第八箱 墨入れは爪楊枝に墨汁を付けてやれ。
八箱目です!ここからもしかしたら更新が三日に一回とかになるかもしれません!ご容赦ください!
でははじまります!
仕留めた賞金首の換金と違法奴隷商会への襲撃を行う準備をするために傭兵ギルドにやって来たクォンタムたち。
ドナウが育ての親であるギルド長と共に違法奴隷商会壊滅計画を立ててそれを傭兵たちへ伝えようとした時だった。
クォンタムが傭兵たちといざこざを起こして皆を叩きのめしてしまったのだ。
果たして作戦を実行することができるのだろうか。
〇
ぎるどの酒場では会議が開かれていた。
「今オヤジがどうにか戦力を集められないか奔走してるが…。望み薄だそうだ」
「ってことは中止ですかい?」
「いや、アタシらを罠にはめた連中が全滅したのは既に商会の奴らも察知してるはずだ。こっちの動きが遅くなると逃げられちまう」
「あの、GOPから応援は呼べないのですか?」
「今は戦争中だから多分無理だ。それにそんなことしたら傭兵ギルドの取り分が減っちまう」
「奴らの本拠地だから数百人規模の敵がいると予想できるしなぁ。それもこれもクォンタムさんが!だから俺やめろって言ったじゃないっすか!!」
「いやー、それは本当にごめんなさい」
「それはもういいよ。先に手を出したボウルが悪いから。でも今日の夜までには打開策をみつけないと…」
「クォンタムの旦那!あんた守護神なんだろ?どうにかできないか?」
「いやー。守護神といっても神様じゃなく高性能ゴーレムですから」
「あ!そうだ!ゴーレムだったらつくりゃいいんだ!町にもゴーレムを作るスキル持ちは何人もいるし、それでクォンタムの旦那を沢山作ってもらえば!」
そう言ったチョウがドナウに頭を殴られた。
「クォンタムは伝説の『白衣の賢者』が作った代物だぞ!そこいらのゴーレム使いが作れるわけねェだろ。まぁ、せめてもう一人クォンタムがいりゃあ何とかなるとは思うんだが」
「俺が…もう一体」
その時だった。
「うえーい!たっだいまー!」
ギルドの扉の方から誰かもわからぬ声が聞こえた。
その方に向いても誰もいない。
「ジャック、狼の群れ全部仕留めてきたよ!これ尻尾ね!全部で80本はあるから換金よろしく」
「へいへい、今回も仕事が早いな」
「にしてもギルドにしては珍しく随分静かね」
「ちょっとトラブルがね」
次は受付の方で話声が聞こえるがジャックしかいない。
「あら!ドナウじゃない!無事だったのね!!」
次はこちらの頭上で声がした。
見上げてみるとそこには…。
「よ、妖精!初めて見ました!!」
妖精族。人間の10分の一ほどの体躯。昆虫の様な羽。フェイデラ国にあるシンオウの森の奥地にしか住んでいない種族である。
妖精族は生まれた時からエレメントの強力なスキルを持っており、自然と共に生活してきた。
その昔人間に発見されてその力を兵器として利用しようと乱獲された。
結果、一度は人間と戦争となったこともあった。
だがその時代のフェイデラ国の王が『妖精族を我が国の民とする』との名声を掲げ、妖精族に協力し妖精族を狙っていた国々を打ち負かしていった。
それからこの国では妖精は一般的な国民としてしたしまれてきたのだ。
「よう、久しぶりだな。うちの最大戦力!紹介しとくぜ。こいつは」
「メロよ。妖精族の傭兵!風スキルと斬撃スキルのスペシャリストよ!ここの最大戦力!よろしくね。そっちの冴えない男どもは知ってるけど。貴方たちはだあれ?」
ドナウはまずクォンタムたちのことを紹介し、今回の作戦の事をメロに伝えた。
「なるほどね。でもクォンタムさんが助力してくれるなら問題ないんじゃないの?いま医務室で雑魚寝させられてるザコたちよりも戦力になるってことでしょ?」
「そうだとしても人手がないとやれる作戦も限られてくるし!見落としも多くなる!幹部は一人でも逃がしちまったらまた同じことを始める!いたちごっこだ!」
うーんと皆が頭をひねる。
クォンタムの偵察ドローンを増産するか?
