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彩の異世界転生  作者: 巴空王
22/44

 22 決戦

時刻は11時半を回ったころ、

黒ガウイのギルはホテルの自室で、報告書を書いていた。

暗殺長官に送る報告書である。

ギルは頭を悩ませていた。

報告することが無かったのだ。

戦闘ペットを追い詰める策を施して15日、

今日まで、これと言った成果が無かった。

週1回送る、報告書のネタも尽きてしまった。

しかし、今は戦闘ペットが巣穴から飛び出してくるのを、待つしかなかった。

状況は正確に理解していたが、少し()れていた。


ギル「そろそろ、追加の対策が必要だな」


部下であるマントマにも、やらせる仕事が無かった。

そこで、マントマには情報収集の訓練をさせていた。

人間の情報屋を使って情報を収取させた。

少しずつだが、マントマも成長していた。


ギルが報告書を書き終えた時、ホテルの中が騒がしくなった。

部屋のドアを叩く音がする。

扉を開けると、白ガウイの衛士が立っていた。


衛士「戦闘ペットを発見。西門を破り、逃走。2匹です」


とうとう、奴ら巣穴から飛び出したか。


自分の作戦が間違っていなかったことに、ギルはほっとした。


ギル「報告ご苦労。

衛士。犬を6匹、用意。西門の前に連れてこい。

大型松明を2本。5分以内に準備せよ。

急げ」


ギルはマントマを連れ、西門に急いだ。


衛士は既に犬と松明を準備し、待っていた。

衛士達も追跡隊を準備している。


ギル「衛士長。追跡は俺達だけで行う。

お前達は追跡するな。

大勢で追うと、戦闘ペットが怖がって隠れる。

いいな」


衛士たちには、戦闘ペット狩りは又とない娯楽である。

衛士たちは不満であった。

しかし、王の勅命を受けた者には逆らえない。

衛士達は仕方なしに、命令に従い、西門で待機した。


ギル達は犬に、西門の前の戦闘ペットの臭いを覚えさせ、追跡を始めた。


マントマ「奴ら何処に逃げますか?」

ギル「町から離れたいはずだ。

20km位は街道を進む。

3時間くらい走るだろう。

そこらへんで、犬をまく行動に出る。

奴らが利口ならだがな」


マントマはこの任務に飽いていた。

戦闘ペットを仕留めれば、解放される。

そう思うと、足取りが軽い。

ジルにしても本音は同じであった。


ジルとマントマの前方に橋が見えた。

橋の近くに来た時、犬に異変が起こる。

犬の足取りが止まった。

マントマが犬をけしかけるが、犬は橋から後ずさりしだす。

ジルが橋を調べると、何か分からないが強烈な臭いがする。


ジル「何か橋に撒いたな。犬の鼻が曲がっちまった。

奴ら、思ったより頭が回る」

ジルは犬での追跡を諦めた。

マントマに命令し、犬の手綱を切った。


ジルが橋の上から街道前方を見た時、遠くに何か見える。

前方の何かは動かない為、複眼のガウイでは判別が難しい。


ジル「マントマ。前に何か見えないか?」

マントマ「確かに、何かいる」


ジルとマントマは走り出す。

走ると頭が上下左右にぶれるので、

複眼のガウイ族には、止まっている物がはっきり見える。

ジルは確信した。戦闘ペットを発見した。1匹。


この1匹の戦闘ペットは囮になるつもりだろう。

たぶん、弱いもう1匹を先に逃がしたいのだ。


ジル「全力で仕留めるぞ。頭と胸は潰すな。証拠が消える」

マントマ「了解!」


ガウイ族のジルとマントマは戦闘意欲が高まっていく。

そして臨界に達する。

2人は吠え声を上げる。

静かな真夜中に、その吠え声が木霊する。


パピは橋の上に、巨人2体を確認した。

遠くなので、色まで分からないが、ガウイ族なのは分かる。

向こうは、こちらをうかがっている。

俺が見えたのだろう。

此方に走り出した。

ガウイ族の走力は強力だ。100mを4秒で走る。

200mに近づくと、咆哮を上げた。

人間ならだれでも恐怖する、不気味な咆哮であった。


パピは石を、思いっきりガウイに向けて、投げた。

石は3mほど右に外れた。

すぐさま、2投目を投げる。

