表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彩の異世界転生  作者: 巴空王
33/44

 33 幽霊を救え2

ピコルとパピ、マロの3人は西門の(そと)、東西街道付近に来ている。

もちろん、幽霊の正体を探るためだ。


昨日の会議で、幽霊が飛び立ったと思われる辺りを散策した。

すると、地図に書き込まれていない間道を見つけた。

間道は南に延びていた。

間道と言ったが、馬車でも通れる広さがあり、しっかりと整地され、

多少の雨でもぬかるまない作りであった。


ピコル「この道、地図には載っていない。何処に通じているのかな」


パピ「勘だけど、行って見れば分かると思う。それにこの道、なんか怪しい」

パピはそう言うと、間道を進みだした。


今日は幽霊の手がかりを探すために来たのだ。

間道に手がかりがある可能性がある。

ピコルはパピの勘を信じることにした。


ピコル「マロ、間道を地図に書き込みたい。計測をお願い」

マロ「お任せください。しかし、間道ですか。先に何が有るか楽しくなってきました」


ピコル達は距離を測りながら、間道を進む。

(しばら)く進むと、左側に狭い空き地があった。広さは5m四方ほどである。

その空き地には馬車が付けたであろうワダチが刻まれていた。

さらに間道を進むと、道に隣接する狭い空き地を他に3か所見つけた。

間道は緩やかに右にカーブし、いつの間にか狭くなり、馬車が通れない人道に変わった。

時刻は午後の3時。これ以上間道を進むと夜までに港町リュウに帰れなくなる。

ピコルがそう考えていると、タイミング良くパピが探索の終了を宣言した。


パピ「道が怪しくなくなった。進むのはここまでにしよう」

ピコル「そうだね。時間も時間だし。今日はここまでにしましょう」


ピコルは今日の成果を地図に書き込む。

マロが計測した情報を元に、間道と4か所の空き地も書き込んだ。


宿に帰った3人は作戦会議を開く。

マロが提供する幽霊の3Ⅾ航跡の地図には、

今日調べた間道と空き地の4か所が、早速、追加されていた。


マロ「幽霊の航跡と間道の空き地の関係を分析しました。

幽霊は間道の空き地から飛び立っていると仮定してみましたが、

この仮定に矛盾する幽霊の航跡はありませんでした」

ピコル「幽霊は、間道の空き地から飛び立ってるてこと?」

マロ「はい。そう考えるのが妥当です」

パピ「俺、幽霊が飛び立つの見たい。ピコル、見に行こう」

マロ「私も見てみたいです」

パピ「ピコル。2票。多数決で見に行く事で決まり」

ピコル「う~ん。本物の幽霊だとは思えないし、良いか」


次の日から、ピコル達は間道と空き地の張り込みを始めた。

最初の3日は空振りであった。


しかし、4日目、不審な荷馬車が、間道の奥からやってきた。

時刻は午後10時。

パピ、マロは、幽霊が飛ぶところを見れると、はしゃいでいる。

荷馬車は空き地の横で止まり、荷馬車の上で風車の付いた竿を立てた。

暫くすると立てた竿を納め、荷馬車を進める。

荷馬車は間道を進み、4か所の空き地の横で同じ作業を繰り返した。

4カ所目の作業を終えた荷馬車は空き地で旋回し、来た道を引返して行く。

そして町から2番めの空き地に入り、止まった。

時刻は午前0時になっていた。


荷馬車には3人乗っていた。遠目でハッキリしないが、人影が小さい。

子供かもしれない。

荷馬車から何かを、下ろしているようだった。


パピ「もっと近くで見たい。ピコル、近くで見たい! ここだと遠すぎ。何してるか判らない」

ピコル「も~。近づくと気づかれるから、我慢して」

パピはマロを摘まみ、

パピ「ピコル。大丈夫。マロが繭を張る。繭の中から見る」

マロ「ピコル。私も見たいです。お願いします」


ピコルはパピとマロに押し切られてしまった。


3人は静かに草地を進み、20mの距離まで近づく。マロがそこで繭を張る。

3人は繭の中で見学した。

やはり、近くで見ると何をしているか良く見える。

3人は子供であった。全員男の子。年は6歳から10歳位か。

何やら、白いものを組み立てている。

声も聞こえる。


子供1「高度調整器は晴に設定しました」

子供2「油糧は1時間分充填しました」

子供1「現在の風向は10度です」

子供2「紫の粉、芯に塗付済みを確認しました」

子供3「後、10分で飛ばす。松明に着火」


子供達は火打ちで松明に火を付けた。赤々と松明が燃え上がった。

火の付いた松明を白い何かに近づける。

松明の明かりが、今までおぼろげに見えていた白い物体をはっきり浮かび上がらせた。

白い物体は高さ1.8m、直径1mの円筒形をしている。

円筒の下は口が開いている。

子供はその口の下に松明を置く。

徐々に円筒の表面にハリが出てきた。同時に円筒はわずかだが地面から浮いた。

5分もすると、2m程浮いた。

子供達は円筒が飛ばないよう、紐で下に引っ張ていた。


子供3「後、1分。 … 6,5,4,3,2,1 発射」


