ガウイ王国や人間の国の都市より、繁栄している。


翌日の夕方には、ワッツの病状はかなり改善した。

まだ一部の臓器の炎症は続くものの、ほとんどの臓器の炎症は収まった。臓器は機能を回復しつつあった。ワッツは後5日で完治する。

治療機はそう報告してきた。


ガリンとキールにも健康上の問題があった。ワッツも含め、3兄弟は栄養失調であった。

栄養失調はかなり深刻で、体の抵抗力が落ちていた。

ちょっとした怪我で、ワッツのように敗血症になる危険があった。


栄養失調の原因は食費を削り、熱気球の作成や改良のための研究に金を注ぎ込んだことにあった。

ガリンとキールの朝食を確認したが、小さなパン1切れと生の野草に塩であった。いくら子供とはいえ量が少なすぎ、栄養失調も当然であった。


ワッツの治療の都合で、ピコル達は兄弟の基地に、しばらく同居させてもらうこにとなっていた。

取り敢えずだが、この間にガリンとキールに栄養をつけさせよう。

ガリンの買い出しにはパピが同行した。パピにはパンや肉、チーズ、野菜、果物を多めに買ってくるようお願いした。



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