二章・第二十五箱「ロボットには大体劇中で使われてない隠し武器がある」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
今回でサラマンダー族の里編が終了します。ここから最終決戦まで少々駆け足なストーリー展開となると思います。まぁ、今回でお膳立ては色々と済んじゃうんでねww
ではいつも通り面白いと思ったらブックマーク、評価、感想、よろしくお願いいたします!
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クォンタムたちはサラマンダー族の里を訪れて炎と弓の使い手であるカエンに外獣討伐の手伝いを頼んだ。
最初は拒否されたが彼女が抱えていた問題を解決したことで協力を承諾してくれた、まではよかった。
早速彼女の力を借りようとした時、捕獲していたはずの外獣サンマの姿が消えていることに気づいたのだ。
奴がいつどこで逃げたのか。それはクォンタムたちがサラマンダー族の里の入り口でカエンに襲われた時まで遡る。
〇
カエンによる炎の矢を白虎の土のドームでガードした時だった。
ドームが吹き飛ばされた衝撃でテルヒコの背負っていたサンマも吹き飛ばされていたのだ。
サンマは火山の下へ下へと転げ落ちて行った。
(よっしゃあああああ!逃げ切れたあああああ~~~~!?けど、お、落ちるー!?)
そして偶然にもクォンタムたちを追って火山を登ってきていた人物たちの前に落ちたのであった。
ザクッ!
(ぐえ)
落ちた衝撃でサンマは気絶してしまった。
気絶した彼の周りを例の人物たちが取り囲む。]
「ちょっ・・・なんか空から降ってきたんですけど!」
「これは錫杖ですね。鎖で雁字搦めにされてめちゃくちゃ折れ曲がってますけど」
「テルヒコが武器としてつかっとった奴やろ。上でデカい落としとったからなんかの拍子に吹き飛ばされてきたんや」
彼らの一メートル後ろにいたタバコ男も近寄って錫杖を確認し始めた。
「あら?興味がおありで?」
「これ、女神が言ってた外獣ってやつなんじゃねぇか?テルヒコを武器になってそそのかしてたってやつ」
「あー!アタシらが『やった』後に来たってやつね」
ギャルは気軽にひょいっと錫杖を拾い上げた。
「おーい、起きてるー?」
「お前、ちょっとは警戒せえ」
「全然反応しないじゃん!ただの壊れた錫杖でしょ?」
「この鎖がダメなんじゃないですか?外してみましょう」
「おいおいおい!お前まで何言うとんねん!?」
メガネの優男はかっこをつけてメガネの真ん中を指でくいっと押しながら彼の問いに返答する
「私は外獣に興味があるんですよ。テルヒコはもともと強かったとはいえ高位の魔族すら簡単に屠れるほどではなかった。しかしこいつを服従させ使い始めてからはそいつらさえ赤子同然に倒せるほどだったと女神は言っていた。そしてテルヒコは自身の力でそいつを捻じ伏せて使いこなしていた層ではないですか」
「つーことはー、アタシらもこいつを服従させればテルヒコより強くなっちゃえる感じー!?」
「そんなうまくいくんかい?こいつは世界を滅ぼそうとしとる奴やぞ!女神も殺せって言うとったやん」
「テルヒコのような一介の僧にできてわれらにできないはずがないでしょう!!そうなればテルヒコを使ってこんな回りくどい作戦をする必要もなくなります」
「確かにそうやけど・・・。アンタ、どう思う?」
関西弁男はタバコ男に尋ねるが彼は何も答えない。『勝手にしやがれ』と言わんばかりだった。
「そいつに意見求めても無駄だって。じゃ、拘束解いてみよ!」
「あ、ああ」
関西弁男が不安の表情をしている中でギャルが勢いよくサンマの拘束を解いた。
「あ、あれ?お、俺は・・・・」
「やっほー!起きたー?」
「お、お前たちは?」
「あたし達はね―。『この世界を救う英雄』だよ!」
「転生者、転移者か!?神どもの命令で俺を殺す気だな!!くそ・・・体がボロボロすぎて・・・」
「あー違うよー、えっとねー、なんだっけ?」
「あーちょっと下がっててください。私が説明しますよ」
ギャルを押しのけて前に出てきたのは優男だ。彼女に任せていては話が進まないからしょうがない。
「私たちはあなたの敵ではありませんよ。私の名はシュウイチ、優秀の『秀』に一番の『一』でシュウイチです」
「・・・」
「私たちはあなたに協力を仰ぎに来たのです。テルヒコという悪の権化を裁くために協力してほしいのですよ」
