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彩の異世界転生  作者: 巴空王
28/44

 28 2人の救出

ピコル達は奴隷訓練所に着いた。

時刻は午後11時10分前。

移動するピコル一行の後を付けてくる者がいた。

カールであった。

パピは気づいていたが、そのままにした。

まあ、救出の邪魔になることは無いだろう。


ピコル達は奴隷訓練所の通用門を監視できる物陰に隠れた。

10分程、物陰で監視していると、通用門に近づく男が見える。


パピ「マロ、心話虫を(とば)せ」

マロ「了解」

心話虫が男に飛んでいく。そして、その男に取りつく。

男は通用門の扉をノックした。

扉が開き、中の男と言葉を交わす。

男はそのまま中に入っていった。


ピコル、パピ、マロは心話虫で会話を盗聴した。


警備員1「今夜の奴隷の状況は?」

警備員2「男は1号房に2匹、2号房に2匹、3号房に1匹。

女は5号房に2匹、6号房に2匹、7号房に2匹。他の房には居ない」

警備員1「了解。確認に行こう」

警備員2「了解。後、特記事項がある。

6号房の女2匹は、鉱山警備課長と市中警備長が予約した。

傷をつけるな。飛ばされるぞ」

警備員1「幹部用か。手を出さないよ。仕事を失いたくない」


警備員達は奴隷の飼育房を回り、人数を確認している。

心話虫で警備員1の見た6号房の女のイメージを確認する。

6号房にいるのはキャロラインとリリーで間違いない。


2人は奴隷の人数を確認したことで、引継ぎは終わったようだ。

警備員2は奴隷訓練所を出ていった。


パピ「中は警備員は1人だけだな」

マロ「はい。1人だけです」

パピ「マロ、そいつを夢遊状態にできるか」

マロ「もうしました」

パピ「6号房の女2人を連れ出して、通用門に連れこさせろ」

マロ「はい」


マロは警備員を操り、

キャロラインとリリーを連れ出すことに成功した。

警備員は通用門の鍵を開けた。

キャロラインとリリーが外に出てきた。


ケルガ「キャロライン、リリー心配した」

エド「リリー」

ケルガとキャロライン、エドとリリーは抱き合っている。


ピコル「今は逃げるのが先。喜ぶのは後。

キャロライン、リリー。走れる? 」

キャロライン「はい」

リリーは頷く。


一行は洗濯場まで走る。

運よく人に会わなかった。

キャロライン、リリーにサポの実とタオルを渡し、

全身をくまなく洗うよう指示する。


ピコルはマロを手ですくい、体を洗うキャロラインに近づく。


ピコル「キャロライン。この子とキスして」

キャロライン「え! 」

ケルガ「キャロライン。言う通りにして」


マロはマイクロマシン薬をキャロラインの口に押し込んだ。

リリーにも同様にして、薬を与えた。


体を洗い終わった2人に服を渡し、着てもらう。

後は広場に帰るだけだ。

しかし、ここから広場までは人出がある。

人に会い、顔を見られると、額の奴隷紋を見られてしまう。

ピコルには対策があった。


ピコル「ケルガ、キャロラインをおぶって。

キャロラインは顔をケルガの背に埋めて。

額を誰かに見られてはダメだからね。

エドとリリーも同じことする。

そのまま、広場に行くよ」

寝ている女をおぶって運ぶ。これがピコルの対策である。

パピは洗濯場の前の道路に酢を撒き、犬対策をした。


一行はゆっくり歩いて、広場に行く。

さらに野営地では、女は男の胸に顔を埋める態勢で、寝てもらった。

この態勢なら、女の額が見えなくても、不自然でなかった。


マイクロマシン薬の見積もりでは、

6時間で、額に彫られた入れ墨は処理できる。

朝7時には、奴隷紋は消えている。


ピコルは目覚めると、

キャロラインとリリーの顔を確認した。

入れ墨の紺色は完全に消えていたが、奴隷紋の形に赤みがあった。


ピコル「マロ。この赤み、何とかして」

マロ「了解です。直ぐに取り去ります」


