27 村の秘密2
パピが気絶させた襲撃者から情報を取ろう。
マロに頼み、気絶している襲撃者に心話虫を取り付ける。
心話虫で襲撃者を夢遊状態にした。
そして尋問する。
捕まえた襲撃者は村長の家に来た8人のうちの1人であった。
村長の依頼で、逃げ出した大道芸人を追ってきたという。
街道を捜索しているとき、大道芸人4人を見つけた。
大道芸人達は大人しく捕まらなかった。
そのため戦いとなった。
女2名は捕まえた。縛って馬車に乗せた。
男2名は抵抗した。捕まえることを諦め、殺そうとしていた。
パピは襲撃者達の素性を喋らせた。
襲撃者は村から北へ5km程の小さな集落の人間達だった。
その集落は、代々、裏稼業で生計を立ていて、
人攫い、追剥、強盗など何でもあり。
村から依頼されたキタナイ仕事も受けるという。
今回の大道芸人の捕縛も村から依頼された仕事であった。
捕まった女達はどうなっているだろう。
男によると、捕まえた大道芸人はゴンゴ商会に奴隷として売るという。
女達もゴンゴ商会に売るだろう。
ゴンゴ商会はゴンゴで金鉱山を経営していて、買った奴隷に金鉱石を掘らせている。
パピとピコルは村の秘密についても聞き出した。
村はガウイの代官から3年に1度、
3名の戦闘ペットの供出を命じられていた。
村は裕福であったため、金銭に余裕があった。
そこで、奴隷商から子供を買って、戦闘ペットとして供出した。
村には顔に奴隷紋のない子供が残る。
この子供はガウイ族の代官に知られていない。
そこで、子供を奴隷から自由民にしようとした。
伝手を頼り、養父を探した。
最初のうちは養父となる自由民を確保できたが、
次第に確保が難しくなった。
最近は、大道芸人に子を託すことで、子供を自由民にしていた。
しかし、大道芸人全てが、子を受け入れるとは限らない。
承諾しなかった大道芸人が問題であった。
彼らは自分たちの秘密を漏らす可能性がある。
承諾しなかった大道芸人は捕まえ、ゴンゴ商会に奴隷として売ることで、秘密を守っていた。
自分達の幸せを求める権利は、誰にでもある。
しかし、それは「他人の幸せを害さない限り」である。
村長たちは道を踏み外している。
聞くことは聞いた。
襲撃者の処遇を話し合った。
パピ「こいつ、逃がそう。ただし、心話虫を着けたまま。
後々、役立ってもらう」
パピはこの襲撃者をスパイとして活用するつもりのようだ。
ピコルはパピの意見に従った。
ピコル達はケルガとエドが回復するのを待ち、次の行動を起こすことを決めた。
それまでに自分たちの荷物や、散乱していたケルガ達の荷物を集めておいた。
ケルガとエドをできるだけ早く回復させたい。
そこで、4日間、眠らせて治療した。
4日後、ケルガとエドは無事、回復した。
パピ「起きたようだな」
ケルガ「ピコルとパピ。ありがとう。助けてくれたのか」
パピ「ああ」
ケルガ「エドはいるな。キャロラインとリリーはどうなったか教えてくれ」
ピコル「襲撃者に捕まった。ゴンゴ商会に奴隷として売られた」
ケルガ「そうか」
ケルガは落胆で言葉を続けられなかった。
エドは下を向き、泣き出した。
パピ「飯を食ったら、キャロラインとリリーを助けに行くぞ」
エド「え! 助けられるのか?」
パピ「ああ、助けられる。ただし、助けるのはお前達だ。俺たちは、のそ手伝いだ」
ケルガ「本当か、本当に助けられるんだな。
ありがとう。感謝する」
時刻は夜が明けた直後、今から出発すれば、
午後3時ごろにはゴンゴ金鉱山に着ける。
一行は出発した。
急ぎ足で来たため、午後2時にはゴンゴに着いた。
ゴンゴは金鉱山を中心に発展した町で、
ゴンゴ商会が全てを運営していた。
町に出入りできる門は1か所だけ。
その門の通行はゴンゴ商会の警備員が検閲していた。
さらに武器を携えた警備員が20人程、出入りする人や馬車を監視している。
ピコル達はゴンゴに入るため、門に向かった。
警備員「次、身分、目的と期間を言え」
ケルガ「大道芸人一座です。ここで大道芸の公演をします。稼げる間はここにいる予定です」
警備員「入場を許可する。規則看板を読んでいけ。
規則に違反した者は罰せられる。知らなかったは通用しない」
ゴンゴは、険しい岩山の山中に築かれた町であった。
中心となる金鉱山では、鉱石の掘り出しから、金の精錬まで、一貫して行われていた。
扱うものが金であるため、出入りの警備は、非常に厳重であった。
町の入場を許可された一行は、町の中心にある広場に向かう。
広場では5組の大道芸人が練習をしていた。
ピコル達は大道芸人と情報交換がてら、情報屋を知らないか、尋ねて回った。
しかし、誰も情報屋を知らなかった。
歓楽街を探すしかないかと諦めていた時、
ある大道芸人がケルガに話しかけてきた。
大道芸人「情報屋を探しているのかい。相談に乗るよ」
ケルガ「ああ、急いでいる。どこにいるか知らないか」
大道芸人「俺は大道芸人、名はカール。芸はジャグリング」
ピコルとパピ、エドも駆け寄ってくる。
ケルガ「信頼できる情報屋を紹介してほしい」
カール「分かった。(小声で)俺は情報屋でもある」
5人は広場の外れに移動し、人に聞かれないようにした。
ピコル「兄弟が4日前、攫われ、ゴンゴ商会に売られた。
助けたい。2名だ」
カール「そうだな。金貨20枚。それで知りたい情報は教える。
あと、1週間は、専属でサポートする」
パピ「払う」
カール「確認だけど、救出には何人用意できる?」
ピコル「用意できる人数?
