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彩の異世界転生  作者: 巴空王
19/44

 19 不安の種

カオラン一座は何時ものように公演を終え、宿に帰った。

宿に帰ると、主人が待っていた。

主人「すみません。お客様方。

今日、この宿に泥棒が入りました。

お客様から預かった品を保管する貴重品庫の扉が開けられていました。

それに、お客方の部屋の方も鍵が開いていました。

盗られた物が何なのか調べてください」


カオランとピコルは貴重品として預けた革袋を調べたが、

金貨は盗まれていなかった。

部屋に置いておいた品物で盗まれたものも無かった。


宿の主人の勘違いではと思い、再度、確かめると、

確かに保管庫や部屋の鍵は掛けた。

保管庫に用があり、鍵を開けようとし、開いていることに気づいた。

勘違いではないという。


リンラ「変な泥棒だね。しかし、稼いだ金貨が盗られなくてほっとしたよ」


ピコルは不安に襲われた。

自分達が賞金首の戦闘ペットと疑われているのではないか。

誰か、懸賞金目当てに探っているのではないか。


もし、そうだとしたら対処する必要がある。

部屋に帰り、パピ、マロと対策を立てる。


ピコル「泥棒じゃない。探られている」

パピ「誰だろう」

ピコル「考えられるのは2つ。

1つは戦闘ペットと疑われている場合。

金貨2000枚が目当てで、誰かが私達を探ってる。

もう1つは海賊を探っていたことが災いした場合。

海賊が私たちに気づいて、逆に、調べられている」

パピ「ピコルどうする?」


ピコル「相手の素性を確かめないとね。

マロ。マロのお友達に私達の周りの監視を頼めない?」

マロ「はい、端末に依頼し、周囲を24時間、監視します」


翌日、ピコルは報告に来たピーターに聞いた。

ピコル「最近、身の回りで、オカシナこと起きなかった?」

ピーター「オカシナこと? 例えばどんな」

ピコル「昨日、宿に泥棒が入った。何も盗られなかったけど、

部屋の荷物と貴重品が調べられた」


ピーターは考え込んでいる。

ピーター「実は、ねぐらの出入り口には仕掛けがある。

僕が留守の間、誰かがねぐらに入れば分かる仕掛け。

3日まえ、誰かがねぐらに入った。

盗られたものは無かった。

ピコル達から預かった金貨も無事だった。

危ないと思い、ピコル達の金貨はアイナの家に預けた。

もちろん、ピコルとパピの名前を出せば、

2人に渡すよう言ってある」


ピコル「相手に心当たりは?」

ピーター「無い。でも、僕が目を付けられたと思う。

調べられた順も僕のねぐらが先だしね。

最近、探っているのは海賊と戦闘ペット、黒青のガウイについて。

戦闘ペットの話題は情報屋なら探らない者はいない。

だから、戦闘ペットと黒青のガウイの件じゃない。

考えられるのは海賊。海賊の話を聞いて回るのは僕だけだし」


それを聞き、ピコルは反省した。

ピーターを使い過ぎた。

ピーターは誰かに目を付けられてしまった。

自分達のみならず、ピーターまでも危険に晒してしまった。


ピコル「ピーターに依頼した件は達成とする。

残りの金貨を渡す。

この件から手を引いてくれ。

後、危険に晒した迷惑料も上乗せする。

済まなかった」


ピーターに残りの金貨5枚と、

迷惑料として金貨5枚の計金貨10枚を渡す。


ピコル「もう、海賊のことを聞き回らないでね」

ピーター「そうする、でも、明日も会いに来ていいかな」

ピコル「いいけど」

ピーター「パピも良い?」

パピ「ふん、勝手にしろ」


ピーターはなぜか年下のパピに懐いている。


     *     *


ここは海賊の本部。


副官「提督、その、大道芸人に会うつもりですか?」


提督「ああ。興味がある。

面白そうじゃないか。

まづ、どうして海賊ラプマンを知っているか。

なぜ、海賊ラプマンを探しているか。

海賊でも下っ端だと知らないだろ。ラプマンを」


副官「まあ、そうですが。危険では?」


提督「お前達は小娘と小僧が怖いのか?」

副官「大道芸人の小僧と娘は恐るるに足りません。

しかし、その背後の組織が気になります。

それに、今はガウイからの嫌がらせに対処するときです」


提督「荷物や貴重品を調べても分からなかったんだろ。

背後の組織については。

なら、直接、聞くしかないだろ。本人達に。


それにだ。

あの欲張りの金貸しのばあさんをトッチメた。

俺達も何とかしようとしてとところだろ。

先を越されたがな。

金貨を盗むだけでない。

証文を焼いた。

ここは重要だ。金にならない証文をだ。

どう考えても、ただの泥棒じゃない。

それに手際も良い。15分でカタを付けた。誰も傷つけずな。

ほれぼれする。泥棒だとしても超一流だ。


ガウイの件が最優先なのは分かっている。

だが、手詰まりで、俺達には動く手段が無い。


案外、連中の組織、ガウイが追う戦闘ペットの情報を持ってるかもしれん。

聞いてみようじゃないか。

俺は会いたい。手配してくれ」


副官「はい。ナナミに渡りを付けさせます。

暫くお待ちください」


提督「よろしく。副官」


提督は退出していった。


副官「困ったものだ。提督にも。

ナナミ、提督の安全を確保できる場所を手配してくれ」


     *     *


この日も公演が終わった。もう夜11時を回っていた。

パピは相変わらずスーパースターであった。

町の女達が体を触りに来る。それも30人くらいになっていた。

ピコルはストレスはたまる一方であった。


パピ「ピコル、これ」

パピは1通の封書をピコルに渡そうとする。


ピコル「それはパピ宛だよ。パピが読めば良い」


パピ宛のラブレターなど読んでたまるか。

ピコルの機嫌は一直線に下降していく。


パピ「違う。これ見て」


パピは封書の宛名を指さし、ピコルに見せる。

宛名には

 「パピ様並びにピコル様」

とある。

封書の裏の差出人を調べると

 「お探しの者」

とある。

ピコルとパピは封書を開け、文面を読む。


 ピコル様

 パピ様


  いきなり、このようなお手紙を差し上げることをお許しください。

 私共をお探しの様子とお見受けいたします。

 私共もご両人様にお会いして、お聞きたいことがございます。

 ご都合も確かめず、いきなりですが、


  明日、午後1時

  場所は埠頭の広場、東ベンチ

  ご両人様2名のみでお越しください。

  当方も2名で参ります。


 ご都合が良い場合、東の広場のベンチの老人に銅貨1枚を恵んでください。

 ご都合が合わない場合、そのままお帰りください。

 よろしくお願いいたします。


 お探しの者


海賊からの会談依頼であった。

ピコル、パピ、マロは臨時の打ち合わせを行う。

どうするかは直ぐに決まった。

ピコルは帰り際、ベンチに座る老人に、銅貨1枚を渡し、宿に帰った。


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