でもドローンの情報を戦闘中に受け取れるのはVRヘッドを付けている登録ユーザーかクォンタムだけだ。
ユーザー数を増やしてVRヘッドをみんなに配布するか。いや、それだと裏切られたときのリスクが増大する。内部コンピュータと金型の王を好き勝手使われたらたまったもんじゃない。
要点は敵を誰一人逃がさずに殲滅すること。
フルブースターを使えば可能ではあるのだ。
フルブースターで上空から村全体を監視して村から逃げ出す敵を感知すれば急行し、仕留めて、元の場所へ戻る。
すべてが終わるまでフルブースターを見張り役につければ敵を逃がすことはないだろう。幸いフルブースターには高速移動中に障害物を避けるために超高性能な動体センサーや生命センサー、サーモセンサーなどセンサーが山積みである。
だがそうなると強敵が現れた時にクォンタムが参戦できないのだ。
朱火が動かせるクォンタムは一体のみ。機体をチェンジすると今まで操作されていた機体は活動を停止して輸送用コンテナの中に自動的に送られるのだ。
(同時に二機動かせたらなぁ)
できないことを考えながらボケーっと視線を泳がすとメロが目に入る。
そう妖精族のメロが『本来のパイロットとクォンタムほどの体格差のある』メロが。
(…パイロットがいれば動いたりして)
この思い付きをドナウに話してみたところ。
「面白そうだな!!やってみよう!!」
〇
という事になり傭兵たちの訓練場へとやって来た。
「ここなら思いっきり爆風起こしても大丈夫だ!」
「それじゃ出しますか」
輸送用コンテナからフルブースターが出てきた。
「おお!ホントにあの時のクォンタムさんだ!」
「こ、これをアタシが動かすの?」
メロさんは動揺というか怯えていた。
こんな意味わからんモノに乗って動かせなんて言われたら怖いに決まっている。
爆発するかもしれんし。
クォンタムはメロにVRヘッドを使ってユーザー登録してもらいフルブースターの操縦権を渡した。
「説明書の設定資料ではお腹のあたりにコックピットの開閉スイッチがあるのでまずは開いて乗ってみてください」
「これね」
スイッチを押すとコックピットの入り口が開く。
メロは恐る恐る中へと入る。
「うーん、プラモの説明書には出力だの重量だのは記載されてても動かし方なんて書いてないよな」
メロがコックピットのシートに腰掛ける。
すると。
「な、なにこれ!?頭の中に!?」
「メロ!どうした!」
「何かあったんですか!?早く出て!」
「えっとこのボタン?」
メロが中にあるボタンを押すとコックピットが閉まる。
「それでこれが『しーとべると』ね。これで体を固定して」
「えっと、大丈夫なんですか?」
「あ、このボタンで外に声が出せるのね!大丈夫!何だかわからないけどシートに座ったら使い方が頭に入ってきたの!!」
(なんだ?そんな機能あったっけ?サイキックシステムとか超能力で動かす機体はあるけどフルブースターはそんな機体じゃない。まさかこのスキルを与えてくれた神様は妖精族がパイロットになることも想定してたのか?だから自動的に操縦の仕方を頭の中に…)
「いっくわよー!」
フルブースターが点火し、空へと飛び立つ。
「うひゃああああ!!早ーい!こんなに早く飛べるの生まれてはじめてよ!これ、風スキルと合わせたらどうなるかしら!」
彼女はスキルを発動しようとする。
スキルの力は彼女の体を通してフルブースターの掌で発現した。
「フルブースターが私のスキルを使ってる!この子本当に私の体の一部みたい!」
フルブースターの掌に竜巻が発生する、そして・・・。
「斬撃と合わせて!チョップ!!」
フルブースターによって上空から放たれた風と斬撃の合わせ技は訓練場の地面を真っ二つに切り裂いた!
