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彩の異世界転生  作者: 巴空王
13/44

 13 港町ルフ

ガウイ族の暗殺隊は、街道を東に走った。

昼前には最初の村に到着した。

代官所で、駐在するガウイ族の代官に面会した。

ここ数日で、追剥や盗賊の出没、

食料のかっぱらいなどが、起きていないかを聞く。

この村では何も起きていなかった。

ギルとマントマは村3つを回ったが、

戦闘ペットの痕跡は無かった。


ギル「奴らは東には来ていない。

マントマ、引き返すぞ」


暗殺隊は西へ走り出す。

翌日の昼前には、

ピコル達が最初に大道芸を披露した村に到着した。

ギルは代官所で聞き込みをしている。


代官「4日前、大道芸人が追剥に会い、

金と金目の物を奪われた。

街道を東へ5km行った辺りだ」

ギル「追剥の人数は?」

代官「3人」

ギル「追剥は服を着ていたか?」

代官「報告に服の話はない。

服を着ていないのなら、報告に上がるはずだ」

ギル「情報感謝する」


マントマ「戦闘ペットだろうか?」

ギル「可能性はある」

マントマ「1人多くないか?」

ギル「協力者がいる可能性がある。

協力者がいるとなると、

服は、その協力者が用意したのだろう」

マントマ「3人組を追うのか?」

ギル「マントマ、1日休むぞ」

マントマ「すぐ追わなくて良いのか?」

ギル「服を着てるとなると、戦闘ペット紋が見えん。

隠れた戦闘ペットを見分けることは、難しい。

長期戦になる。

休むのも仕事の内だ」


この時点で、ピコルとパピは2つ先の村にいた。

ギルとマントマが追えば、

両者は遭遇していた可能性がある。

しかし、服を着ているため、

ピコル達を戦闘ペットと見破れない可能性もある。

取りあえず、ピコル達には幸運であった。


     *     *


今日は朝から街道を西に進む。港町ルフを目指している。

いつもの様に、

ピコルはアニメソングを歌いながら歩いていた。


マロ「ポルポ軍曹から報告がありました」

ピコル「アズラン虫の件?」

マロ「はい。今、話して良いっですか?」


ポルポ軍曹の報告


 本来、アズラン虫は牛を宿主とする。

 牛が宿主の場合、アズラン虫は牛に危害を加えない。

 牛に寄生したアズラン虫は2カ月半で蛹になり、

 便と共に排出される。

 蛹は半月で孵化し、成虫になる。

 成虫は草の葉に卵を産み、この草を牛が食べる。

 牛を飼育する人間は、春から夏にかけ、

 突然死することがある。

 この突然死は、アズラン虫による虫害と推測できる。

 人間は、アズラン虫による虫害を知らない。

 人間には、経験による対抗策が伝承されている。

 牛に関わる職業の人間は週1回、

 ボルシ茸を煎じて飲む。

 ボルシ茸の成分で、アズラン虫は蛹になり、

 体外に排出される。

 ボルシ茸の飲用で、アズラン虫の虫害に対抗している。


 アズラン虫の排除方法


 ボルシ茸1本を細かく刻み100mlの水で煎じ、

 半量にする

 これを飲用する

 飲用後、3日以内に排便すること

 排便が無い場合、下剤を服用すること

 3日後、マイクロマシン薬で、

 アズラン虫の排除を確認すること


 奴隷薬


 以下は実物が無いので推測

 奴隷薬は、

 アズラン虫の卵+ボルシ茸エキス末である

 可能性が高い

 奴隷薬が、奴隷主の血で作られているという情報は

 奴隷を混乱させるためのブラフ

 


