クリスマスの朝のために。
小学生以下の方は、夢を壊される可能性があります、ご注意ください。
『サンタさんへ。今年のプレゼントはお人形のお家セットがいいです。』
恐らく幼稚園くらいの頃にわたしが書いた『サンタさんへの手紙』が出てきた。両親が残してくれていた、思い出箱〜5歳から10歳まで〜に入っていた。
わたしの両親は、わたしが小さい頃に描いた絵や、幼稚園小学校の工作、作品や習字などを『思い出箱』に残してくれていた。
箱を開けると、こんなものまで!と驚くものから、あの頃を思い出し思わず笑ってしまうようなものまで様々だ。
サンタさんへの手紙。これを書いた頃のわたしは、本物のサンタクロースへ届いていると信じていた。そして、クリスマスイブの夜は、サンタクロースが空飛ぶソリでやって来てプレゼントをくれるのだと信じていた。
だから、我が家のサンタクロースの正体を知るまでは、クリスマスのメインイベントはクリスマスイブの夜で、期待通りのプレゼントが届くかどうかが楽しみだった。
クリスマスと言えばイブの夜だった。
大人になったわたしは、我が家のサンタクロースが誰なのかを知ってるし、その誰かは空飛ぶソリには乗らないけれど、わたしにとっては本物のサンタさんであることも分かっている。
何故ならば、わたしにとって本物のサンタさんの子供であるわたしも、あの子にとって本物のサンタさんであるからだ。血は争えないのである。
あの子から今年も『サンタさんへの手紙』を届けるように手渡された。クラスで流行ってるアニメの漫画が欲しいらしい。今から全巻揃えて買えるか微妙なところだ。
けれどあの子の本物のサンタさんであるわたしは、精一杯奔走しようと思う。
ワクワクした気分でイブの夜に眠るあの子のために。
クリスマスの朝、笑顔でプレゼントを自慢するであろうあの子のために。
子供の頃は、クリスマスはイブの夜だった。
大人になった今は、クリスマスのメインはクリスマスの朝である。
あの子からのとびきりの笑顔のクリスマスプレゼントが貰えるように、わたしはプレゼントを探しまわるのだった。