今度は頭上、1mを通過した。


パピは足元の石を拾う。

パピ「難しいな。止まっている的に当てるのとは、わけが違うか」


ガウイ族2体は、もう50mまで近づいていた。

もう、ガウイの色も判別できる。

パピは右に見える、青ガウイに石を投げる。

石は青ガウイの膝に命中する。

青ガウイはその場で転倒した。

黒ガウイはその場で急停止した。

転倒した青ガウイは素早く立ち上がった。


パピ「普通に投げてもダメージは弱いか」


ギルは思う。

あの戦闘ペット、さっきから石を投げているのか。

バカな奴だ。

俺達の外骨格は人間が投げた石など弾き返す。

当れば少し痛いが、その程度だ。

ここは真正面から突進だ。考えるスキを与えず、仕留める。

そう考えていた時、

マントマが転倒した。

ギルは急停止する。


ギル「大丈夫か?」

マントマ「石が当った。痛い程度だ」

マントマは直ぐに起き上がった。


ギルは方針を変える。

戦闘ペットの発見で、喜びすぎ、油断していた自分に気づいた。


ギル「マントマ。武器を出せ。武器で仕留める」


ギルは背負い袋から武器を取り出す。

武器は組み立て式の槍であった。槍の胴3つを繋ぎ、

1本の槍を組み立てた。

マントマは両端に鉄の重りがついた鎖を取り出す。


ギルが戦闘ペットを確認すると、逃げずのその場に立ってた。

ギル達は武器を携え、ゆっくりと前進する。


パピは自然体で立ち、近づいてくるギルとマントマを観察していた。

間合いはどのくらいだろう。身長から考え、16mと見積もった。

ガウイは20mまで近づいた時、武器を構えた。

黒ガウイは槍先をパピに向ける。

青ガウイは鎖を頭上で振り回しだした。


パピはガウイ達の予備動作に注目している。

攻撃するにはどんな生き物でも反動を利用する。

一瞬の溜めや、沈み込み、後退動作が伴う。

ガウイが16mに近づいた時、2体の動作が一瞬止まる。


パピはガウイの予備動作を確認した。すかさず、高速動作モードに移る。

ガウイ達の、溜めの体重移動がスローで見える。

黒の溜めが少し大きい。

先に青に攻撃させ、その攻撃を避けたスキを突き、黒が仕留める連携であろう。


パピは青と黒を仕留める動作を頭の中でシミュレートする。

3パターン程考えた。

どのパターンでも仕留めることは可能であったが、

パピは先に青を始末するパターンを選んだ。


パピは、青ガウイ目掛け、石を投げる。

この距離なら外さない。

全力で、ガウイの体の中央に投げた。

青ガウイは、予備動作で体を沈めている最中であった。

石は吸い込まれるように、青ガウイの顔の、ど真ん中に進む。

石はガウイの顔にとどく。そして、石はそのまま顔にめり込んでいく。

同時に、青ガウイの後頭部が破裂し、

頭の中身が、後方に四散していった。


黒ガウイは予備動作を終え、槍先をパピに突き出していた。

槍先は、パピの中心を正確にとらえていた。

槍先は5mまで近づいていた。

パピは、青ガウイに石を投げた右腕の反動を利用する。

左腕、体の筋肉を使い、体を捻り、体を槍先の導線から逃がした。

槍先はパピの体のすぐ横を通過し、空を切る。

パピは体を捻った反動を使い、

石を黒ガウイの顔面に向け渾身の力で投げる。

石は黒ガウイの複眼に当り、複眼が砕け、石が頭にめり込んでいく。

同時に、頭が膨れ、頭蓋に亀裂が入る。

その亀裂から、緑色の液体が噴き出した。


青ガウイは膝から崩れ落ちていく。

黒ガウイは前方に倒れこんでいく。


ガウイ達2体は、手足をバタつかせ、暴れていた。


パピ「マロ、ガウイはどうなっている?

教えて」

マロ「2体共、心臓は停止、体液の循環が止まりました。

まだ、神経は爆発的に活動していますが、統一が取れていません。

もう戦闘は不可能です」


パピはマロに、ガウイ達の状態を、確認してもらった。


パピは再度、自分の目で、ガウイの状態を確認した。

手足をバタつかせる2体のガウイは徐々に、その動きを弱めだした。

それを確認し、パピは高速動作モードを解いた。


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