「なんだと?」
「テルヒコは平和を謳いながら身内が殺された程度で自身の言葉に反して虐殺を行い、更には罪も償わずに魔族領を新たな仲間と気ままに旅をしている。旅の目的は貴方をこの世界から消すためなのでしょうけどね。罪滅ぼしのつもりでしょうが外獣を駆除したところで奴の罪が消えるわけもない。そんな奴が提唱する平和などすぐに崩れてこの世界は地獄と化すでしょう」
「やから俺たちはここで最後の戦争を起こして魔族を完璧に人族の支配下に置いて戦争をなくそう思うとるんよ」
「その戦争でアタシら大活躍してー、人族の英雄になって一生ちやほやされるんだーー!!」
「当初はテルヒコが怒りのままに魔族との戦争の引き金を引いてくれるかと思ったのですが。何やら奇妙な奴がそれをとどまらせているようでしてね。何か知っていますか?」
「そ、そうだ。クォンタム、奴はテルヒコにこう言ってた・・・」
サンマはクォンタムがテルヒコにした話をそのままシュウイチたちに伝えた。
「は?死者蘇生!?なんやねんそれ!もう神の領域やんけ!!」
「別にいいじゃん。また殺しに行けば。そんでまた魔族に押し付けちゃおうよ」
「あのですね。生き返った時点で私たちが犯人だってバレますよ」
「えー!!??じゃあどうすんの?アーシらの作戦どうすんのよ!!」
「むう・・・」
シュウイチは眉をひそめた。もしサンマの言ったとおりに死者蘇生が成功すれば自分たちは世界中の魔族、人族から狙われることとなるだろう。
それを回避するには死者蘇生の阻止、テルヒコとその仲間たちの暗殺、テルヒコの罪を公にすること、この三つが必要になる。
「テルヒコの罪を公にするのは彼が魔王都に乗り込んでからにしたかったが・・・」
「もう無理やな。そのクォンタムってのがいる時点でもうワレらの思い通りにはいかんやろ」
「だーかーらー!どうすんのって言ってんじゃん!」
「じゃかあしい!今考えとるやろうが!!」
テルヒコが行ってきた罪の証拠はある程度はそろえてある。だがそれらは決定的な証拠とはまだ言えなかったのだ。
なぜなら彼らはテルヒコの行動速度についていけずにテルヒコが事を終えた後にしか現場に現れることができなかった。なので状況証拠しか手元にないのである。
彼らが魔王都付近でテルヒコに追いつけたのはクォンタムが遭遇したことで彼の足が止まっていたからだ。
『だったらそのクォンタムってのを消せばいいだろ』
そういったのはタバコ男だった。
「いきなり口開いたと思たら何を言うとんねん。クォンタムってのは神の使いやぞ!この外獣を使うて最強状態やったテルヒコを倒したトラマルの奴よりさらに実力は上って話や!テルヒコにも勝たれへん俺らが勝てる思うとるんか!?」
「その為にそいつを手懐けようって話じゃなかったのか?」
「こいつを私たちが使ったとして、テルヒコ以上には成れてもクォンタムを倒せるとは・・」
「おい外獣、お前が持ってる能力は武器になるだけか?」
「あ、ありますぜ!とっておきの能力が!その名も『超肉体強化』!!」
「なにそれー!超強そう!!」
「なんかチープな名前の能力ですね」
「名前はチープでも威力は絶大だ!いいか・・・」
サンマの持つ特殊能力『超肉体強化』はサンマの外獣細胞を対象者の血管に流し込んで全身に浸透させることで筋肉、骨格、脳の働き、etc…を極限まで強化できるというものだった。
「超強化した体で武技を使えば相当な力を得れるはずだ!しかも俺の中には今までテルヒコが殺してきた魔族のアニマの力もある。お前らにアニマの力を付与することも可能だぜ!」
「いいじゃん!いーじゃん!それさえあればテルヒコとその仲間たちなんてイチコロ~!」
「いいでしょう。私たちに力をお貸しなさい」
「ちょ、ちょっと待てや!!」
ノリノリで外獣の提案に乗ろうとする二人を関西弁男が制止する。
「シュウイチ!お前ならわかっとるやろ。こいつはこの世界を滅ぼそうとしとるバケモンたちの仲間や。確かに制御できればテルヒコやクォンタムに勝てる力を得られるかもしれんが俺たちのほうが制御される側にならへんなんて保証もない!リスクがデカすぎる!」
「やはり貴方は何も見えていない。見なさい奴の姿を」
シュウイチはクォンタムたちに徹底的に痛めつけられたサンマの姿を指さす。
「あの状態で私たちのような『英雄となるべき選ばれし者』を支配できるわけがありません」
(っ・・こいつは!)