「な、なんちゅう威力だ…」
「メロさーん!動かせることは分かりましたから戻ってきてください!」
「はいはーい!」
メロは景気よくブースターをふかしてこっちにくる。
「え!ちょっとメロさん!?竜巻纏いながらこっちに突っ込んできますよ!?」
「シアルさん!シールド!」
「は、はい!」
シアルがエネルギーシールドを出してその後ろにドナウ達が隠れる。
クォンタムは突っ込んでくるフルブースターを止めようと構えをとる。
が、その眼前でフルブースターがピタッと急停止した。
「えへへ、なんちゃって!風スキルを使えればこんなこともできちゃうみたい!」
「びっくりさせんなよ~!」
コックピットが開いてメロが出てくる。
彼女はフルブースターの方に乗って気持ちよさそうに背伸びした。
「ん~!最っ高!」
だが次の瞬間、後頭部をクォンタムに指で小突かれた。
「痛!なにすんのよ!」
「動かせるのはわかりましたけどあんな危ない事はしないでください!次やったら撃墜しますからね!」
「わかったわよぅ」
「クォンタム!これならいけそうだな!」
「はい。でもこれ乗るのがメロさんだと俺の提案した作戦は…」
不安そうな視線をメロの方へ送る。
「なによ!今のは初めての経験でちょっとハメが外れてただけ!作戦ならちゃんと従うわ!」
「そこらへんは信頼できるから大丈夫だぜ」
「ならこの作戦で行きますか?」
「あたしはいいと思うが。最終決定権があるのはオヤジだからな」
と話しているとギルド長のゴズグがこっちに走ってきた。
「おい!今のは何だ!?すごい音したぞ!」
「あ!オヤジ!丁度良かった!」
ドナウはズグゴにクォンタムが提案した作戦を伝える
そしてもう一体のクォンタム、フルブースターをメロが操縦できるところを見せた。
「すさまじいな。このゴーレムとこの作戦なら確かに取りこぼしなく殲滅できそうだ。他のギルドもGOPも増援を依頼したがだめだったからな。それで行こう」
「よし。でもそっか、増援ダメだったか」
「ああ、賞金首の懸賞金と仲介料はちゃんともらってきたがな。そうだ、クォンタム殿!これはアンタに帰しておこう」
ズグゴはソウルテイカーをクォンタムに返した。
「え?これ…」
「魔装具ってのは使える奴以外にはただの武器だからな。賞金首の証拠として使った後は戦利品として討伐した奴がもらえるってのが暗黙の了解なのさ」
「スキルを研究してる国の機関とかに売れば高値で買い取ってくれるぞ?」
「いや、すぐ使います」
「え?すぐ使う?」
そう言うとクォンタムはすぐに金型の王を発動させる。
そしてソウルテイカーを解除キーとして消費した。
『「クォンタム・アズラーイル」ノキットガ解放サレマシタ』
クォンタム・アズラーイル。
ステルス機能に特化し、レーダーには確認不可能。
機体全体に仕込まれたカメラによって周囲の風景を全て記録、それを機体の背面に付いているマント
表面に映し出しそれを纏う事で目視ですら確認できなくなる。
アニメでも『死神』の通り名を冠していた機体である。
『今マデノ戦闘経験ト魔装具ノ蓄積ニヨリ『金型の王LV2』ニ成長シマシタ。新タナ製作可能キットガ解放サレマシタ』
「これで新しい機体が解放されましたね!」
「え?そういうことなのか?新しいってことは…フルブースターとは別の奴もあるのか!」
「え!なにそれ!乗りたい乗りたい!!」
「今は保留しときましょう。違法奴隷商会を潰すのが先です!」
クォンタムたちはそれぞれ戦い準備に取り掛かった。
ハンとチョウはそれぞれ装備品の調達。シアルは新たに解放された武器キット、クォンタムの予備パーツ、偵察用小型機などの組み立て。
ゴズグ、ドナウ、メロ、クォンタムは作戦の細かい内容と新しい武器の確認だ。
「フルブースターの新しい武器、超電磁レールライフルは実弾平気なので風のスキルで弾道を操作してやれば百発百中。メロさんならできると思います」
