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彩の異世界転生  作者: 巴空王
2/44

  2 ユニヴ

ここは何処だろう。

彩「私、死んだのかな。誰かいたら返事して」

誰も返事をよこさない。


彩は起き上がり、体を確かめようとした。

視点は思うように変わるのだが、体を確認できない。

何とか、体を確認しようとモガイテいたが、

どうしても確認できなかった。


体の確認を(あきら)めたころ、

遠くから、球体が1mほど宙に浮きながら、

彩に近づいてきた。

球体は直径1m。

優しい緑色、そして光を放っていた。

彩の前方3m程で止まる。


球体「(なんじ)、聞こえるか?」

彩「…」


球体「汝、聞こえるか? 要返答」

彩「私に話しているのか?

だとしたら聞こえてるぞ」


しまった! ちょっと強気に出過ぎた。反省。


球体「我が名はユニヴ。汝、名があるなら名のれ」

彩「あの~、太田彩て言います。彩が名前です」


ユニヴ「彩、我が汝を呼んだ。

話がしたい。可否を答えよ」

彩「OKです。可です」


ユニヴ「彩よ。汝、我が使徒と成れ。

我が使徒として、我が意思を行え」

彩「答える前に、分かんないことだらけなんで。

先に理解してから、答えて良いですか?」

ユニヴ「可」


彩「質問しても良いですか?」

ユニヴ「可」


彩「私、校舎から落ちて、死んだのかな」

ユニヴ「


彩「ユニヴ、あなたは神様ですか?」

ユニヴ「いな、我は生命体」

この一言は、彩の理系好奇心を刺激した。


彩「生命体ですか、同族は沢山いるんですか」

ユニヴ「是」

彩「お子さんも、いるんですか?」

ユニヴ「是」

彩「子供たち、喧嘩けんかとかしませんか」

ユニヴ「否、子は産まれると同時に自分の宇宙を創造。

子はそれぞれ、別宇宙に住む。

故に子同士は会うこと(あた)わず」

彩「ということは、もしかして、

この宇宙はユニヴが作ったんですか?」

ユニヴ「是」


いやいや、ユニヴさん。

宇宙の創造主は間違いなく神様です。

私は神様と話しているのか。


彩「ユニヴの体は球形なの?」

ユニヴ「否、我は11次元に内包する、

空間の構造に、立脚する生命体。

故に、我に形はない」

彩「ユニヴから見て、私はどんな生命体?」

ユニヴ「汝は物質の構造に、立脚する生命体」

何時(いつ)までも質問していたい。

楽しい!

偉い学者がユニヴと話せば、

人類にも、宇宙の真理が理解できるかも。

そんな気持ちになってしまった。


いけない。いけない。本題に戻そう。

彩は自分の置かれた状況を、質問から探っていった。


分かったことは

 彩は校舎から落ちて死んだ

 ユニヴは彩を構成する情報を、

 散逸する直前にコピーした

 ユニヴの友であるエクロンが作った自動機械の中に、

 彩を再現した

 その自動機械を(かい)して、情報である彩と話をしている


私ってコピーできるんだ。

エクロンって何。神様の友達って何なの?


まあ、彩には死んだ記憶があるから、納得ではある。

ジタバタしても始まらない。

使徒の役割とユニヴの意思とやらを聞こう。

もし、極悪非道なことなら嫌だ。断ろう。

しっかり判断できるよう、きっちり聞こう。


何回も質問し、手間は掛ったが、大筋は聞き出せた。


 ある生命体が機械生命体を生み出した。

 その機械生命体が問題を起こした

 機械生命体は創造主である生命体を害悪と認定し、

 滅ぼしてしまった

 その行為が機械生命体のトラウマとなる

 このトラウマが起点となり、

 機械生命体は暴走する

 他の生命体も機械生命体を生み出す可能性がある

 そう、狂暴な機械生命体を

 機械生命体を生み出しそうな知性を持つ、

 生命体を監視しだす

 さらに、その生命体の知性の進化を妨害する

 機械生命体は等比級数的に増え、

 母星を中心に広がりだした

 エクロンが、機械生命体の行動を止めようと、

 接触する

 だが、機械生命体はエクロンを敵視し、

 攻撃を始める

 ユニヴの堪忍袋かんにんぶくろが切れた(神様は怒ると怖い)

