三章・第十二箱「感情でパワーが左右されるロボットは強い時と弱い時の差が激しい」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
ギャラハット編もそろそろ後半戦です!彼女とアークの関係はどういう決着を迎えるのか。どうぞおたのしみに!
クォンタム・アークの幹部補佐二日目。今回はレジー爺の補佐として街にやってきた。
アークはこの世界ではロボであるはずの自分が食事できて味も感じることができることに気づいたことで色んなおいしいモノを食べる幸福を思い出した。その結果レジーを半ば強引にスイーツ店に引きずり込み超巨大スイーツを食べるのに付き添ってもらっていた。
「うむうむ。で、レジーさんはどういう人を狙うんですか?」
「もむもむ。ワシが狙うのは武芸者じゃ。とくに強い奴との戦いを望んどる奴がええのう。わしが使うカクメイダーは特別製でな。一度ワシ自身の中に取り込んで鍛え上げた『寄生型カクメイダー』なのじゃ。
寄生した相手が強ければ強いほどその力を何倍にも増幅して本能のままに暴れまわる」
「ほえー。でも強い武芸者って今時いるんですか?オリンピック選手とか?」
「ふふふ、ワシが狙うのは・・えーと」
スマホを取り出して操作しようとしているがうまくできてないのでアークが設定を音声操作へと変えてあげた。
「縁沢収容所」
レジーがスマホへそう呟くと収容所の詳細が画面に表示される。
「収容所ですか。確かに血気盛んな連中はいそうですけど。この現代じゃよくてチンピラ程度じゃ?」
「まぁ待て。ニュース、空手家、殺人事件」
レジーが追加したキーワードで検索エンジンに最近あった殺人事件のニュースがいくつも表示される。それらは全て同じ事件の記事であった。
「格闘技の選手でオリンピックや世界大会に出場した経験のある人物が次々に殺害される事件が発生。全ての事件に共通するのは全員の死因が素手の打撃や投げによる外傷だという事・・・か」
「そしてその犯人は現在、縁沢収容所へと収監されている。そして今夜、さらに厳重で過酷な北海道の監獄へと移されるそうだ。そこを襲ってその犯人に寄生型カクメイダーを入れる」
「なるほど。でも、だったらこんな昼間から仕事しなくてもいいんじゃ?」
「下見をせねばどこで襲うのが一番効率的かわからんだろうが!!」
「ああ、なるほど」
「だが、下見に行くにしてもお前は目立つなぁ」
筋肉ムキムキのガタイの良すぎる爺ちゃんに言われたくないとは思ったがアークは口をつぐんだ。
「で、さっきからお前の後ろで回ってるアンテナとスピーカーは何なのだ?」
「ああ、これは『No.6サイレント・オーナー』っていう武装で周囲の音に対して全く同じ周波数の音をぶつけて相殺することで周りの声は俺たちに聞こえなくなる。逆もまた然り。つまりどこでも内緒話できるマシーンです」
「それは便利だのう。まぁワシらの話を聞いたところで理解できるやつがどれほどいるか」
「それもそうですね。よし、食べ終わりました」
「では行くぞ」
アークたちは伝票にお金を挟んでレジ前に置くと足早にスイーツ店を後にした。
伝票の下の方には『お釣りはいりません』と書かれていた。
〇
その夜、円香は家の縁側で座禅を組んでいた。そして考えていた。何故タッツーの力が自分に流れてこなかったのか。
自分の力だけで勝ちたかった、それもある。だがそれだけならタッツーの話を聞いた時に心は決めていたはず。また負けるのが怖かった?いや、そんなことならリベンジしたりしない。
(でもタッツーの力が入ってこなかったことに私はほっとした。何故?強くならなければならないはずなのに・・)
今まで二度目の敗北はなかった。どんな分野、競技でも一度負けた相手には二度と負けなかった。
二度目はまぐれだと再び挑んでくる者もいたが二度目以降はどれだけ相手がリベンジしてこうようが勝ち続けてきた。・・・勝ち続けてきた?
「そうか…私は…」
気づいた。自分の心が醜くに歪んでいることに。でも気づいたからこそ。
「戦わなきゃ・・・彼と!」
彼女の目に輝きが灯る。その輝きは彼女が感じた歪とは対照的な済んだ輝きだった。
そして次の日の朝、『格闘殺人鬼脱走』のニュースがお茶の間を騒がせることとなった。
つづく。
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