マロ「以上がポルポ軍曹からの報告です」

ピコル「ボルシ茸は何処で入手するの?」

マロ「薬屋には大抵、置いてあるそうです」

ピコル「ありがとう。マロ。

それにポルポ軍曹。会ってお礼が言いたいな」

マロ「ポルポ軍曹に伝えておきます」


ピコルとパピ、カオラン一座は港町ルフに着いた。

時刻は午後3時であった。

港町ルフは、領都や今まで通過してきた村とは、

比べようもない、大きさだった。

町の通りは、多くの人が行き来している。

通り沿いの商店にも大勢の客がいる。

東門から入った通りを100mほど進むと、

大きな広場と常設市場があった。

広場では、3組の大道芸人が練習をしていた。

この場所は東広場、町には他に、

中央、西、北の広場があるという。


今日は、ここで公演したい。

カオランが広場にいる大道芸人と交渉し、

OKを取り付けてきた。

新入りなので、1回きり、しかも、

大道芸の開幕1番手と決まった。


やはりパピの曲芸は、インパクト抜群で、

聴衆を沸かせた。

他の大道芸人達も驚いていた。

早速、明日もここで、公演することが決まった。

投げ銭は、今までとは比べ物にならないほど集まった。

1回の公演で銀貨15枚、銅貨260枚。

この調子なら、カオラン一座がギターとタンバリンを、

手に入れる日は近い。


お金に余裕ができ、今日は宿に泊まることになった。

大道芸が早めに終え、銭湯に行くことにした。


タロン「おいら、湯より飯がいい。

腹減って死にそうだぞ」

リンラ「今日は宿に泊まるから。

汚い子は泊めてもらえないよ。

後で食べさせるから。我慢しな」

タロン「沢山食わしてくれよ。

俺だけ、ちんち〇が小さいのは、恥ずかしい。

早く、カオラン兄やパピ兄みたいに、大きくしたいんだ」

リンラ「おバカなこと言うんじゃないよ。

6歳なら、それぐらいが普通だよ」

タロン「パピ兄は、俺ぐらいの年には、

もう大きかったて、教えてくれたぞ」

ピコル「パピ。嘘教えちゃダメでしょ」

タロン「え! 」

パピ「ははは」


銭湯を出て、宿を取った。

6人部屋で皆で、寝ることにした。

今日の食事は、宿の向かいの下級食堂と決めた。

実入りが良かったので、

タロンは好きなだけ食べさせてもらえた。


食後、ピコルとパピはカオラン一座と別れ、

薬屋を探した。

宿で薬屋の場所は聞いていたので、すぐに見つかった。


ピコル「ボルシ茸はあるか?」

店主「ボルシ茸、有るよ。牛の売買人かい」

ピコル「まあ、そんなとこ。2本欲しいんだけど」

店主「銅貨4枚になる」

ピコル「下剤を4服も」

店主「合わせて銅貨8枚だ」


ピコルは宿に引き上げ、宿の台所を借りた。

水と一緒に刻んだボルシ茸を鍋に入れ、

20分ほど煎じた。

煎じ液をコップに4杯に分け、部屋に帰った。


ピコル「奴隷薬の解除方法が判った。

このコップの薬が奴隷薬解除の薬。

今から飲んでもらう」


ピコルは4人にコップを渡し、飲ませる。


ピコル「3日以内に大を出すこと。

2日たっても出ないときは下剤を飲んで出す。

下剤はリンラに渡す。4服あるから。

リンラは4人の大を確認してね。

必ずよ」

リンラ「分かった」

ピコル「3日目に別の薬を飲んでもらう。

此方の薬は、奴隷薬を解除できたか調べるため飲む」


ピコルはポルポ軍曹から教わった、

奴隷解除薬の作り方を4人に話した。

タロン、ミーシャは幼いので、

忘れないよう何回も話すつもりだ。


ピコル「重要なことを話す。

奴隷解除薬のことは、信頼できる人間にしか話さないで。

奴隷解除薬の秘密を、守りたい人間もいる。

そういう人間から、敵と思われる。

殺そうとする人間も出てくる。

だから、信頼できる人間にしか、話しちゃだめだよ」


皆、真剣に聞いてくれた。


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