貴方の汚い手が私は大好きです
§夜§
時刻は0:28
「おぎゃーッ!おぎゃーッ!」
「·············どうした」
「おぎゃーッ!おぎゃーッ!」
問われて答えるはずもなく、赤ん坊はひたすら泣き続ける。もう既にこれで5回目になる。赤ん坊を育てたことがない俺にとってはどうやったら泣き止むかなど知るわけも無い。
だから色んなことをした。あやしてみたり、笑ってみたり、撫でてみたり、色んな方法を試したがダメだった。
だが、半場やけくそでやって見た行為で偶然にも泣き止んだ。
「·················ちゅ」
俺は赤ん坊の額に軽くキスをした。
「きゃ、きゃっきゃ」
「···················こんなおっさんがいいのかよ。まったく」
俺は少し呆れながらも、また再び赤ん坊を寝かしつけてやる。
どうせまた一時間か二時間後に起こされることだろうが、まぁ、これでこいつが明日元気にはしゃいでんならそれも良いのかと思う。
§§§
§数年後の夜§
時刻10:00
「お、叔父貴」
「あ?」
「ま、また一緒に、いいか?」
「·············もうこんな時間か」
俺は作った刀の手入れを一度止めると、フィリアの方へ歩み寄る。
「いい加減一人で寝れるようになれ」
「················ごめんなさい」
「別に怒ってねぇよ」
その証拠として、俺は軽くフィリアの頭を少し乱暴に撫でてやると、フィリアは嬉しそうに目を細めた。
「ん。俺、叔父貴の手、好き」
「··················そうか」
うちのガキは少し、と言うか結構変わってる。
たまに街に降りて武器をギルドに売る際、よく俺は冒険者やギルドの受付から手を見られて「なにあの汚い手」「まるでオークだ」「神聖なギルドが汚れる」「あんな薄汚い男を入れるなんて」と結構ボロっカス言われる。
ギルドマスターはあまり気にしないようで、笑いながらお茶と団子をくれる。将棋にも付き合わされる。
フィリアを拾った時に、『子供の子育て一億の事』と言う本をくれたのも、フィリアの子育て費の半分、と言うかほとんどをくれたのもギルドマスターだった。
ギルドマスター曰く、「お前とわしは家族だ。その家族の息子のために手を貸すのは家族として当然じゃよ」と言ってくれた。
まぁとにかく、俺の手はあまり好まれない。若い女からは特にだ。
だからフィリアもそのうち大きくなって俺の事を嫌悪する日が来るかもしれねぇ。
だからそれまで、俺もフィリアの俺へ対する甘えを許そうと思う。
俺も娘が昔は欲しかったしな。
「···············明日街に出るがお前は?」
「いく!」
「そうか」
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