いつものおじさん
僕は、高校を卒業後すぐに就職した2年目の社会人だ
僕の出勤は、早い。
朝の6時に家を出て、最寄りの駅まで15分ほどかけて歩く。
駅につくと、
今日も仕事か…
とため息を吐きながら電車を待つ。
電車がきた。
いつものように5両編成の電車の最後尾の車両に乗る。
端の席に座ると、目の前に
いつものおじさん。
が座っている。
そのおじさんは、僕がこの電車を通勤に使い始めてから、毎朝、同じ電車の同じ席で会う。
おじさんは一見してサラリーマン風、歳は40代後半ぐらいで、いつもイヤホンをつけている。
もう一年以上も同じ電車に乗っているので、僕は勝手に"いつものおじさん"と呼んでいる。いつものおじさんとは話したことはない。
その日いつものおじさんは、
音楽を聴きながら楽しそうにリズムに乗っていた
その行動は、仕事を頑張るための準備に見えた。僕は、おじさんのようにはなれないと考えてしまう。
なぜなら、仕事前からそんな陽気にはなれないからだ
おじさんはいつもそうだ。嫌な顔はしない。
ふと、スマホの画面越しには、今日も仕事に行くのがだるそうな顔をする僕が写って見えた。
それからしばらく見ていると、おじさんと
パッと、目が合った。
僕はなんだか恥ずかしくなって目を逸らしてしまった。ずっと見ているのがバレたような気がして、ドキッとした。
気になって、もう一回おじさんを見ると、おじさんはリズムに乗りながら、なんだか気持ちよさそうな表情を浮かべていた。
しばらくして、おじさんは耳からイヤホンを離し、いつもの下車する駅についたので、電車を後にした。
特に大きな出来事はないが、おじさんはだるそうな顔をしないのか見るのが僕の日課になっている。
仕事にいくのは、嫌だし、だるい…
でも社会に出だからには、耐えないといけないこともたくさんある。いつものおじさんも毎日毎日、仕事に明け暮れているのだろう。
きっと嫌なこともたくさんあると思う。
この繰り返される毎日を少しでも明るくいいものにするために、嫌な顔を表情に出さないようにしたい。
そうすれば昔、そして今の僕から
なにか、変わる気がする。
朝から深い事を考えさせられる
"いつものおじさん"