二章・第四十四話「プラモは頭だけ残っても扱いに困る」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
今回で十六日目です!まだまだいきますよー!ではお楽しみくください!
クォンタムの二つ目の世界での戦いはやっと幕を閉じた。
その戦いからしばらくたって、クォンタムの一党、彼らは魔王城で和平記念パーティーに出席していた。
〇
皆が皆、煌びやかなドレス、スーツに身を包んでいる。
そして多くの来賓の中でもクォンタムの仲間たちは大人気であった。
「いやー、ほんと激戦でさぁ。俺の重力操作がなかったら危ない場面がいくつもあってよぉ。このチームは俺がいなきゃきっと途中で瓦解してたね」
ギンは人族、獣人族の女性を侍らせながら声高に捏造した活躍を語っていた。
「ええい!纏わりつくな!くっ・・・魔王様の頼みと思って出席したがは言えまさかここまでの人気とは」
トラマルは慣れない淑女たちの扱いに困っていた。
「ほう、貴公の所は養蚕を行っているのか。だがうまくいかなくて困っていると。なるほどなるほど。実は養蚕に関してスペシャリストを知っていてね。虫魔族の令嬢なのだが紹介しようか?もし私を頼っていただけるのなら労働力も合わせてお安くしておくよ?」
リヒトは貴族相手に商売をしている。
「貴方のドレス素晴らしいわ!純白で手触りもいいし特に糸で作られた花の装飾がすばらしい!どちらの品なの?」
「手作りですが?」
シルクは手作りのドレスを自分にも作ってほしいと令嬢の方々に囲まれていた。
「コデ様、貴方の描かれた魔族領での伝記を拝見いたしました。魔族に関してとても詳しく、それも挿絵もつけて書かれていて分かりやすく書かれていました。もしよろしければ我々の学園で魔族のことを学ぶための教科書に指定したいのですがいかがですかな?」
「きょ、恐縮です!」
コデ坊ちゃんは人族の教育機関のお偉方に囲まれていた。
「いやー、テルヒコ様、奥様、ご機嫌麗しゅう。貴方の演説とても心に刺さりました。自分の犯した罪を大きく取り上げることで魔族と人族が殺し合うことでどんな歪みが生まれるかを強く訴えていた。普通に考えればバッシングが怖くてあんな事言えませんよ」
「被害者の方々が許してくださったとはいえ私の罪はそう簡単に消えるものではありません。これからも命ある限り罪と向き合って平和を続けるための戦いをしていきたいと思っています。家族と一緒に」
皆、それぞれの形でパーティを満喫しているようだった。
フィーネとキワコも会場二階のテラスからそれを見て満足そうにしていた。
「ほんの数か月前まではこんな風に人族と魔族が笑い合えるなど思っていなかったな」
「でもこれで全てが丸く収まったわけではありませんよ」
「ああ、まだ大きな歪みを正しただけだ。これからだな。まだ僕についてきてくれるか?」
「ええ、どこへでもお供しますよ」
「そうか!」
フィーネも決意を新たに理想の未来へと進んでいく。
〇
そんな中、ただ一人で城の庭にあるベンチで項垂れている魔族がいた。
彼女の懐にはクォンタムの頭が抱えられている。
クォンタムはあの戦いの後、力を使い果たしたのか全く動かなくなってしまっていたのだ。
フィーネや人族の王はクォンタムの首を救世主の証として祭壇を作り祭り上げようと言っていたのだがディーナだけがそれを強く拒否していた。結局そのままディーナがクォンタムの頭を所持する形になってしまっていたのだ。
「まーたそいつ持ってきてんのか?」
「ギン・・」
「いい加減魔王様に渡しちまえよ。未練がましく持っていたってクォンタムが戻ってくるわけでもあるめぇし」
ディーナは体を大きく左右に揺さぶって否定の意を示す。
ギンは持っていた酒瓶をベンチにに置くと彼女の隣に座った。
「クォンタムも言ってただろ『神様の力がどこまで持つかわからない』ってよ。あんだけの戦いだったんだ。溜めてたエネルギーだけじゃクジラを倒せなかったのは明白だろうが。コイツもそれを覚悟してたんだよ」
「・・・」
ギンは沈んだままのディーナを見てため息をつくと持っていた酒瓶の中身を思いっきりクォンタムにぶっかけた。
「んにゃああああ!?」
ドガァ!!
「ぶはぁ!!」
いきなりのことに驚いたディーナはギンを殴り飛ばして自分のドレスをちぎって急いでクォンタムの頭を拭き始める。
「何するのこの駄犬!!」
「そいつだって勝利の美酒ぐらい飲みたいと思ってよ」
ギンは立ち上がるとこう続ける。
「俺たちにできるのは待つことだけじゃねぇ。こうやってコイツのことを忘れないようにバカやって記憶に刻んで後輩やガキどもにこいつがどれほどすごかったか伝えていくんだよ!」
「伝えていく?」
「そう!もうこいつが俺たちが生きてる間に目を覚ますことなんてないかもしれねぇよ。でももし俺らが死んだ後に目を覚まして、誰もこいつを知らなかったら。コイツがどんだけ寂しいと思ってんだ!待ってるしかできねぇんなら待ってる間にそれ位やってやらなくちゃコイツに申し訳が立たねぇよ」
「ギン・・・」
「クォンタムはきっと帰ってくるさ。そんで帰ってきたときにこいつが少しでも悲しくないようにしてやろうぜ」
ニッと笑うギンにディーナは体を傾けて肯定の意を示した。
「私もそうする。クォンタムがいつでも戻ってきてもいいようにする!クォンタム、私ずっと待ってるからね。それでもし生きてる間にまた会えたら・・・その時は・・・」
そんな彼女の願いを導くかのように空には一際輝く一等星がうかんでいた。
〇
そして当のクォンタムはというと。
「はい。では次の世界に行くぞ」
「はーい」
またコアになって神様たちの元へやってきていた。
第二章・完
第三章「転生したら敵役のロボットだった件」につづく
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