 ユニヴは、機械生命体の母星を中心とした星域を

 消滅させる

 機械生命体は広大な星域に監視、

 妨害の軍団を派遣し、汚染していた

 全ての星域を消滅させれば、

 機械生命体の全てを駆逐できる

 だが、機械生命体が監視する知的生命体も、

 同時に、抹消することになる

 この手段は簡単だが、使えない

 そこで、ユニヴは手間のかかる方法だが

 使徒を使い、機械生命体が汚染した世界を、

 浄化することにした


彩「背景は大体理解できた。

スケールが大きすぎてびっくり。

私なんかで、役に立つかな。

なんか、すっごく、ビビるんだけど」

ユニヴ「汝はエクロンの審査に合格した。

エクロンが使徒として保証する。

心配は不要。使徒の務めは可である」


彩「ところで私は、何処どこで何をしたらいいかな」


私が担当するのは、ハビアロンの世界。

ハビアロンで、機械生命体が

監視、知性の進化を妨害している対象は人間種。

人間種は、『地球のホモ・サピエンスとほぼ同じ』

と考えて良いとのこと。

ハビアロンは5万年前に、機械生命体の侵攻を受けた。

さらに機械生命体の一派が、

ガウイ種をハビアロンに移植し、さらに汚染する。

ガウイ種は、ハビアロンと同じ星系の他惑星に、

生息する寄生種族。

このまま放置すると、ガウイ種は1万年後には、

ハビアロン全体を汚染する。

ハビアロンは機械生命体とガウイ種で、

2重に汚染される。


彩「場所や環境は理解できた。

ところで、私、体ないよね。

使徒って体なくてもできるの」

ユニヴ「使徒に体は要。

彩、汝には人間種の女の体を与える。

だが、その女の知性核も残す。

女の知性核は未成熟。汝が導け」

彩「その女の子の体に同居させてもらうの?」

ユニヴ「是、両者の知性核は時間と共に融合し、

進化する」

彩「意地悪な子じゃなきゃいいけど」

ユニヴ「否、皆、純真無垢じゅんしんむく。汝の指導により進化する」

彩「純真無垢か。まあ退屈はななそうね」

ユニヴ「楽しめ」


彩「使徒って何時までやったら、いいのかな。

おばあちゃんになっても、使徒ってできるの?

途中で好きな男とかできて、

子供産んでも良いのかな?」

ユニヴ「汝が使徒である時間は有限。

ハビアロンでの3年とする。

子供は、使徒の間は不能。出来ない。

使徒の務めを果たした後、汝を使徒から解放する。

エクロンから褒美(ほうび)が与えられるであろう。

もちろん、我からも褒美を与える。

使徒から解放された後、汝、自由に生きよ。

汝、ハビアロンを謳歌おうかせよ」


彩「貴方の意思、ユニヴの意思はどうしたら判るか、

教えて」

ユニヴ「我の意思を思い浮かべよ。

さすれば見える。

緊急の場合は、強制的に見える」

彩「それだけ?」

ユニヴ「肯」


彩「何時、私は使徒になるの?」

ユニヴ「エクロンが、

機械生命体の一派に工作を施した。

汝の使徒の務めを、助けるであろう。

利用せよ。

転生は今だ」


その言葉を聞くと同時に彩は意識を失う。

しかし、すぐ意識を取り戻す。


「痛い! 痛い! 痛い! 苦しい! 苦しい!

 助けて、パピ」


誰かの叫び声が聞こえる。


「パピ、助けて、お願い、パピ」


誰が叫んでいるのだろう?

パピって何?


そう思った瞬間、膨大な記憶と感情、感覚が彩を襲う。

彩は叫び声を上げる。


「痛い! 痛い! 苦しい! 苦しい! 

 助けて、パピ、父さん、母さん」

「パピ、助けて、お願い、母さん、父さん、パピ」


急に体の芯が温められた。

痛みや苦しさが急速に退散していく。

(しばら)くすると、何かに()(くる)まれ、

守られている安心感が心を満たす。

安らぎが訪れる。

私は何時(いつ)しか、眠りについていた。


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