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彩の異世界転生  作者: 巴空王
30/44

 30 エミリー救出

次の日、パピとカールは前線基地に帰ってきた。

時刻は22時30分、前日と同じ時刻であった。


作戦会議での報告では、

エミリーの行動は前日とまったく同じであった。


エミリー救出作戦はパピの頭でシミュレートされ、より具体的になっていく。

パピはピコルとマロに作戦に必要な物資の調達を頼んだ。


パピ「救出した後、エミリーに着せる服が必要。

町中で裸だと目立つ。

ピコル、買って来て。エミリーはピコルより、5cm小さい。ピコルより痩せている」

ピコル「分かった。3セット買っておく。あと、下着とかも買っておくね」


パピ「マロ。マロの繭の布が欲しい。大きさは2m四方くらいの。

エミリーを救出するとき、その布で身を隠す。

明日までに用意して」

マロ「了解です」


パピとカールは作戦会議を終えると、鉱山に戻っていった。


さらに次の日も、エミリーの行動は同じであった。

パピはエミリー救出作戦の決行を決断した。


パピ「エミリーの行動は3日同じ。準備もできた。

今日、エミリーを救出する」


パピは小さな紙片をカールに渡し、エミリーへの伝言を書かせる。

ピコルには22時に、エミリーの服を持って、指定場所で待つよう指示を出す。

マロには、指定場所で待つピコルを、繭で隠し、守るよう指示した。


時刻は3時。

パピとカールはエミリーの女奴隷房の屋根の上にいた。

パピはまづ、虫型の端末をエミリーに飛ばした。

虫型の端末はエミリーに飛び、マイクロマシン薬のカプセルを口に押し込む。

パピは侵入したマイクロマシン薬にエミリーの精神を安定させるよう命じる。

10分ほどで、マイクロマシン薬が放出した薬でエミリーの精神が安定した。

次に、パピは心話虫を使い、エミリーの意識に侵入する。

同時に、カールの意識にも侵入する。

カールがエミリーの意識に侵入できるよう、橋渡しを行った。

カールがエミリーの夢に侵入する。


カール「エミリー。分かるかい。カールだ」

エミリー「カール。カールなの」

カール「そうだよ。遅くなってごめんね。助けに来た」


エミリーは泣き出した。

もう、カールに会うことは諦めていた。

夢だとしても嬉しかった。

エミリーは神に感謝した。


エミリー「神さま。カールに合わせてくれて感謝します。

この身は神様に捧げます。いつ、召して頂いても構いません」


カール「エミリー。これは夢じゃないよ。

エミリーを助けに来たんだ。

今日、助け出す。

どうするか話すから良く聞いて。

時間は夕食を食べ終え、トイレに行くよね。

トイレを終えた直後に助ける」

エミリー「わかった」

カール「トイレは必ず20番のトイレに行って。

20番のトイレは分かる?