ここにいる4人で救出つもりだけど」
カール「町に入る時、門の警備状況を見ただろう。
4人で門を突破は不可能だ。
ここの警備を甘く見すぎだ。
失敗すれば、全員殺される。
この話は聞かなかったことにする」
ピコル「ちょっと待って。
力尽くで門を突破することなんか考えてない。
2人の居場所と今の状況が分かればそれで良い。
あなたには、
そこまでのサポートをお願いしたいんだけど。
救出と脱出はこちらでなんとかする」
カールは暫く考えていた。
カール「分かった。ただし、条件がある。金貨は半額先渡し。
それに、俺が危いと判断したら、俺は逃げる。それでもいいか」
情報屋と条件が折り合った。
ピコル「2人は今、何処にいる?」
カール「男、女? 年齢は? 女の場合、容姿は?」
ケルガ「女で17歳と13歳。2人共、やせ型で可愛い」
カール「4日前に攫われたのか。
だとすると、一昨日か昨日、商会に売られたはずだ。
間違いなく、今は奴隷訓練所にいる。
しかし、先に言っておく。
2人はもう、ゴンゴ商会の奴隷紋の入れ墨を、額に彫られている。
ゴンゴ商会の奴隷紋が彫られた人間はこの町の門から出られない。
出すには、兵隊を集めて門を武力で突破するしか方法は無い。
諦める気になったかい?」
ピコル「ぜんぜん。取り敢えず、奴隷訓練所に案内して」
カールは4人を奴隷訓練所に案内してくれた。
奴隷訓練所は窓のない白塗りの建物で、出入り口は2カ所。正面玄関と通用門がある。
正面玄関には警備員が6名、内と外を見張っていた。
一行は目立たないよう少し離れた場所に移動する。
そこで、カールに警備の状況を聞いた。
パピ「昼間の出入り口の警備は厳重だったな。
夜は出入り口の警備はどうなる?」
カール「夜間は正面玄関と通用門は閉まる。
出入りはできない」
パピ「夜間の警備人員は分かるか?」
カール「夜になると奴隷の飼育員や調教師は帰る。事務の連中も夜はいない。
夜間は警備員が1人になる。
門は閉められていて、通れない。
時間になると、警備員は交代する。
夜11時に遅番の警備員が来る。
夜12時に早番の警備員は帰る。
朝。7時に警備員や飼育員や調教達は来る」
ピコル「ホントに詳しいのね」
カール「ああ、訳あって、以前、調べたからな。
2カ月位、調べたが、警備状況のルーチンは変わらなかった」
ピコル達は奴隷訓練所から広場までの道順を調べた。
キャロラインとリリーを助け出したとして、
2人の体を洗い、匂いを消す必要がある。
犬での追跡をかわすためだ。
道順の途中に、道路から階段を3m程下りた場所に、洗濯場があった。
洗濯場は夜間は使用されないはずだ。
ここで体を洗える。
雑貨屋でサポの実と酢を1瓶買っておこう。
救出した2人は、体を洗った後、広場まで連れてくる。
そして、治療のため、横にして、眠らせる必要があった。
眠らせた方が、マイクロマシン薬の治療効果が高い。
それだけ早く額の奴隷紋を消せる。
今日は広場の隅で野営すると言い、
練習している大道芸人に、適当な場所が無いか聞いた。
彼らは親切に、人目に立たない場所を教えてくれた。
ここは実入りが良いので、
興行すれば、すぐ宿に泊まれようになる。
それまで、頑張れと励ましてくれた。
今日は公演が一杯で、ピコル達の枠は取れなかった。
しかも、枠が取れるのは、早くても1週間後だという。
ピコル達は、ここで公演するつもりはないので、
都合が良かった。
計画と準備は整った。
ピコル一行は時間まで、大道芸を見学して、過ごすことにした。
広場での興行は、夜12時まで続く。
今日は大きい方の月は、夜12時に沈む。
町中は松明だけが明かりとなる。
キャロラインとリリーの救出には、うってつけの夜だ。
夜、10時半になった。時間だ。
ピコル一行は行動を起こす。
広場を静かに離れ、奴隷訓練所に向けて、移動した。