子供達は手に持った紐を放した。円筒は驚くほど勢いよく、空に飛び上がる。

さらに風に流され、港町リュウの西埠頭方面に飛んでいく。

暫くすると円筒は橙色から、紫色が混じり、色を変化させた。


子供3「40号の発射は成功。方向、コース、速度、高度は全て優。記録せよ」

子供1「記録しました」

子供2「撤収開始の許可をお願いします」

子供3「撤収開始せよ」


子供たちはテキパキと働き、10分で片付けが完了し、荷馬車に乗りこむ。

マロは命令していた年長の子供に心話虫を飛ばした。

子供達は間道を引き上げていった。


ピコル「熱気球だったのか」

パピ「ピコル見た。見た? 面白い。俺も飛ばしたい。ピコル作って」

ピコル「え~。作れない」

パピ「じゃあ、あの子たちに作ってもらおう」

マロ「熱気球でしたか。あの子供たちが自力で作ったのでしょうか」

ピコル「会話から判断すると、そうね。

どうして、熱気球なんか作って飛ばすのか、聞いてみましょうか」

マロ「心話虫を飛ばしました。記憶から調べられますが」

ピコル「うんん。あの子たちに興味が湧いた。直接、話してみたい。

どうしても、教えてくれないようなら考える」

マロ「分かりました」


ピコル達は子供3人の行動を観察することにした。

観察は2週間続けた。

彼らは1日、町の南東のある地点から動かない。

動くのは殆ど夕暮れから夜にかけて。それも短時間であった。

彼等のネグラの位置は確認できた。


2日に1回、夕暮れ時に、徒歩で町に来て、パン屋と雑貨屋に寄り、食料を買う。

町での行動は判を押したように同じであった。

寄る店もコースも同じで、まったく、寄り道はしない。

6日に1回、徒歩でなく、荷馬車で来る。

この時は雑貨屋で、荷物を受け取る。

それ以外、町には来なかった。

熱気球の打ち上げは、7日に1度のペース行われていた。


ピコルは子供達と、話すキッカケが欲しかった。

子供達の行動は、世間を拒絶するもので、スキをまったく見せない。

キッカケを探して、もう、1か月になる。

そろそろ、どうにかしたい。

そう思っていた時、彼らの行動に変化があった。

町に来た時の、行動パターンが変わったのだ。


何時ものコースの後、薬屋に寄り、薬を買ったのだ。

さらに、次の日、熱気球の打ち上げは2名で行った。

病人が出たのではないか。

そうだとすれば、キッカケに出来る。これはチャンスだ。


ピコルとパピは、西門の外で、子供が買い物を終え、町を出てくるの待った。

そして、子供に声をかける。


ピコル「ねー。君、ちょっと待って。

病気か怪我の仲間がいるんじゃない。

助けてあげる」

男の子「そんなのいない」

ピコル「とっても良く効く薬を持っている。

分けてあげる。

貴方、リーダーなんでしょ。仲間を助けなくて良いの?」

男の子「…」


やはり病人がいたか。

話を聞く体制に出来た。


ピコル「もう何日目? 早く楽にしてあげようよ」

男の子「どうして知った」

ピコル「ある方に依頼されたの。『君達を助けろ』って」

男の子「ある方って誰だ」

ピコル「神様」

男の子「ふん、神様なんかいないことは、子供でも知っている」

ピコル「いるよ。私は神様に会って、話をしたことがある」

男の子「嘘つき」

ピコル「あまり、病人を待たせるのは、可哀そうだから、さあ、貴方の家に案内して」


男の子はなかなか動こうとしなかった。

彼等のネグラの場所は分かっていた。

ピコル達はゆっくりとした足取りで街道を進み、間道を南下する。

すると男の子はつかず離れず、ピコル達の後を付いてきた。


一度、男の子は違う方向に歩いて行くが、

ピコル達はかまわず、3人組のネグラの方向に向けて歩く。

暫くすると、男の子は戻ってきた。


男の子「お前達、どうして、俺達の基地の場所を知っている」

ピコル「君達を助けようと思って観察してたから」


3人組のネグラに、後100mの所まで来た。

男の子は前に出て、話しかけてきた。


男の子「話がしたい」

ピコル「いいよ」

男の子「症状を知らないのに、どうして、薬が効くと言い切れるんだ」

ピコル「万能薬だから」

男の子「そんな薬は無い」

ピコル「君こそ、どうして無いと言い切れるの」

男の子「科学的でないものは信じない」

ピコル「そうか。君は科学を頼りに、頑張ってきたんだね。

しかし、君の知ってる科学はまだ未熟なんだ。

君には魔法のように思える万能薬だけど、実は成熟した科学で作られているだよ。

信じてもらうしかない」


男の子は押し黙った。

顔を歪め、今にも泣きそうな表情になる。

泣かせるつもりではなかった。

ピコルは焦る。


パピ「逃げるな。考えろ。仲間を守るにはどうするか。

それがお前の役目」


男の子は泣かなかった。パピの一言で、男の子はどうにか持ち直した。


男の子「今まで、失礼なことをして、ごめんなさい。

どうか弟を助けてください。お願いします。

基地に案内します」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