マロはマイクロマシン薬に命令し、皮膚の炎症を抑えた。

5分もすると、赤みは消え、奴隷紋は見えなくなった。


ケルガ一座は一刻も早く、ゴンゴを離れる必要がある。

キャロラインとリリーの顔を、覚えている警備員がいるかもしれない。


もう町の門は開いている。

ケルガ一座は急いで旅支度を整えた。

ピコルとパピはケルガ一座を門まで送った。

そして無事、ケルガ一座は門を出た。


ケルガ一座は港町リュウに行くという。

ピコル達も港町リュウを目指す。

リュウでの再会を約束した。


ケルガ一座と別れたピコル達は広場に戻った。

町は警備員が走り回り、騒がしかった。

奴隷の逃亡が影響したのだろう。


暫くするとカールが現れた。


ピコル「カール。旨く救出できた。依頼は達成だ。残金を渡す」


カールは残金を受け取る。

カール「君たちは特別な力があるんだね。

驚いたよ。

ピコル、パピ。頼みがある。

聞いてもらえないか?」


ピコル「聞くだけなら」

パピ「一応、聞いてやる」


カールは静かなところで話したいと言い、

自分の下宿に招いてくれた。

ベッドが1台、それ以外、荷物が何もない部屋だった。


ピコル、パピ、カールは床に座り、話をした。


カールもピコル達と同様、奴隷となった娘を助け出そうとしていた。

しかし、ピコル達のように奴隷紋を消す方法が無い。

カールは金を稼ぎ、門を破ってくれる者を雇おうと考えていた。

しかし、門の警備を見ていて、自分の考えが無理なことを感じていた。


カール「どうか、俺を助けてくれ。お願いだ。

これが溜めた金だ。金貨で52枚ある。

もし、足りないのなら、その分は働いて返す」


ピコル「その()、どういう事情で奴隷にされたか、詳しく聞かせて?」


カールは少し長くなるがと前置きし、話し出した。


1年前、彼は、ある商会の番頭として、働いていた。

その商会は、空白地帯のホルプ鉱山町にあった。

商会の規模は小さく、主人と番頭であるカール、使用人2名の4人で商いをしていた。

主人は商売を広げようと、知り合いの商会から借金をしていた。


商売で、キエネ王国にでかけた主人との、連絡が途絶えた。

番頭であるカールは主人を探しに、キエネ王国に行った。

主人の消息が分かった。

主人は強盗に会い、死んでいた。

カールは主人の遺品を携え、急ぎ、商会に戻ってきた。


カールが商会を離れて1か月。戻った時には商会は無かった。

店は売られてしまっていた。

店で働いていた使用人から事情を聴いた。


カールが店を出て、10日経ったころ、

主人の知人と称する者が来て、主人は旅先で病死したと告げた。

キエネ王国が発行した死亡書を渡された。

エミリーが店を相続した。

エミリーは主人の一人娘で11歳。

婦人は5年前、病気で死んでいた。


金を貸した商会が、エミリーに借金の返済を求めてきた。

エミリーは借金を返せず、商会は取り上げられてしまった。

エミリーの行方が分からなかった。

使用人はエミリーがどうなったか知らなかった。


カールは情報屋を雇い、エミリーの消息を調べた。

住むところのなくなったエミリーは、路上生活をしていたそうだ。

そして、悪い男に騙され、奴隷として売られてしまったという。

カールは情報屋に、エミリーの売り先を調べさせた。

エミリーはゴンゴ商会に売られていた。


カールはゴンゴ金鉱山に来た。

この町で大道芸人の見習をしながら、エミリーの情報を集めていた。


カール「エミリーは、小さい時から俺に懐いていた。

エミリーが13の誕生日には、俺と結婚することになっていた。

エミリーを救いたい。

今、エミリーは鉱山で、鉱石掘りをさせられている。

体が小さいので、狭い穴に潜らされ、金を掘らされている。

俺の考えた方法では、エミリーを救えない。

どうか、俺を助けてくれ」


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