自分の力を決して疑わないシュウイチに関西弁男はついていけなくなっていた。
どうにか説得して辞めさせたいが自分一人ではどうにもならない。助けを求めるようにタバコ男へ視線を送る。
目が合ったタバコ男は。
「確かに今のそいつからは俺たちに抗えるほどの力は感じない。十分制御できると思うぜ」
「そ、そうなんか?」
「ああ」
「ほぉら。彼のお墨付きももらえましたよ。早速『超肉体強化』を始めてもらいましょう」
「・・・」
関西弁男は渋々シュウイチに従うことにしたようだ。
三人はサンマに言われるがまま左手を出すと大きい血管に注射を刺すがごとく外獣細胞を注入されていく。
「おい、タバコの兄さんもこっちへ来いよ」
サンマは注射器型の触手をもう一本生み出してタバコ男を手招きするように振った。
「いや、俺は自分自身の力だけで戦いたい質でね。そうだな。武器の強化だけお願いできるか?俺の武器は『靴』なんだが」
「できるけどよぉ。武器になるにはそこそこの肉体が必要だからな。注入してない分を全部アンタの靴に纏わらせてもらうぜ」
「ご自由に」
タバコ男の靴に注入後の残った本体が纏わりつく。外見は素体となった靴へと変形した。
「おおおお!力があふれてくる!!」
「うーん!超マジヤバーーイ!!」
「は、ははは!何を怖がっとったんや俺は!これならもうなんも怖ないで!!!」
肉体強化でテンションが上がっている三人を傍目で見ながらタバコ男はポツリとつぶやいた。
(そう、この外獣には俺たちに抗う力なんてない。・・・『今は』な)
そして彼の靴に纏わりついていたサンマも彼のことを見上げながら心で呟いていた。
(チッ、感がいい野郎だ。力の弱った俺じゃ体内にでも入らない限りこいつらを食えねぇことをわかってやがる・・・。まぁいいさ、あの三バカの力さえ手に入れば。待ってろよクォンタム、テルヒコォ、その他ども!!俺様をコケにしやがったことを後悔させてやるぜ!!)
最後の決戦の時は刻一刻と迫っていた。
〇
時間は戻り、クォンタムたちはサンマを探しつつカエンとともに火山を下山していた。
「すまない!なんてことだ奴を逃がして、それに気づかないなんて・・・!!」
「いやホントにびっくりだ。師匠、こいつパーティから外しましょうよ。パーティに武闘家キャラは私一人で十分です」
「お、俺は僧侶だ!」
「ほとんど肉弾戦しかしない僧侶なんているかぁ!!」
「どちらかと言えば海外のゲームのプリーストだよな」
「そ、そうだ!元々僧侶というのは肉体的修行がほとんどでだな!!」
「あーもう、わかったわかった!喧嘩するな二人とも!」
失態をつつきまくる狡いトラマルとそれに怒るテルヒコ、面倒くさい二人をなだめつつ山を下っていく。が、ホントにどうしたものだろうか。
「ワフ~・・・クォンタム様、実際どうされるおつもりで?」
「放っとく」
「え!?」
クォンタムの返答に皆が意外そうな表情を見せた。
「放っておかれるのですか、何故?」
「パトランプの手錠も引っぺがしたみたいで発信機も反応なかった。だったらこの広い魔族領を探しても労力の無駄だ」
「でも放置すればまた力を蓄えて襲ってくるやも!また犠牲者が増えるかもしれない!」
「ん~、でも意外と早く俺たちの元に戻ってくると思うよ」
「なぜそんなことが言えるのですか?」
「勘」
「勘!?」
「そ、今はあいつのことは置いておこうよ。早くエンジンとギンを拾ってテルヒコの村に行こう」
「クォンタム・・・」
全員が納得しかねる様子だったがそれ以上の意見を出すことはしなかった。何故ならクォンタムが大丈夫だと言っているのだから。
クォンタムのこれらの発言はただの勘などではなかった。クォンタムは魔王都からずっと自分たちをつけていた連中がいたこと、そしてそいつらが明確な敵意を持っていることに気が付いていたのだ。
(今の弱ったサンマが力を手に入れるとすれば連中に取り入るくらいしかないもんな。奴らの目的がテルヒコに関わっていてそのためにテルヒコの身内を皆殺しにしたんだとすればきっと現れる。俺の死者蘇生が可能にしろ不可能にしろ自分たちが不利になる目は消しときたいだろうしな。決戦は恐らく・・・テルヒコの村についたくらいかな~)
クォンタムの心の中ではすでに決戦までの秒読みは始まっていたのだった。
つづく