「OK、援護と逃げる敵はアタシに任せといて!」
「弾が切れたら輸送用コンテナを持ってるシアルさんに連絡して下さい。彼女がすぐにコンテナに命令して弾をそっちまで飛ばしてくれるはずです」
「わかったわ!」
「ドナウさんはコレかぶってください」
VRヘッドをドナウに被せてユーザー登録させる。
「これでお前の武器があたしにも使えるんだな!」
「はい。でもこの作戦が終わったら登録は解除しておきますから期間限定ですが」
「えー!!なんでだよ!アタシはお前の事を裏切ったりしねぇ!」
「念のためですよ!」
クォンタムがドナウの為に用意したのは
ウッドペッカー:長足連射が可能なレーザーマシンガン。扇状のアタッチメントを取り付けることで
威力は低くなるが扇状に10発の弾を同時に発射できる。
レーザークレイモア:普通のレーザーセイバーよりやや大きめ。刀身があり、そこからレーザーが
噴き出して大剣の様なシルエットになる。
エネルギーナックル:本来はマニュピレーターに付けて凸型の電磁バリアを相手に叩きつける装備。
今回はドナウのグローブに取り付けている。
リフレクトマント:この世界ではスキルによる攻撃を弾くことが可能なマント。
エレメントナイフ:冷気発生装置、熱気発生装置などいろいろな装置が組み込まれたナイフ。
今回ドナウにはアイスナイフとフレイムナイフ二本を渡している。
フックチェーン:ニードルチェーンの先端をフックに改造したモノ。
それを全て受け取るとドナウは嬉々として装着し始める。
「どうよ!」
「今までのスタイルとあんまり変わらないわね」
「マント、グローブ、ナイフとウッドペッカー以外は次元倉庫にしまっとけドナウ」
「えぇ!?全部つけてた方がカッコいいじゃんか!!」
「それで早く動けるんすかお頭?」
「う、それはだなぁ!」
ドナウ達が装備について言い合っているところから少し離れた場所でシアルが一息ついていた。
クォンタムがその隣に座る。
「すみませんシアルさん。こんなに沢山作ってもらって。大丈夫ですか?」
「ええ!クォンタム様の為です!苦ではありませんよ!」
「無理はしないでくださいね。…一つ聞いていいですか?」
「なんなりと」
「貴女はどうしてそんなに違法奴隷商を敵視してるんです?」
シアルは少し間をおいて話し始めた。
「友人が、とっても仲のいい友人がいたんです。彼女は私と森で遊んでいる最中にさらわれました。私はすぐに大人たちを呼んで探しましたが見つからなかった。
一年後に村に国の軍隊がやってきました。無残な姿になった友人の死体を抱えて。この村のことを兵士たちに伝えていたそうですがその時には重い病にかかっていたらしく。たどり着く前に…」
「だから恨んでるのか」
「ええ、許せない。私の友人のさらった奴隷商人もその友人の命をお金なんかで買った利用者も!だから私は…。すみません、私のわがままでこんなことに付き合わせてしまって」
「言ったはずです。貴女の望むことなら私は何でもします。この身を犠牲にしてもね。それが私の恩返し。これも貴方が望んだ『この世界を救う』ことの一歩です」
その言葉にシアルはにこりと笑った。
「私は戦うことは出来ませんが精一杯頑張ります!」
「ええ!明日は絶対勝ちましょう!」
そんな二人の様子を遠目からドナウが見ていた。
(やっぱりあの二人の関係って~。う~んでもな~。付け入る隙がないわけでも…)
「気になるなら話しかければ?」
「うわっ!?メロ!脅かすな!」
「ほんっとに分かりやすい奴よね。まぁ今まであんたには『そういう事』なかったからしょうがないけどね」
「な、何言ってんだ!相手はゴーレムだぞ!そんなんあるわけねェだろ!!」
「あっそ。ならいいけど」
様々な心情が交錯しながら夜は更ける。そして決戦の朝を迎える。
〇
当初の予定通り早朝に敵の本拠地であるザバンジル村へとやって来た。
巨大な門と石造りの塀に囲まれている。村というよりもはや要塞であった。
