二章・第三十一箱「メガネキャラが乗るのは大体狙撃系ロボット」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
み、三日目じゃー。・・・がくっ。
どうぞお楽しみください。
ミミコを撃破したフィーネたちは傷ついたギンの治療を行っていた。ディーナの炎で傷口を焼いてふさいでいく。
「あづづっづ!?」
「情けない声出さないの。それでも人狼族の男なの?」
「う、うるせぇ!傷口直接焼かれたら誰だって痛いわ!」
「爪は全て貫通しておるようだし、体が腐ることものないぞ。よかったな」
「よくないですよ!あづあああああ!?」
ギンの悲鳴がこだまする中、蠢くものアリ。
ゴポポポ・・・。
その水を都に気づいたフィーナは音の方へ顔を向けた。そこには数百倍に膨らんだ赤黒い何かの塊があった。
「まさか」
明らかにそれは先ほど超圧縮して倒したはずのミミコの成れの果てであった。赤黒い球はさらに大きくなっていく。
「ふむ。ディーナよ。ギンを連れてクォンタムのところへ向かえ」
「ですが!」
「私たちもともに!」
「足手まといはいらん」
「ッ・・・」
「分かりました。ご武運を」
ギンは全然納得していなかったが動けないのでディーナに担がれて退場した。二人の離脱を確認すると目の前で肥大化を続ける魚卵に目を観察する。
「何やら中で動いてる」
ボコボコと蠢いていた魚卵が動きを止めた。そして殻がはじけ飛んだ。中から出てきたのは超巨大な体全体が硬い甲羅と無数の爪を持つクォンタムの世界で太古の昔に存在したと言われる生き物。『アノマロカリス』
「なんじゃこの気色悪い生物は!?」
全身の爪と顔の前の触覚の爪が真っ黒に変色し始める。
「まずいのう。この大きさでは能力の範囲に収まらんから押しつぶせん!」
フィーネがこの海生生物をどうやって攻略するか考えている間に敵の攻撃が始まる。
「ギィエエエエエエエ!!」
全身の爪が一斉に噴出してまるでホーミングミサイルの様にフィーネに襲い掛かった!
「ちぃっ!」
フィーネは重力操作で触れた物体の向きを捻じ曲げる歪曲バリアを張って爪ミサイルの雨をしのごうと試みる。
狙い通りに全ての爪ミサイルが逸れていく。攻撃が全て過ぎ去ったことを確認してフィーネはバリアを解いた。
「しょうがない。ちょっとずつ削り取っていくしかないか」
全身ではなく要所要所を攻めていこうと超巨大アノマロカリスへ突っ込もうした時。
ビシリ。
何かが割れるような音が鳴る。しかも一つや二つではない。周囲からいくつもの亀裂音が響く。それは先ほど放たれた爪ミサイルたちだった。
「まさか・・」
バツン!!
爪ミサイルがはじけ飛び、中から無数のドリルネイルが四方八方へ発射される。フィーネの周囲は爪ミサイルの残骸に囲まれている。逃げ場などなかった。バリアも間に合わない。
フィーネは致命傷は避けようと体を丸めて両腕で頭部を守る。
バババババババ!!
立ち上がる土けむりとドリルネイルの飛び交う音を聞きながら巨大アノマロカリスは「ぎぇっぎぇっぎぇっ」と笑っていた。
どうやらもう人間の発声器官はなくなってしまっているようだ。煙が晴れるとアノマロカリスは周囲を見回してフィーネの死体を探すが・・・ない。
「ぎぇ!?」
何度も何度も頭を振って見回すがしたいどころか血の一滴すら確認できない。混乱して呻いていると。
ズガン!!
脳天に衝撃が走り、頭が地面に叩きつけられた。
「まったく。もう少しでキレイなお顔に傷がつく所でしたよ」
「迷惑をかけてごめんキワコ」
「口調が元に戻ってますよ」
なんといつの間にかキワコがフィーネを抱いてアノマロカリスの上空へ移動していた。浮いているのはフィーネの重力操作の作。大きなハイヒールの足跡がついていた。
「迷惑はいいんですよ。私はそのためにいるのですから」
笑ってフィーネの頭をなでる。フィーネは恥ずかしそうに、申し訳なさそうに眼をそむけてしまう。
「お、お願いした件なのだが!」
「ええ、万事抜かりなく。リヒトとキモデ氏の根回しのおかげですね」
「そうか!」
フィーネの顔がパァッと明るくなる。それを見てキワコの顔もさらにほころんだ。そしてすぐキリっとした目つきに戻り、下で頭の痛みでのたうち回っているアノマロカリスを見据える。
「こいつは私がやりましょう。少しここで浮いて待っててくださいね」
「うむ、気を付けるのだぞ」
キワコはフィーネを空へ残して地上へと降り立った。
「我が親愛なる魔王に弓退く愚か者が・・」
彼女はそう呟くとメガネを外して空高く放り投げた。
『万死!!』
ギラリと光る彼女の眼光。いま魔王軍最強の秘書が牙をむく。
つづく。
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