二章・第三十五章「サイエンスとオカルトは紙一重」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
何とか一週間持ちましたーー!続けてみてくださった方々ありがとうございます!
では今回もお楽しみください。
テルヒコとシュウイチの決戦、シュウイチの特殊な扇による天変地異レベルの攻撃を突破してテルヒコの必殺技「如意・嵐廻」がシュウイチの顔面を叩き潰した。
勝負は決まったのだろうか?
〇
「なま、ぬるいとは・・・聞き捨てなりませんねぇ」
顔に刺さった如意棒(仮)を掴み、自分の顔からずらしと。それを振り回す。テルヒコはとっさに如意棒から手を放すと如意棒はそのままはるか彼方へ投げ飛ばされる。
テルヒコはシュウイチの前へと降り立った。
「ここまで来たぞ」
「全く、あなたという人は、この世界は、どこまでも私の思い通りにならないのか・・。ですがもう武器もあるまい!!
「ああ、ないさ」
武器を持たないながらもテルヒコは構えをとった。
「武器なしでも勝てると?今の私は害獣の肉体強化まで手に入れた!お前に勝ち目は・・・」
「勝てるさ。その扇子の力、『型』ではない。お前もしや『型』を持っていないのではないか?そして肉体強化もただの借り物。恐れるようなものじゃない」
「!?」
テルヒコの言葉にシュウイチがあからさまな動揺を示した。
「な、なぜ・・・」
「お前は『扇子』を武器としながら扇子による物理攻撃を一切行っていない。その扇子の異能に頼り切った一辺倒な戦い方を見ていれば誰でもわかる。扇子の仰ぎ方一つ取っても優雅さの一つも感じられん。お前には武器に対する思い入れなど全くないのだ。そんなものが『型』になるはずがない」
この世界の力、こと転移者と転生者に与えられる『天衣無縫』は自身の最も得意な武器の力を極限まで高めてくれるものだ。しかし、それを『型』にするためにはそれ相応の『思い入れ』が必要なのである。
「お前は元居た世界では何でも出来たといった。だがそれは何か一つを極めたことがないということ」
なまじ何でもできる者は何か一つに熱を注ぐことはない。いい家柄と数多の才能はシュウイチの心から執念や思い入れを奪い取ってしまったのだ。そしてこの執念の世界に転移した彼には特別な者は何も残っていなかった。
「ど、どいつも、こいつも・・・どこまで俺を馬鹿にするんだ!人間領の連中も、魔族領の連中も、転移者と転生者の連中もみんな俺を馬鹿にしやがって!!元の世界だったらお前らなんて俺の足元にも及ばない虫けらのくせに!凡人のくせに!俺を馬鹿にするんじゃない!!最悪だこんな世界、滅茶苦茶にぶっ壊さなきゃ気が済まない」
扇子を再び開く。そこには『型』と書かれていた。
「で、でた。やっとこの文字が!こいつさえあれば!おれはあああああ!」
大喜びで自身体に扇子を押し付ける。これでやっと自分はこの世界で元の世界の自分と同じ人間になれると。だが。
ボコん!
扇子が押し付けられた場所からまるで魚類の頭のような異形が出現する。
「あが!?」
体のいたるところから魚の骨やヒレのような異形が噴出し始める。
その現象にはテルヒコすら困惑してた。
「いったい何が!?」
「おーい!聞こえるかー!!」
壁の向こうからエンジンの声が聞こえる。
「ああ!どうかされたか?」
「そっちからやばい生命エネルギーが噴出してる。何が起こってんだ!?」
「分かるのか?私も説明してほしいくらいなのだが」
「そのエネルギーの源は敵の奴だろ。何をやったんだ?」
テルヒコは簡単にシュウイチの行動を伝えた。
「拒絶反応だ!」
「拒絶?」
「あいつの中にはすでに神様の力があったんだ。なのに無理やり追加でねじ込んだ。しかも怪物の力まで取り込んでたんだろ?もういっぱいの風船に更に空気を入れたようなもんだ!」
「だが破裂していないぞ。体が膨らんでいってるだけだ」
「外獣の細胞ってやつがどうにか生物の体裁を保とうとしてるんだよ。何とか死なないようにね」
「なんと、おぞましい・・・」
変化が治まったシュウイチは既に人とは呼べない姿になっていた。
歪に膨らんだ筋肉質な体、背中から生えた触手や骨やヒレ、人間の頭は胸に追いやられて頭が元あった場所に魚の頭から皮をはぎ取ったようなグロテスクな頭が飛び出していた。
「エンジン殿、そこに刺さっている錫杖を抜いて投げてくれ!!」
「これか!」
エンジンは錫杖を引き抜くと壁の向こう側にいるテルヒコへと投げ渡す。
錫杖を受け取ったテルヒコは再び構えを直す。そしてシュウイチへの視線から怒りがなくなっていた。
「お前のことは憎い。必ず殺す。だが、苦しませずに送ってやる」
テルヒコの魂からは既に怨みの念は消えていた。あるのはただ一つ、迷い続けるこの男に終着点を与えてやることだ。
つづく。
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