上空にはメロの操縦するフルブースター、村の周囲は偵察用小型ドローンに囲まれている。
しかし、村の様子があまりにもおかしかった。
「メロさん。中の状況見えますか?」
「ええ、でも変だわ。中に人が誰もいない。早朝だけどこんなに人がいないはずがないわ。塀の上にだって見張りもいない」
クォンタムはメロからの報告を皆に伝える。
「中に偵察用ドローン入れてみるか?」
「いや、この静けさの中では逆に目立つ。メロからの情報だけでも何とも言えん。入ってみるしかあるまいな」
門を破壊して中へと入る。
『スキャン完了。生命反応ナシ』
「なしか」
「逃げちまったのか?」
「でも昨日の今日だぞ?そんなにすぐ村まとめて逃げれるもんか?」
「メロさん!フルブースターの方がセンサーは強力なんです!生命反応見てみてください!」
「わかったわ!スキャン開始…」
『強力ナ生命反応ヲ1ツ、微弱ナ生命反応1ツヲ確認。確認エリア、地下ト推定』
「地下に生命反応があるって。大きいのが一つと小さいのが一つ!」
「地下?」
「おそらく奴隷たちを閉じ込めてる地下牢だろう」
クォンタムたちはまず地下牢への入り口を探すこととなった。
手分けして村中の民家や店を一つづつ見て回る。
入り口はザバンジル村の村長の家らしき建物にあった。
「いってみよう」
クォンタムが先頭に立って地下へと降りていく。
そこには拷問部屋やら奴隷たちとの夜伽を楽しむ部屋やら胸糞悪いものが腐るほどあった。
だが人の気配はない。
「もうすぐ小さい方の生命反応にたどり着く」
そこも牢獄であったがやはり誰もいない。
「生命反応あったんじゃねぇのか?」
牢獄を再スキャンしてみると換気口のところに反応があった。
「換気口だ」
「換気口?よしハン、肩車しろ」
「はいよ」
ドナウが換気口の中に頭を突っ込んでみるとそこに鮮やかな黒の妖精がいた。
「きゃあ!?だれ!?」
「アタシらは傭兵ギルドのもんだ」
「傭兵ギルド?助けに来てくれたのね!早くここから連れ出して!早く!」
「大丈夫だから落ち着け!他の連中はどうしたんだ?」
ドナウは優しく妖精を両手で抱える。
「あ、あいつに皆、食べられちゃったの。一緒にいた兄弟たちもあたしを換気口に隠すために身代わりになって…」
「あいつ?」
「それがここが静かになった原因か」
その時であった。
クォンタムの脳内コンピュータがアラートを響かせた。
『巨大ナ生命反応接近、敵性反応ト断定!』
「ヤバいのがこっちに来る!ドナウさんたちは早く地上に!」
だが次の瞬間牢獄の壁をぶち破って何本もの触手がハンとドナウに襲い掛かった!
「お頭っ!!」
ハンは咄嗟に肩車知ってたドナウをクォンタムの方へ投げ飛ばした。
クォンタムがドナウを受け止めると同時に触手たちは軽々とハンの体を貫いた。
そのまま触手たちはドナウを追おうとするが何かに引っ張られるように動きを止めた。
「クォンタム!お、お頭を!!」
ハンは両腕と自分の体で触手を抑え込んでいた。
クォンタムは咄嗟にドナウ、チョウ、ズグゴを抱えるとスラスターを吹かせて一直線に出口へとはしる。
「ハン!?ハンが!」
ドナウがハンを助けようとバタバタと暴れる。
クォンタムはそれを無視して地上まで直行した。
何故ならば更に大きな黒い何かがこちらを追ってきていたからだ。
出口にたどり着き、村長の家から外へ出ると同時に地面から家を吹き飛ばしてその黒い物体は現れた。
それはまるで真っ黒の巨大な芋虫のようだった。
先端が五つに開いてかろうじて左手のような形に見えた。
そして、その芋虫があけた穴から尻の部分が現れた。
赤い甲冑と黒い異形の左腕をもった兵士が。
「み・つ・け・た・ぞおおおおおおおおっ!!!」
彼らの前に恐ろしき姿のシャバルが現れたのであった。
つづく
さて次回!シャバルとのリベンジマッチです!
ハンよ!安らかに眠れ!