一番東のトイレ」

エミリー「分かる」

カール「エミリーが用をたし終えた時、

金鉱の出入り口の上で大きな音がする。

その時、エミリーを助ける。

エミリーは知らない人に抱きかかえられるけど、助けてくれる人だから。驚いても、声を出しちゃダメ。

絶対、声を出さないでね」

エミリー「分かった」


カールは3回、同じことをエミリーに話し、覚えこませた。


カール「これが、夢じゃない証拠を残すよ。

右手の中にメッセージを置いておく。

起きたら、見てね。

見たら、夢でないことが分かるよ。

メッセージは見たら、口の中に隠して。

人に見つかったら、ダメだからね。

食事の時、飲み込んでね。

良い。分かった」

エミリー「分かった」

カール「じゃあ、僕は消える。

エミリー。愛してる」

エミリー「私も。カール」


エミリー宛のメッセージを書いた紙を折りたたみ、パピは端末に渡した。

端末はその紙を(くわ)え、飛び上がる。

奴隷房で寝ているエミリーの元に飛んでいき、右の手の平に潜り込む。

粘液で、その紙を手の平に張り付けた。


パピとカールは20番トイレ近くの建物の傍に移動する。

端末に、光学迷彩テントの設営を頼んだ。

テントは1時間ほどで完成した。


時刻は4時20分。起床の鐘の音が打ち鳴らされる。

起きたエミリーは昨日の夢を思い出す。

幸せな夢であった。本当であれば良いのに。

そう思い、右手を顔に近づけ、手の平を確認する。

折りたたまれた紙が張り付いていた。

おそるおそる紙を広げる。

メッセージが書かれていた。


 「エミリー。愛してる。 カール」


エミリーは見間違いが無いか、3度確認し、紙を口に含んだ。


     *     *


パピとカールは朝作成したテントでエミリーがトイレに来るのを待っていた。

いよいよ作戦決行の時だ。

時刻は21時15分。

夕食を終えた奴隷たちがトイレに列を作りだした。

エミリーは指示通り、20番のトイレに並んでいる。

パピはテントの陰で、タイミングを見ていた。

手には野球ボール程の石が2個。

エミリーが用を足し出した。

今だ! パピは高速移動モードになり、

金鉱の出入り口、その上部の崖を目掛け石を投げた。続けざまにもう一個投げる。

石は3秒で崖に届く。

ドドーンと大きな音がする。

驚くほどで大きな音であった。

崖の岩が崩れ、石が金鉱の出入り口に降り注ぐ。

皆、西の方向に顔を向けた。


パピはマロに作らせた繭布をかぶり、エミリーの元に走る。

エミリーは立ち上がったところだった。

頭や首に負担が掛からないよう注意し、パピはエミリーを抱きかかえ繭布の中に引き入れる。

しかし、エミリーはパピの速さについてこれず、声を出す間もなく気絶した。

パピはテントの陰まで気絶したエミリーを抱えて走った。

距離30m。時間にして1秒。

誰にも気づかれなかった。

高速移動モードを解くと、警備員の声が聞こえだす。

声を張り上げ、奴隷たちに何か命令している。

エミリーの介抱をカールにゆだね、パピは外の警備員や奴隷たちの動向を監視した。


15分後には奴隷は皆、奴隷房に入っていった。

そして、人がいなくなった。

エミリーは既に正気を取り戻していた。

カールとエミリーは抱き合い、声を出さず泣いていた。

パピは2人を(うなが)し、境界の外で待つピコルの元に、移動する。


ピコルは指定された境界の外で、待っていた。

繭玉の中で、マロからパピ達の状況を聞いていた。

作戦が成功し、パピ達がこちらに移動中であると知っていたが、

実際にパピに会うまで不安だった。


程なく、パピ達は境界からロープを使い降りてきた。

ピコルは予定通り、エミリーに服を着せようと思ったが、

考え直した。

エミリーは汚れていた。臭いも酷った。

臭いだけで奴隷とバレてしまう。

これは想定していなかった。

ピコルはエミリーの尊厳を守ってあげたかった。


ピコル「エミリーに服を着せる前に、体を洗ってあげたい。

少し、寄り道だけど。良い? パピ」

パピ「良いけど、何処で?」

ピコル「キャロラインとリリーを洗った洗濯場」


寄り道したが、夜0時には前線基地にたどり着けた。

予定より、1時間遅れであった。

エミリー救出作戦は成功した。

前線基地では最初に、エミリーに額に刻まれた奴隷紋の入れ墨を消すためのマイクロマシン薬を与えた。

皆、緊張で、疲れていた。そのせいか、会話は弾まなかった。

ピコルはパピに抱かれ、エミリーはカールに抱かれ、

皆、深い眠りに落ちていった。

翌日は全員、目覚めが遅かった。

起きた時にエミリーの額を確認したが、

エミリーの奴隷紋は綺麗に消えていた。


ピコル「カール。あなた達、これからどうするつもり?」

カール「考えていなかった」


ピコル「この町はとっても危険。

エミリーの顔を覚えている警備員がいる。

その警備員に町で会うかも。

この町だと、捕まる可能性がある。

一刻も早く、この町を出た方が安全」

カール「どうしよう。エミリー」

エミリー「私、この町に居たくない」


ピコル「私たちは港町リュウに行く。一緒に来る?」

カール「お願いしようと思うけど。エミリー良いかな」

エミリー「うん。付いてく」


今日はもう正午を過ぎていて、町中には警備員が至るところにいる。

明日、朝一、警備の薄い時間にゴンゴを離れることを決めた。

今日の午後は旅支度を整える。

エミリーの旅装束と食料、雑貨を買いそろえた。


今夜、カールとエミリーはカールの下宿に泊まると言った。

パピはエミリーの外出は危険だと反対した。

パピの言うとおりだ。

しかし、ピコルは2人の時間を作ってあげたかった。

そこでピコルは今夜、パピと宿に泊まることにした。

前線基地は2人に明け渡す。

まあ、カールの申し出はピコルにも都合が良かった。

ピコルもパピに、暫く、お礼が出来ていなかった。

ピコルは自分が、例の香りを出しているか、

それが心配だったが、心配は無用だった。


次の日、早朝、

ピコル、パピ、マロ、カール、エミリーの一行は無事に、

金鉱山町ゴンゴを出られた。

港町リュウに向け、出発した。


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